SAP Japanのオフィスで笑顔で話し合う社員たちの様子

SAPジャパン Talent Discoveryチームによる本企画では、SAPでの仕事内容や印象深いエピソードなどを幅広くお届けします。活躍する社内メンバーの話から、SAPで働く魅力をお伝えできればと考えています。

第33回のインタビュイーは、Customer Experience Services Japanのディレクターであり、Adoption Services CenterのSPOCを務める町田史門さん。チームの役割や仕事の魅力を伺います。

Adoption Services Centerのミッションを教えてください。

 

国境を越えてSAPのエキスパートが支援する ― Adoption Services Center

 

「SAPには製品開発、セールスやプリセールスを含むカスタマーサクセス部門、SAPソリューションの導入や技術支援を行うサービス部門など、いくつかの大きな部門があります。サービス部門であるCS&D(Customer Services & Delivery)という部門は、私たちのようなテクニカル・ファンクショナルコンサルタントのみでなく、プロジェクトマネージャー、サービスセールスのようなサービスデリバリーに関わるすべての方々が集約されている組織です。

その中でもAdoption Services Center(ASC)は、弊社クラウドソリューションに関連したコンサルティングサービスをグローバルレベルで提供する部門で、グローバルで1万人以上のエキスパートを有しています。日本においては、現在80名のエキスパートがおり、日本のお客様向けの支援拡大に伴い、増員を計画しています。

SAP社員の町田史門さんの写真

町田史門さん Head of Customer Experience Services Japan, Southeast Asia & Greater China, Adoption Services Center, Customer Services & Delivery

 

私たちASCは、大きく分けて二つの得意分野があります。一つが、支援範囲として日本のみに留まらず、中国、東南アジア、韓国などAPACのリージョナルチームの一員としてお客様・パートナー様を支援している点です。クラウドソリューションの機能や技術の専門知識を持つメンバーや、業界知識に特化したエキスパートなどを揃え、国境を超えてお客様を支援しています。

もう一つは、大規模プロジェクトに対して日本からの支援のみでなく、グローバルエキスパートを用いて支援をすることです。SAPソリューションの導入プロジェクトでは、50〜100名規模の大きなプロジェクトになることもあり、日本所属メンバーのみでは支援が難しい場合があります。このようなケースでは、私たちASCがファクトリーチームとしてエキスパートを派遣し、支援体制を整えて、プロジェクトを遂行しています。

SAPサービスは、どの国のメンバーであっても一定以上の高い品質で支援できるように、教育提供と体制を整えておりますので、ASC組織全体としても、様々なプロジェクトやご状況を支援できると考えています

 

日々進化するテクノロジーやソリューションの機能性を普及させ、長期目線でお客様と伴走する

 

「私たちASCがお客様・パートナー様をご支援するタイミングとして、三つのフェーズがあります。一つ目がソリューションの新規導入フェーズにおいて、お客様・パートナー様をソリューション・技術視点で後方支援を行います。二つ目が、システム本稼働後に、より弊社ソリューションを利活用頂くために継続的なコミュニケーションを通じて各種ソリューションサービスをご提供します。そして三つ目が、AIなどの新しいイノベーションやソリューション・機能がお客様の業務を効率化できると考えられる状況において、SAPの最新テクノロジーをお客様に積極的にご提案をしていく場面です。

 

ソリューションの初期導入プロジェクトでは、時間・費用的な制約などから実現しきれない要件や機能が出る傾向にあります。また、ご要件を実現したシステムの本稼働時、SAPソリューションが持つシナリオや機能性の20~30%程度しか利用されていないケースもあります。

 

SAPのクラウドソリューションは、週次・月次もしくは四半期ベースで新機能がリリースされていきます。そのため、お客様にSAPのソリューションを正しく使い倒していただくためには、お客様との継続的なコミュニケーションを通じて、ご提案し続けることが重要と考えています。

 

同様に、AIや新しいアプリケーションフレームワークなど、新技術をSAPがリリースした際も、私たちが積極的にお客様にご紹介をすることで、お客様のビジネスプロセスにおけるSAPソリューションの活用範囲を徐々に広げていただくことを目指しています

 

ASCが達成すべき2つの指標 ― Adoption & Consumption

 

「私たち組織が目指す方向性において、重視しているキーワードとして”Adoption”と”Consumption”の二軸があります。

Adoptionとは、新しいまたは現在未利用のビジネスプロセスシナリオや機能、イノベーションのトピックを積極的にお客様にご紹介し、SAPソリューションの適用性を上げて頂くことで、お客様の実現したいことを叶えることです。その結果として、SAPソリューションが持つ価値を実感いただきたいと考えています。

一方、Consumptionは直訳すると『消費』を意味し、ご契約いただいたユーザライセンス等の消化率(Consumption Rate)を高めて頂くことを指します。

お客様は、SAPのライセンスをご契約いただいた際に、ビジネス上で達成すべき大きな目標を立てているはずです。その目標の実現に向けて前に歩むためには、AdoptionとしてのSAPソリューションが持つビジネスシナリオや機能の適用性の向上、Consumptionとしてご契約頂いたライセンスや各種ソリューションサービスの利用率を高めて頂くことが必須だと考えています。それは、お客様が私たちSAPのサービス・サポートを受ければ受けるほど、お客様の最終目標に早く近づいていけるはずだからです」

ASCがメンバーを拡大する背景や、お仕事の魅力は何ですか?

 

グローバルの仲間から学び、成長市場でソリューションやプロジェクトの知見を積む

 

ASCジャパンのメンバーを拡充しようとしている背景には、日本のビジネスが非常に堅調に伸びていることがあります。既存のメンバーに加えて、5年、10年先を見据えて組織を安定的に運営していく観点からも、若い人材を採用・育成し、このASCが継続して機能していくようにSAP社内で中長期的な方針を掲げています。

ASCにおける仕事の魅力は、深いスキルを持つ多様な国の人々と関わり、異なる文化に日常的に触れながら成長できることです。私の場合、業務の70~80%は英語ですし、日本のお客様やパートナー様のみでなく他国のお客様のプロジェクトにも提案段階から関わらせていただく機会が多々あります。

また、SAPのカルチャーとしては、自ら手を挙げて行動を起こせば、国や組織、役職を問わず、多くの人が支援してくれる環境があります。そのためには、自ら貪欲に情報を取得したり、自分が実現したいことについて他の方の意見を求めたりするなど、積極的なコミュニケーションスキルと、そのためのマインドセットが求められます」

笑顔で話すSAPの町田史門さん

町田さんがコンサルタントとして意識していることは何ですか?

 

全ては事前の「想定力」で決まる ― コンサルタントの極意

 

「私自身は、常に『先を見据えた準備をしておくこと』を心がけています。日本人の特性かもしれませんが、日本のお客様は、1から10までのすべてを話さないことが多いものです。『ある程度伝えれば、あとは大体判るでしょう』と考える傾向にあるため、お客様やパートナー様と共通の感覚を持つことが効率的なコミュニケーションを行う上で必要と考えます。1から3をお客様からヒアリングできたとしたら、『4から9まではこれまでの経験等を踏まえた共通感覚をもとに自分で考え、最後の10は必要に応じてお客様に聞いて補完をする』というスタンスで臨むイメージです。

 

例えるならば、ボクシング漫画の『はじめの一歩』に出てくる『デンプシーロール』という、自分の頭をうまくガードしながら対戦相手の方に前進していく闘い方に近いですね。相手に打たれ続けるけれど、きちんと防御を行いながら前に進んでいく。つまり、お客様はいろいろな角度から様々な質問や疑問を投げかけてきますが、自分自身が上手くディフェンスしながら対応し続けられれば、話を建設的に前に進めることができるはずなのです。

 

デンプシーロールの優れている点は、攻めていた対戦相手が気づいた時にはボクシングリングのコーナーに追い詰められて逃げ道が無くなっているところです。コンサルワークで言うならば、一般的に想定される疑問に先回りして準備をすることで、いつの間にか最終的な判断や決断をせざるを得ない状況を作るイメージです。

 

お客様からの質問は内容の大小に関わらず、概ね応えられるよう事前に想定をしてから臨み、その場で的確な受け応えができれば、最終的な回答を一日でも早く引き出すことができます。そうすれば、双方が次のアクションに最短で進められるのです」

 

今後の展望や町田さんの想いを教えてください。

 

時代とともに変化し、高まるSAPへの期待と役割

 

「20年ほど前までは、日本のお客様は、システムにアドオンプログラムを多く作ることで要件を満たそうとされていました。しかし、今日では、SAPが提唱するような業界標準のベストプラクティスに沿ったビジネスプロセスの再検討や、技術アーキテクチャを適用する考え方が浸透してきたと思います。

 

お客様自身の考え方は日々変化しており、私たちSAPに求めることもその変化に応じて変わってきています。いまはSAPソリューションのファンクショナル、テクニカルスキルのみならず、業界ごとのナレッジなど、より包括的なアドバイザリーロールを求められてきているトレンドを感じています。これは、私たちASCに限らず、他のSAPコンサルティングチームも含めて、徐々にアドバイザーとしての役割へ切り替えていく必要があるのだと思います」

 

さらなるエンゲージメントを目指して ― SAPワンチームでお客様に寄り添い、成功事例を広めたい

 

ゆくゆくは、『どこまでSAPのソリューションがお客様のビジネスに貢献できているのか』を数値化・見える化し、その先にあるお客様の最終的なゴール達成をご支援できるように、私達SAPのエンゲージメントモデルもさらなる進化が求められてくるはずです。

そうすると、従来型のソリューション技術コンサルティングのみでは、役割としては不足すると考えています。だからこそ、SAPとしてカスタマーサクセス部門をより強化し、私たちのようなファンクショナル・テクニカルコンサルタントやデリバリーサービス部門と一体となり、SAPワンチームでお客様と継続的なエンゲージメントを保つことが大切だと思います。

将来的には、単純にAdoptionとConsumptionを高めることを目指すだけでなく、日本のお客様から生まれたベストププラクティスや成功事例を、もっとグローバルにアピールしていけるような組織になれたらと考えています。

SAPに限らず、IT業界全体として、カスタマーサクセス領域はきちんと拡充させていくことが重要となります。様々な役割を持つチームをうまく融合させながら、お客様のソリューションの適用率を高めるとともに、お客様のビジネスに少しでも貢献できるような体制や仕組みづくりに、今後も取り組んでいきたいと思います。

SAPジャパンオフィスを背景に微笑む町田史門さん

カスタマーサクセス全体、及びAdoption Services Centerが担う役割の重要性と、町田さんの想いが伝わってきました!これからもグローバルのソリューションエキスパートチームを動かしながら、お客様のビジネスゴール達成を支えてくれることを期待しています。

 

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