(本記事は、2月4日に本社で掲載されたものです)

2025 年第 2 四半期、SAP は、新しいオファリング「SAP ERP, private edition, transition option」を発表いたします。このクラウドサブスクリプションサービスは、SAP® ERP システムから SAP クラウド ERP に移行するための RISE with SAP ジャーニーにおいて複合的なインストールが必要になる大規模なお客様を支援するためのサービスです。

ここでは、このオファリングの内容と、お客様がどのようにそのメリットを受けられるかについて簡単にご説明します。

すでに今日、何千社もの SAP のお客様が SAP のクラウドソリューションを活用し、ビジネスの変革、俊敏性の実現、効率性の向上に成功されています。ビジネスプロセスの最新化とクラウド運用モデルの導入により、お客様には新たなイノベーションがもたらされています。  ほとんどの SAP のお客様にとって、レガシーシステムからクラウドに移行するかどうかは問題になっておらず、ビジネスと IT の DX という全体的文脈の中でいかに迅速にクラウド移行できるかが問題になっています。

オンプレミス SAP ERP システムの延長保守期間が終了する 2030 年が近づいてきたことにより、この DX はさらに重要性を増しています。2030 年以降もこれらのシステムを使い続けることは、ますます困難になり、リスクも高まります。例えば、古いバージョンの Java のようなサードパーティ製品は、それぞれのベンダーからサポートされなくなります。

一方、数百もの SAP ERP システムが含まれるような非常に大規模で複雑なオンプレミス IT 環境を構築している SAP のお客様につきましては、進化するビジネス要件に対応するために、各システムをクラウドに迅速かつ柔軟に移行する必要があることも、私たちは承知しています。

このような状況におられるお客様の将来に備えるお手伝いをするため、SAP では「SAP ERP, private edition, transition option」という新しいクラウド・サブスクリプション・オファリングを導入いたします。これは、最も大規模で複雑なランドスケープを抱える企業様がクラウド移行を計画、実行し、成功させるための支援を行うことを目的としています。

この新しいオファリングは、SAP ECC を中心とした SAP ERP クラウドサブスクリプションと、SAP クラウド ERP への移行を支援する専用サービスのセットとなります。また、セキュリティ/法規制/ソフトウェア問題に対するパッチを提供することで、事業継続性をサポートします。2028 年より購入可能となり、ご利用期間は 2031 年から 2033 年までとなります。複合的な IT ランドスケープを構築されているお客様には、移行計画を立てるのに十分な時間が必要との判断のもと、このたび、このオファリング情報を事前に開示することにいたしました。

これは任意でご利用いただける追加のオファリングです。2030 年末までに移行を完了する予定のお客様には必要ございません。「SAP ERP, private edition, transition option」は、移行のためにさらに時間とサポートを必要とされるお客様が対象となります。

このオファリングのご利用条件は以下のとおりです。

  • 対象製品は SAP ECC を中心としたものになります。2030 年末までサブスクリプションが可能な SAP® Business Suite 7 の全製品は含まれません。詳細な対象製品の範囲については、今年後半以降発表の予定です。
  • 「SAP ERP, private edition, transition option」に関連するシステムは、2030 年末までに SAP ERP, private edition に移行している必要があります。
  • 2031 年から 2033 年末の間、この新しいオファリングを利用するにはいくつかの準備が必要です。サポート対象となるデータベースは SAP HANA® のみです。また、旧バージョンの Java といったサードパーティのテクノロジーはサポート対象外になるので、追加の調整も必要となります。
  • さらに詳しい情報は、2028 年の正式発売が近づいた時点で発表されます。

この新しいオファリング利用後の次なるステップは、通常、SAP クラウド ERP への移行になります。

このオファリングは SAP ERP の保守延長サービスではございません。誤解なきようお願いいたします。2030 年以降もオンプレミスで SAP ERP システムの運用を継続されるお客様については変更内容はございません。

新しいオファリング「SAP ERP, private edition, transition option」は、2031 年以前の同等の ERP クラウドサブスクリプションより上乗せ分のある料金で、2031 年から 2033 年にかけて提供される予定です。当然ながら、このようなサービスの提供は複雑であるため、このオファリングは、大規模で複雑なシステムを運用されているお客様を対象としています。詳細な情報は、2025 年第 2 四半期のより広範な発表の中でご提供いたします。また、2028 年の契約開始が近づいた時点で、さらに詳しい情報が公開される予定です。

詳細の確認および計画開始をご検討の担当者様につきましては、SAP アカウントエグゼクティブまたは SAP パートナーまでご連絡ください。


ステファン・スタインレ (Stefan Steinle) は、SAP のカスタマーサポート & クラウドライフサイクル管理担当のエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼責任者です。