(本記事は、6月3日に本社で掲載されたものです)

AI 急速に進化していますが、SAP のイノベーションへのコミットメントも、その速度を緩めていません。SAP は、長年にわたりポートフォリオ全体に AI 機能を組み込み、その価値を引き出そうとする取り組みを続けてきました。

ここ数年、SAP は先頭を切って企業向けの高度な革新的 AI 機能を提供し続けています。

今年の SAP年次カンファレンス「SAP® Sapphire®」 では、私たちそしてお客様やパートナー様も感じているビッグウェーブを大きく取り上げながら、数々の SAP の最新イノベーションを発表しました。SAP はすでに 230 を超える AI シナリオを用意しています。

さらに 2025 年末までに、SAP® Business AI は 1,600のJouleスキルをベースに400を超えるAI シナリオを用意し、画期的なビジネスバリューをお客様にお届けします。この SAP のコミットメントにより、現在すでに 34,000 社のお客様に SAP Business AIをご活用いただいています。

この成長の中核となっているのはイノベーションです。だからこそ、SAP は生成 AI デジタルアシスタント「Joule(ジュール)」、Joule エージェント、そしてポートフォリオ全体に組み込まれたAI シナリオの強化をし続けています。これらはすべて、Joule とJouleエージェントを支える技術基盤であるAI Foundation on SAP® Business Technology Platform (SAP® BTP)上に構築されています。

SAPは、特に競争が激化する市場において、お客様に JouleとJoule エージェントを提供することの重要性を理解しています。研究によると、現在の営業部門の仕事の 5 分の1が自動化される可能性があり、2028 年までにはフォーチュン 500 企業の 30% が AI 搭載チャネルのみでサービスを提供するようになるという予測もあります。

SAP Sapphire では、Joule をより強力で利用しやすくする最新の SAP Business AI イノベーションが発表されました。以下ご紹介するイノベーションは、SAP Sapphireで発表されたごく一部です。その他発表された画期的なイノベーションについては、2025 イノベーションガイドをご覧ください。 

JouleAI 時代の新しいUI

SAPのUI は、お客様のニーズに応えるために進化し続けています。現在は、SAP Business AIとJoule および自然言語の組み合わせが、エンドユーザーのエクスペリエンスを再定義しています。

Joule は、SAP の新しい UI としての役割を確立し、ウェブ上でもモバイルデバイスでも、さらに言語を問わず、業務を進める方法、ソフトウェアとやり取りする方法を、自然言語を通じて再構築しています。エンドユーザーは自然言語で質問することができ、システム内で情報を検索したり回答を返したりする複雑な処理は Joule が行います。

Joule はすでに、SAP アプリケーション上であればどこからでもワンクリックで利用できます。しかし、お客様のデータは SAP 以外のシステムにも保存されています。これがサービス提供の妨げになってはいけません。Joule が真のビジネスバリューを提供するには、さまざまなシステムと連携できる必要があるのです。そのために、現在 SAP は、お客様がWalkMeの支援を受けながら、どこからでもどんなデータにでもアクセスできるように、Jouleをあらゆるアプリケーションへと拡張しています。

Joule は今、WalkMe によって強化される SAP Joule アクションバーによって、非 SAP アプリケーションからでもアクセスできるようになり、どのアプリケーションにでも対応できる存在へと進化しつつあります。この統合により、Joule の適用範囲は SAP® Business Suite を超えて拡大され、Joule はお客様のそばで、お客様の目、足、手として情報を捉えるお手伝いをいたします。

Joule は、SAP システムおよびサードパーティシステムを横断してビジネスユーザーを追跡することができ、アクティブなアプリケーションから取得したコンテキストを活用してデータに接続し、インサイトを引き出し、ワークフローを効率化します。

SAP のお客様は、場所を問わず、ビジネスに関連する情報を参照する際に、その情報が SAP データ内でどのような意味を持つのかを知りたい場合、クリックひとつで Joule から適切なコンテキストを取得できます。このように複数のアプリケーションを横断して包括的なコンテキストを抽出できるのは、Joule があらゆるアプリケーションやウェブサイトと連携し、ワークフローやデータをまとめて扱えるためです。

Joule は常時稼動し、事前対策的にお客様に推奨事項を提供し、Jouleエージェントがいつタスクを完了したのか、いつフィードバックが必要になるのかを事前にユーザーに通知します。お客様側で、任意のアプリケーション向けにカスタム Joule スキルを作成することもできます。Jouleスキルは、データ入力、IT チケットの発行、POの作成など、反復的なルールベースのタスクを処理し、日常業務の負担を軽減します。カスタムスキルは、ユーザーとの自然言語による会話を通じて、その時の状況やユーザーの意図に応じてこれらのタスクを実行できます。このように Joule を通じて簡単にアクセスできることで、AI や SAP の利用がより身近になり、誰でも活用しやすくなります。 

Perplexity 回答エンジン

Joule があらゆる場面で活用されるためには、あらゆる質問に対応できる力が求められます。
Joule はすでに、構造化データと非構造化データの両方を活用し、調達、出張管理、ポリシー策定など、幅広い業務領域において有用な回答を提供しています。

SAP Sapphireでの発表のとおり、SAPは、SAP® Business Data CloudおよびSAP® Knowledge Graphによる支援に加え、非構造化データ分野のリーディングカンパニーであるPerplexity社との新たな協業を通じて、Jouleのさらなる進化を推進しています。

構造化データと非構造化データの両方の強みを融合し、 SAP の生成 AI と検索機能を拡張するために、SAP は、あらゆる質問に対して正確で信頼性の高いリアルタイムな回答を提供する AI 搭載回答エンジン「Perplexity」との協業を開始しました。Perplexity の「正確かつ透明性のある回答能力」と、SAPの機能「ビジネスに特化した回答力」を統合することで、両者の世界を一つにつなぎ統合します。すなわち、ビジネス関連の質問に答える Joule の力と、世界動向を把握する Perplexity の力を融合させています。

SAP Business Data Cloud、SAP Knowledge Graph、および Perplexity との統合により、Joule は現在、社内のビジネスデータと現実世界からのインサイトをシームレスに組み合わせることができるようになりました。データの構造化、非構造化に関わらず、さらに、システム内部から取得されたものかネットから収集されたものかに関わらず、Joule はすべてを統合し、リアルタイムでインテリジェントな回答を提供します。このコラボレーションの詳細はこちらをご覧ください 

推論からアクションへ

エンタープライズソフトウェアの原則のひとつは、インサイトからアクションを導くことです。企業はデータを分析することで価値の高いインサイトを得て、そのインサイトに基づいて意思決定を行う前に結論に達することができます。Joule は、自然言語を通じてこれらのインサイトを獲得するプロセスをシンプルにします。現在、Jouleエージェント は他のエージェントと協力して、方程式の「アクション」部分を満たすための推論を行うことができます。この機能は、エンタープライズソフトウェアにパラダイムシフトを起こすものです。インサイトからアクションへと導いてきたエンタープライズソフトウェアは今、AI を利用して推論からアクションへと導こうとしています。

Jouleエージェント は、推論と協調を行い、常に人を巻き込みながら多段階の自己生成型ワークフローを通じてタスクを自律的に実行します。

例えば、工場に新しい化学物質が入る際に評価する環境衛生安全エージェントを想像してください。このエージェントは、在庫が、反応性化学物質の近くに保管されないことを確認し、その後、人事データから従業員の資格をチェックした上で、適切な保護具を推奨します。また、新しい財務向け引当金エージェントは、現在の手作業を 90% 削減します。このエージェントはその企業の会計ルールを学習し、財務データを活用して、財務決算時に正しい引当金を提案することができます。

このように、Joule が AI のための新しい UI であるのと同様、Jouleエージェント も、SAP Business Suite 全体のビジネスプロセスレイヤーを AI ネイティブで再定義しています。

SAP® LeanIXAI エージェントハブ

SAP とサードパーティベンダーのエージェントの数が増加するにつれ、お客様はエージェントを検出する手段が必要となり、さらにその後、その動作を管理・制御する仕組みが必要になります。これがまさに SAP LeanI Xソリューションの AI エージェントハブの役割です。このハブは、これらすべてのエージェントを管理するためのガバナンスと制御のフレームワークを提供します。

SAP LeanIX はすでにお客様のエンタープライズ環境を把握しているため、利用可能な AI エージェントを、それぞれがサポートするビジネス機能やプロセスステップにマッピングできます。このフレームワークでは、お客様が自動化ギャップを特定し、それを補うための新しい AI エージェントを発見できます。またお客様は、各エージェントのガバナンスを追跡することで、エージェントが倫理基準やコンプライアンス要件を満たしているかどうか確認することができます。

SAP LeanIX の AI エージェントハブは、2025 年第 4 四半期に一般提供開始予定です。

 NEURA Robotics社および NVIDIA社との提携

SAP は、NEURA Robotics 社と NVIDIA 社との提携を発表し、SAP Business AI が物理世界へ進出する新たな時代の幕開けを明らかにしました。

この協業を通じて、Jouleエージェントは企業のデータとプロセスを、NEURA 社の高度な認知ロボットと接続します。これには、モバイル自律走行搬送ロボット (AMR) からヒューマノイドまでが含まれ、企業が、適応型製造、自律型補充、コンプライアンス監視、予知保全など、実世界のタスクを自動化できるようになります。さらに Mega NVIDIA Omniverse Blueprintは、デジタルツインでロボットフリートを工場や倉庫に導入する前に検証および最適化するという重要な役割を果たします。これにより、安全性、効率性、および迅速なスケーリングを確認できます。  

AI Foundation:ビジネス AI 向けオペレーティングシステム

私たちは当初から、Joule と Jouleエージェント には強力なオペレーティングシステムが必要であることを認識していました。それが、SAP の AI 向けオペレーションシステムである AI Foundation on SAP BTP です。AI Foundation は、開発者がカスタムAIソリューションとエージェントを開発、拡張、実行するための統合されたツールセットを提供します。これらすべてに単一のエントリーポイントからアクセスできます。AI Foundation はすでに 90 を超える機能を備えており、さらにこのたびの SAP Sapphire で、AI エージェントランタイムや新たな AI 評価サービスなど、60 を超える新機能を紹介しました。

AI Foundation は、SAP Business AI ソリューション(生成AIハブ、Joule Studio、SAP® Document AI、SAP Knowledge Graph など)を統合することで、AI の開発を加速させます。AI オペレーションの一元管理とシンプル化により、総所有コストも削減されます。

SAP Knowledge Graph は、Joule および Jouleエージェント の精度と文脈理解を向上させます。お客様のビジネスコンテキストに基づくAI開発をサポートし、情報間の関係を可視化するメタデータを公開します。これにより、例えばカスタマーサービスチケットを処理するエージェントは、製品と発注の関係を把握できます。SAP® Cloud ERP ソリューションおよび SAP Business Data Cloud ソリューションに対する初期サポートは、2025 年第 3 四半期までに一般提供開始が予定されています。

その他の SAP Business AI ソリューションにも新たな機能強化が追加されます。例えば、カスタム AI の開発を支援する Joule Studio には、Joule 用カスタムスキルを作成するための新しいスキルビルダー機能が追加されます。また、開発者がローコード・ノーコード機能を使用してカスタムAIエージェントを作成できるエージェントビルダー機能も追加されます。一般提供は、それぞれ 2025 年第 3 四半期と第 4 四半期に予定されています。

AI Foundation は、GPT-4.1、Claude 3.7 Sonnet、そして最も新しい Gemini 2.5 Pro を含む最新 AI モデルを提供します。お客様は、より高い自主性と制御のために、SAP の GPU インフラストラクチャ上にホストされるさまざまなセルフホスト型モデル(Mistral AI、Cohere、Meta などのモデルファミリーを含む)を選択できます。また、パートナー企業が開発した業界特化型の最先端モデルからも選択可能です。例えば、Deloitte 社は独自の財務・税務エクスペリエンスを Zora AI として AI Foundation に追加しています。

Deloitte 社は、Zora AI を SAP Business AI に統合させる計画を立てています。これにより、お客様はエージェント型AIを活用したインテリジェントなデジタルワークフォースを構築できます。Zora AI は、SAP BTP を使って、複雑なビジネスタスクを高い精度と速度で自律的に実行できる事前設定済みのエージェント群を提供します。SAP の堅牢なエンタープライズ機能と組み合わせて、SAP Business Data Cloud のデータアクセスにより強化された Zora AI には、仕事の仕方を刷新できる可能性があります。お客様は、Zora AI によってエージェント型 AI の真の価値を最大限に引き出すことができます。この統合の詳細はこちらでご確認いただけます

これらのモデルはすべて、プロンプトを慎重に設計することで、驚くべき結果を生み出します。しかし、ここに大きな課題があります。お客様が特定のモデルを集中して活用した場合、変更が困難になる可能性があります。なぜなら、わずかなモデルの更新でも、慎重に設計されたプロンプトを破綻させてしまう可能性があるからです。そのため、私たちはプロンプトエンジニアリングの排除に尽力してきました。 

プロンプトエンジニアリングの終焉

プロンプトエンジニアリングの時代は終わり、ベンチマークエンジニアリングの時代がやってきました。プロンプトエンジニアリングでは、AI がそのナレッジと機能を効果的に活用して特定ニーズに対応できるように、お客様が AI と「会話」する方法を学ぶ必要があります。このプロセスは手動なのでコストがかかり、何よりもモデルの変更に非常に時間がかかるものでした。

ここで、SAP のプロンプトオプティマイザーをご紹介できることを大変嬉しく思います。これは、モデル非依存アプローチで知られる最先端の AI ラボ Not Diamond と共同開発されたツールで、AI Foundation の生成 AI ハブの一機能になります。

モデルを切り替えたりプロンプトを最適化したりするには時間がかかります。組織が単一のユースケースを1つのモデルから別のモデルに移行するだけで数日かかることもあります。しかし、これではいけません。お客様にとって、モデルは簡単に変更できるものであるべきです。より優れているまたはコスト効率が良いモデルが出た、国の規制が変わって利用できなくなったなど、さまざまな理由で、お客様はモデルを切り替えることが必要になるからです。

SAP のプロンプトオプティマイザーは、プロンプト最適化タスクを自動化します。新しいモデルを選択すると、既存のすべてのプロンプトが、公開ベンチマークを使用して全最新モデル用に最適化されたプロンプトへと自動的に変換されます。これにより、モデル変更に必要な時間が大幅に短縮され、最適化処理を数日から数分のバックグラウンド処理へと短縮できます。

プロンプトオプティマイザーにより、特定のユースケースに最適な AI モデルが利用可能になれば、SAP のお客様は、コストのかかる遅延なしに切り替えることが可能になります。これは今後やってくるマルチモデル時代の基礎となります。アプリケーションが特定のモデルから独立し、お客様はいつでも最適なモデルを利用できるようになります。

SAP では、組織が単一のモデル依存から解放され、AI 機能をシームレスに利用できるようにし、革新的な AI ソリューションを柔軟に開発できるようにしたいと考えています。期間限定の早期アクセスプログラムを現在ご利用いただけます。一般提供は今年後半に予定されています。 

SAP Document AI

以上を含む 2025 年の SAP Sapphire で発表された多くのイノベーションは、SAP が革新を続け、お客様からのフィードバックに耳を傾けることで、お客様の進化するニーズにコミットしていることを再確認するものです。文書処理においては、毎年数十億件の文書が SAP システムにスキャンされています。文書から関連情報を手動で抽出する作業はコストがかかり、エラーが発生しやすく、非効率的です。そのため、このたび SAP Document AI(旧 Document Information Extraction)を SAP アプリケーションとネイティブ統合したツールとして紹介できることを大変嬉しく思います。

SAP Document AI は、ビジネス文書から構造化データと非構造化データをシームレスに処理、抽出、理解し、文書処理を自動化します。SAP Document AI は、手作業を大幅に削減し、エラーを最小限に抑えます。ベルギーのデザインブランドである Serax社 をはじめ、多くのお客様が SAP Document AI を活用して、手作業を 33% 削減しています。

SAP Document AI は、定評ある Document Information Extraction の Base および Premiumエディションを基盤として構築されたもので、その実績ある機能を維持しつつ効率性を向上させています。さらに、2025 年後半には Premium Plus エディションが導入され、製品の適用範囲が拡大し、SAP ポートフォリオ全体でのスムーズなアウトオブボックス統合を実現します。詳細については、「SAP Document AI: The Road Map for Seamless Document Processing in SAP Business Suite(SAP Document AI:SAP Business Suite で文書処理を合理化するためのロードマップ)」をご覧ください。

SAP は、製品開発で常にイノベーションを追求しています。SAP Document AI も例外ではありません。そのため、100% の精度を達成するため、SAP Document AI の初期設定時の精度を向上させるインスタント学習を導入しました。例えば、文書のフォーマットが不適切なため、SAP Document AI が内容を正しく抽出できなかった場合、ユーザーはシステムにログインし、誤りを一度修正するだけで、システムが学習し、同じ誤りを繰り返さなくなります。従来は、多数の文書を用いた時間のかかる再トレーニングが必要でした。SAP Document AI と SAP Cloud ERP での実際の動作を確認するには、こちらのデモ動画をご覧ください。 

パートナー企業とのコラボレーションによる新たな AI イノベーション

  • Cohere 社:SAP は Cohere 社とのパートナーシップを拡大し、SAP エコシステムにセキュアでエンタープライズグレードの生成AIモデルを加えました。まず Cohere 社の Rerank モデルから始め、Command モデルと Embed モデルの評価を拡大していきます。これらのモデルは、SAP® AI Core 内の生成 AI ハブで、SAP およびサードパーティの他の主要 AI モデルと並行して利用可能になる予定です。これにより、お客様にとって、それぞれのビジネスニーズに合った AI を活用したソリューションを構築するための選択肢が広がります。
  • Vianai Systems, Inc.:Vianai 社の hila プラットフォームは、部長レベルのエグゼクティブと対話するように設計された革新的な生成 AI 活用会話分析アプリケーションです。現在は、トランザクショナルシステムへの直接照会を可能にして、CFO の役割強化を推進しています。SAP と Vianai 社のコラボレーションは、将来的に非 SAP システムに対するクエリの精度と正確性を向上させることで、hila が Joule や SAP Business Data Cloud の「Just Ask」機能など、既存プラットフォームをどのように補完できるのか、その可能性を探るものになっています。私たちは今、会話分析の限界をともに突破する機会を得て、新たな挑戦に意欲を燃やしています。これらのイノベーションがもたらす可能性を解き明かしていく私たちの活動にどうぞご期待ください。コラボレーションの詳細については、こちらをご参照ください
  • AWS 社:SAP と AWS 社は、ビジネス、物流、サプライチェーンに関する複雑な課題を解決する革新的ソリューションへの直接アクセスをお客様に提供する、生成 AI アプリケーションをパートナー企業が開発できるよう支援するAI共同イノベーションプログラムのローンチを発表しました。このプログラムには、AWS 社と SAP の技術リソース、専門知識、およびクレジットの形で提供される資金が含まれます。お客様とパートナー企業が SAP BTP を通じて Amazon Bedrock を利用して、業界固有の生成 AI ソリューション(悪天候が業務に与える影響の予測や計画、財務見通しの精度向上を行うソリューションなど)を定義、テスト、展開するのをサポートします。このプログラムは、お客様が重要なビジネスオペレーションにおける課題を解決するための実践的かつ安全な生成 AI アプリケーションを開発・展開できるように支援するという両社の共通のビジョンを具現化したものです。共同イノベーションの詳細はこちらをご覧ください

AI への投資

外部管理ファンドである SAP.iO Fund が、Nova Intelligence 社への投資を実施しました。Nova Intelligence 社は、レガシーのカスタム ABAP SAP コードを解析・理解し、クラウド対応アプリケーションに組み込むためのエンド・ツー・エンドのAIコーディングエージェントを開発しています。この AI エージェントは、生成されたコードを反復的にテスト・最適化を繰り返し、成功するまで継続します。Nova Intelligence 社は、レガシーカスタムコードの変革をサポートすることに特化した AI エージェントの開発を進めています。この投資の詳細についてはこちらをご覧ください 

SAP Sustainability ポートフォリオの一環として提供される新しい SAP Business AI 機能

お客様によるデータ準備、プロセスの自動化、専門知識の向上を支援する AI 機能を SAP Sustainability ポートフォリオに新たに導入しました。これらのイノベーションは、環境・健康・安全 (EHS) および製品コンプライアンスのためのプロセスを効率化し、リスク・コスト管理を最適化しながら、サステナビリティ目標の達成を促進します。これらの機能は 2025 年 8 月にベータ版として提供開始予定です。新たな機能には以下のものが含まれます。

  • EHS 向け SAP S/4HANA における AI 支援型許可管理:許可手続きを自動化およびシンプル化し、重要なデータを抽出して、フォローアップタスクを提案します。
  • EHS 向け SAP S/4HANA における Joule を活用した AI 支援型安全観察レポート:会話型インターフェースを介したシームレスなインシデントレポートzを可能にします。
  • EHS 向け SAP S/4HANA における AI 支援型安全指示書生成:リスク評価に基づく安全指示書を提案します。
  • 製品コンプライアンス向け SAP S/4HANA における AI 支援型コンプライアンス情報処理:宣言書や証明書からのデータの抽出およびマッピングを自動化します。

これらの機能は、新しいサプライチェーン管理向け Joule Premium パッケージに追加されます。このパッケージには、以下の既存の AI 機能も含まれます。

  • SAP® Sustainability Control Towerにおける AI 支援型 ESG レポート生成
  • SAP® Sustainability Footprint Management における AI 支援型排出係数マッピング
  • SAP® Green Token 向け AI 支援型宣言書画像分析

SAP Business AI は既存の AI 機能と新しい AI 機能を組み合わせることで、お客様によるレポート作成、炭素管理、循環性の実現、法令遵守に伴うコスト・リスクの軽減とパフォーマンスの向上を支援します。

2025 年の SAP Business AI

SAP Sapphireでは、お客様の価値創造をサポートする多くのイノベーションが発表され、大盛況で終わりました。しかし、残り2025 年後半についても、私たちはさらに多くのイノベーションをお届けすることをお約束いたします。新しい Jouleエージェント のリリースから、この急速に変化する AI 時代において価値を実現する強固でオープンなパートナーシップの構築まで、お客様を支援する AI シナリオの提供を継続していきます。

SAP Business AI が提供するイノベーションの詳細については、SAP Sapphire の基調講演をご覧ください。また、2025 イノベーションガイド sap.com の SAP Business AI エリアもご利用いただけます。

 


フィリップ・ヘルツィグ (Philipp Herzig) は、SAP SE の CTO 兼 AI 最高責任者であり、エグゼクティブボードメンバーです。