Basel IIへ対応するにあたり、多数の銀行が課題を抱えていることがグローバル調査により明らかに

2004年7月20 日 by SAP News 0

アクセンチュア、マーサー・オリバー・ワイマン、SAPの3社による調査で、地域ごとの取り組みの差と今後の課題が明確化

Tokyo【英ロンドン:現地時間6月28日発】 ― Basel II Capital Accord(自己資本に関する新しいバーゼル合意:新BIS規制)への対応に関し、世界の大手銀行の多数がなおも大きな課題を抱えていることが、Accenture(NYSE: ACN、以下アクセンチュア)、Mercer Oliver Wyman(以下マーサー・オリバー・ワイマン)、SAP AG (NYSE: SAP、以下SAP) 3社による調査で判明しました。

調査対象となった銀行の相当数がBasel IIへの対応に必要な予算が不明確であると回答し、リスク管理の枠組みやエコノミックキャピタルに自信がない、クレジットリスク測定ツールの導入が遅れている等の声も目立ちました。また、今回の調査では、米国とアジア太平洋地域の銀行は欧州の銀行と比較すると、Basel IIへの対応に関する一部主要分野において準備が遅れていることも示唆されています。

今回の調査は4月から5月にかけて、世界の銀行トップ200のうち97行を対象として行われたもので、新BIS規制のプログラムを担当する役員を回答者としました。Basel II Accordの最終的な規定が6月下旬に発表されるため、その直前段階での世界の大手銀行における準備状況の評価を目的としたものです。Basel IIはリスク管理に関する1988年度の規制を更新/拡大したもので、国際業務を行う銀行の自己資本の状況と、オペレーショナルリスク/クレジットリスク/マーケットリスクを、より密接に関連づけることを目標としています。

今回の調査からは、以下のような事実も判明しました。

  • 規制準拠に要する費用について把握が進んでおらず、回答者の3分の1近くがBasel II規制準拠に必要な総コストがいまだ不明であると回答しています。算定コストを提示した銀行のうち、総資産が1,000億ドル未満の銀行の大半は5,000万ユーロ以下、それ以上の規模の銀行では3分の2近くが5,000万ユーロを超えるコストを想定しています。
  • 銀行の大半はBasel IIには大きな利点があると回答し、特にキャピタルアロケーションの改善とリスクに基づく価格設定の改善を挙げています。
  • 調査対象となった銀行の70%以上は、Basel IIの定める先進的アプローチをクレジットリスクとオペレーショナルリスク両方への適用を計画しています。
  • この規制の結果予想されることとして、多くの銀行が、リテールおよび中堅・中小企業貸出に関する競争の激化、法人貸付および専門貸付業者の統合、エマージング・マーケットに対するより選択的な与信供与などを挙げています。

    残る懸念
    今回の調査によって、Basel IIが求める3つの主要項目のうち2つ、すなわちリスクベースの管理を行うための行内の枠組み設定と情報開示の拡大を通じた市場原理の徹底を満たすために、依然として多くの銀行が相当な作業を残しているということが明らかになりました。調査対象となった銀行のうち3分の2近く(63%)は、行内全体でのリスク管理の枠組みが脆弱である、ないしは平均程度であるとし、さらには60%強の回答者が、エコノミックキャピタルのシステムが脆弱である、ないしは平均程度であると回答しています。

    Basel IIはまた、銀行に対して業務慣行の大幅な変革を求めています。回答者のうち90%近くは、この変革はオペレーショナルリスク管理プロセスにて発生するとし、また、担当役員の80%近くは、クレジットリスク管理の仕組みを変更する可能性が高いと回答しています。

    アクセンチュアのマネージング・ディレクター、ポール・カートライト(Paul Cartwright)氏は次のように述べています。「今回の調査で、データベースや報告システムの簡単な手直しだけではBasel IIへの対応は不十分であることが確認されました。多くの銀行は、IT、組織変革、業務の見直しを組み合わせて対応しなければならないと考えています。この2年間の世界的なコスト削減傾向に伴い予算が厳しくなりつつある中、銀行はこの新規制への対応が相当困難であると認識しています。」

    調査からは、Basel IIへの対応に欠かせないもう一つの分野、すなわち内部信用格付けに必要なツール開発の重要性も明らかになりました。先進的な内部格付手法には、各案件のクレジットリスク、資本コスト、競争力への影響に対する厳密なガイドラインが必要とされますが、これを目指している銀行のうち半数以上は2007年までには格付ツールを開発/テストする段階に到達しないと予想しています。これらの銀行のうち20%以上はまだ初歩的なギャップ分析を行っている段階です。

    地域間格差
    欧州の銀行の4分の3は戦略的ニーズの分析を完了していますが、米国の調査対象となった銀行では12%、アジア太平洋地域では22%が完了しているに過ぎません。欧州の銀行では60%以上が導入段階に進んでいるのに対し、米国では12%、アジア太平洋地域では15%に留まっています。

    調査結果の分析から、この進捗状況の差は、米国の銀行が現在のクレジットリスク測定システムに不安を抱えていることも要因の一つであると窺われます。自行の格付モデルの性能、モデルの検証、実用テストの対応について、優れた結果を得ていると回答した銀行の割合は、米国では欧州の半分に至りませんでした。他の3つのクレジットリスクツールに関する評価でも、米国の銀行からの回答は欧州を大きく下回っています。

    マーサー・オリバー・ワイマンのマネージング・ディレクター兼ファイナンスおよびリスク業務担当責任者代理、トム・ガーサイド(Tom Garside)氏は次のように述べています。「日常業務へ組み込まれているリスク評価について、銀行はもっと自信を持つ必要があります。リスクはキャピタルアロケーションだけでなく、戦術的および戦略的意思決定のベースともなります。しかし、それに必要なリスク測定モデルを構築することは、多く見積もっても行程の半ばに過ぎません。銀行はBasel II対応プログラムの構築段階に留まらず、『実用テスト』によって規制への対応と利益率向上の両方を目指すべきです。」

    多くの銀行にとって不明確なBasel II対応コスト
    今回の調査から、Basel IIに対応するために、どの程度のコストを要するかについて把握できていないことも判明しました。31%もの回答者がBasel II対応のためのコストが不明であるとし、コストが不明確と回答した銀行の割合は米国(59%)とアジア(54%)で最も高く、欧州(20%)の倍以上でした。

    コストの見積もりを回答した銀行のうち、中規模の銀行(総資産250~1,000億ドル)の90%以上は所要コストが5,000万ユーロを超えないと予想しています。しかし、複数の業務を行う大規模な銀行(総資産1,000億ドル以上)では導入の複雑さがそのコストにも反映されており、3分の2近くは5,000万ユーロ以上を予想し、さらにそのうち30%は1億ユーロ以上のコストを想定しています。

    調査対象となった銀行の多くはコスト削減のための方策を模索しています。60%近くの銀行はオペレーショナルリスク管理の要件に合わせて新たなソリューションの導入を計画していますが、その半数近くはソリューションの独自開発や既存テクノロジーの変更といった低コストの手法によるものです。また、63%の銀行はクレジットデータの集中管理も計画しています。

    SAPの金融サービス担当シニアバイスプレジデント、トーマス・バルクハイム(Thomas Balgheim)は次のように述べています。「Basel IIへの対応に伴う最大の課題として残されているのはデータ管理だというのが大半の銀行の回答です。行内各所からの詳細な情報を利用しなければならないためです。プロジェクトの成功とコスト削減を成功に導くためには、集中化の推進が不可欠です。北米、アジア、オーストラリアの銀行の70%は集中的なデータ管理ソリューションを求めていますが、これは他の分野でも銀行の業績強化に貢献するはずです。」

    コストを上回るメリット
    Basel IIが貸付業務に多大な好影響をもたらすとの見解も、今回の調査で確認されました。調査対象となった銀行の半数をやや上回る数が無担保リテール貸付の拡大を見込んでおり、48%はリテール不動産担保貸付の拡大を、45%はSME向け貸付の拡大を予想していると回答しています。これは、これらの分野の借手にとって、借り入れコストの低下が予想されることを意味します。一方、法人向け(22%)、特定市場向け(16%)、エマージング・マーケット向け(15%)の貸付は減少すると予想されており、これらの分野ではリスクに対してベストプライスを提供できる銀行への統合が進むことを示唆しています。Basel IIが利率設定に特に影響を及ぼすと回答したのは欧州、中東、アフリカの銀行に多く(58%)、アジア太平洋地域では41%、南北アメリカでは7%に留まりました。

    また、キャピタルアロケーションの改善(63%)とリスクに基づく価格設定の改善(53%)もビジネス上の大きなメリットと考えられており、必要規制資本の低減をメリットとして挙げた銀行(37%)を大きく上回りました。

    また、今回の調査からは、欧米の銀行の80%以上がクレジットリスクに関して2007年までにIRBによる何らかのアプローチを導入する予定であることも判明しました。オペレーショナルリスクに関しては、先進的測定アプローチを2007年までに導入すると回答した銀行は調査した全行の半数未満でしたが、71%が2010年までの導入を予定しています。銀行がこれらの先端的アプローチを採用するにあたっては、資本調達コストの低下と競合他行に対する競争力維持がその推進要因であると考えられます。

    調査方法
    今回の調査はロンドンのフィナンシャルタイムズ・リサーチ・センター(Financial Times Research Centre)によって行われました。世界の上場銀行のうち約200行が同センターによってサンプルに選ばれました。このサンプルは地域(西欧、アジア太平洋、北米)に分けられ、地域ごとに必要数の回答者が得られるまで、各銀行に対して調査への協力依頼を行いました。次に銀行をその規模(大規模/中規模)によってさらに分類し、調査対象を正確に反映した回答が得られるよう努めました。この調査は2004年4月1日から5月13日までの期間に、各銀行のBasel II担当役員を対象として電話で行われました。

    アクセンチュア株式会社について
    アクセンチュアは、経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスを提供するグローバル企業です。私たちは、民間企業や官公庁のお客様がより高いビジネス・パフォーマンスを達成できるよう、お客様と協力して革新の実現に取り組んでいます。
    アクセンチュアは、各業界や業務プロセスに関する高度な専門知識、世界で蓄積された実績や資産をもとに、最適な人材、スキル、そしてテクノロジーを活用し、お客様の経営効率をさらに改善します。
    世界48カ国に約9万5千人の社員を擁するアクセンチュアは、2003年8月31日を期末とする2003会計年度の売上高が、約118億USドルでした(2001年7月19日NYSE上場、略号:ACN)。
    詳しくは、www.accenture.com/jpへ。

    マーサー・オリバー・ワイマンについて
    マーサー・オリバー・ワイマンは大手金融サービス戦略およびリスク管理のコンサルティング会社です。同社はオリバー・ワイマン&カンパニー(Oliver, Wyman & Company:1984年創立)とマーサー・インク(Mercer Inc.)の金融サービス戦略および保険統計業務部門が合併して2003年4月に設立され、現在はマーシュ&マクレナン・カンパニーズ(Marsh & McLennan Companies, Inc.)の1部門となっています。同社は北米、欧州、アジア12カ国の25カ所の事業所に650人のスタッフを擁しています。同社の詳細については下記のURLをご覧ください。
    www.merceroliverwyman.com.

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