(本記事は、2月13日に本社で掲載されたものです)
AI エージェントは、AI の次の時代を象徴するものであり、企業の生産性における飛躍的な進歩の象徴でもあります。ビジネスの成長と、他社に負けないための敏捷性の獲得を妨げる最大の障害のひとつである、エンド・ツー・エンド・プロセス全体における真の協働内の摩擦が、AI エージェントの登場によって解消しようとしています。
毎日、社員たちは、職務ごとに分断されたデータ、意思決定、行動を調整するために多くの時間を費やしています。AI エージェントは、このようなサイロの橋渡しを行い、コアプロセスの円滑な実行、組織全体の効率的な運営を支援することができます。
しかしこれは、企業全体で独立した職務別タスクを強化しサイロ化されたエージェントを大量生産することではありません。そうではなく、正しいビジネスコンテキストとデータに基づく正しいエージェントを用意し、互いに連携させ、人間のコラボレーションおよびエンド・ツー・エンド・プロセスの改善を支援できるようにするというものです。
SAP では、AI エージェントの持つ可能性を最大限に引き出すために、多額の投資を行ってきました。当初から、SAP Business AI は「スイートファースト」の原則に基づいて設計され、アプリケーションとプラットフォームの SAP ポートフォリオに追加するあらゆるスキル、機能、シナリオに、より高い価値をもたらす統合型 AI 戦略を実践するという原則に沿ったものになっています。
SAP の生成 AI コパイロットである Joule は、スイート全体でシームレスな統合型エクスペリエンスを実現し、全ビジネス機能でユーザーインターフェースを統一し、組織全体の業務に関わる 1,300 以上ものスキルを提供します。ユーザーはエージェントを介してどんな質問もでき、どんな業務上の問題にでも臨むことができます。そして Joule は、質問や問題を解決するためにあらゆるビジネス領域の情報を駆使することができます。これは、現在市場に出ているその他のソリューションではできないことです。
この投資は、2024 年の SAP Sapphire で初めて発表された Joule エージェントのビジョンを実現するための強固な基盤となりました。Joule エージェントは、それぞれが連携し、役割が異なるビジネスユーザーたちが複雑な部門横断型プロセスを迅速かつ確実に実行できるよう支援する独自の機能を備えるものとなっています。
ビデオはこちらへ: Joule エージェントの仕組み
SAP Business Data Cloud の発表により、Joule エージェントの基盤はさらに強固なものになります。これは、AI エージェントがその基盤となるデータが持つ力にのみ依存するためです。
SAP Business Data Cloud は、Joule エージェントに単一の信頼できるデータレイヤーを提供し、データサイロを解消して、SAP ソースと非 SAP ソースのデータを統合します。SAP Business Data Cloud によって、Joule エージェントは最も完全かつコンテキストリッチなデータセットにアクセスして、より深く推論し、より高い洞察力に基づいて問題を解決できるようになります。
2024 年の SAP TechEd で発表された SAP Knowledge Graph は、Joule エージェントと SAP Business Data Cloud 間の業務とデータの橋渡し役を果たします。SAP Knowledge Graph は、データとプロセス間の関連性を明らかにし、Joule エージェントが意思決定とアクションの根拠となる関連性の高いデータをすべてピックアップするのに役立ちます。

ナレッジグラフは新しい概念ではありませんが、新しい先進技術と組み合わせることで、非常に強力なものとなります。SAP Knowledge Graph は急速に進化しており、SAP 独自の 50 年以上にわたるビジネスプロセスの専門知識を Joule エージェントで利用することができます。このプロセスグラウンディングにより、Joule エージェントは、自らが動作するコンテキストを認識できるようになり、その結果、サプライチェーン、調達、財務など、複数のステップを要するプロセスを含むより複雑な問題の解決が可能になります。
これらのイノベーションはすべて、長年 SAP が抱いてきた AI エージェントのビジョンを現実のものとしました。さらに今後も、より速いペースでさらなるイノベーションが生まれると考えています。本日、私たちは、財務、サービス、販売の分野で即時利用可能な Joule エージェントのコレクションを発表しました。2025 年には、SAP Business Suite ポートフォリオ全体でさらに多くのエージェントが利用可能になる予定です。
この発表の中には、2024 年の SAP TechEd でプレビューされた現金回収用 Joule エージェントの第 1 四半期中の提供開始も含まれています。現金回収エージェントは、紛争を分析し、財務、カスタマーサービス、オペレーションで連携しながら、詳細を検証し、解決策を提案します。この Joule エージェントは、エージェント型 AI の可能性を最大限に示したものになっています。通常は数時間かかる複雑な複数ステップのプロセスを、部門横断的に作業することで、わずか数秒で完了させ、新たなレベルの業務効率を実現します。
ビデオはこちらへ: Joule エージェントのデモ – 紛争解決
本日の発表には、複数ステップの販売/サービスタスク全体で効率性を向上させる、すぐに使える新しい Joule エージェントも含まれています。これには、絶えず機会とカスタマーケースを監視し、質問を積極的に見つけ出し、承認済みのナレッジソースから関連する回答を提示するQ &A エージェントや、新規ケース解決策を自動的に特定し、組織全体に専門知識を広げる構造化されたナレッジ記事を作成するナレッジ作成エージェント、さらに、ケースのコンテキストを理解し――例えば「税金」という言葉が含まれていなくても税金に関する問い合わせだと認識し――ケースを適切なチームに正しく振り分けるケース分類エージェントが含まれます。
このクラスの機能特化型 Joule エージェントは、Joule の協調型エージェントアーキテクチャーの一部となり、他の Joule エージェントと連携して、部門横断的なプロセス全体で問題解決に当たれるようになります。例えば、ケース分類エージェントが請求に関する顧客との紛争を特定した場合、その紛争を現金回収エージェントに転送し、紛争解決マルチエージェント・ワークフローを自律的に開始することができます。このようなエージェントのチームワークにより、紛争は数秒で解決できるどころか、発生から数秒以内に解決することも可能となり、プロセスの効率がさらに向上し、レスポンスタイムの驚異的な短さで顧客を満足させることができます。

加えて、SAP Build の Joule Studio 用カスタムエージェントビルダー機能もプレビューされました。この新しいエージェントビルダーにより、市民開発者などのユーザーは、自社独自のビジネスニーズに対応するカスタムエージェントを簡単に作成できるようになります。SAP のビジネスプロセス専門知識に基づくガイド付きノーコードワークフローにより、カスタム AI エージェントをビジネスプロセスやビジネスデータに確実に組み込むことができ、社内の SAP および SAP 以外のアプリケーション全体で自律的に問題を解決できるようになります。Joule、Joule エージェント、SAP Business Data Cloud、および SAP Knowledge Graph が実現するユニークな基盤によって、企業はエージェントビルダーから強力なカスタム AI エージェントを構築できます。
Joule エージェントの登場により、Joule は単なる AI の副操縦士(コパイロット)ではなく、組織全体にわたる AI の指揮者となります。Joule は、複雑なエンド・ツー・エンド・プロセスを実行する複数のビジネス機能から、既成の AI エージェントだけでなくカスタムメイドな AI エージェントを含むエージェントチームを状況に応じて組み立て、調整できるようになりました。Joule エージェントによって、各チームはよりシームレスに連携し、業務はより迅速に遂行され、より効率的な事業運営が可能になります。

