(本記事は、6月24日に本社で掲載されたものです)

自社製品を使っている企業がどのくらいあるかご存知ですか?ベータテストではなく、本来の業務目的のために使用している企業です。SAPはまさにこれを実現しおり、企業がサステナビリティを業務オペレーションに統合できるよう支援するサステナビリティソフトウェアの開発と実践に携わっています。

サステナビリティは、「世界をより良くし、人々の暮らしを向上させる」というSAPのパーパスにおいて、極めて重要な要素です。私たちは、経済的、社会的、環境的側面において前向きなインパクトを創出しながら、プラネタリーバウンダリーを十分に踏まえたうえで、人権の尊重を徹底した取り組みを推進しています。2030年のネットゼロ目標を超えてサステナビリティを推進するという強い意志のもと、SAPは、統合的な経営管理とレポーティング、倫理的な企業行動、社会的責任といった幅広い活動領域を支援するポートフォリオを展開しています。こうした背景から、SAPが自ら顧客となることは、ごく自然な流れでした。

模範であり推進者でもある私たちは、自ら掲げた目標とパーパスの実現を目指しています。あわせて、自社のITソリューションを限界まで検証する中で得られた知見を製品開発チームと共有し、SAPのサステナビリティのポートフォリオの継続的な改善につなげています。 

お客様の課題に寄り添うSAP

SAPは、お客様と同様に、サステナビリティに関する多くの課題に直面しています。たとえば、データ収集、データ管理および各種規制への対応といった点です。私たちが支援する多くの企業と同じように、私たち自身もカーボンフットプリント、マテリアルフロー、ESG指標など、膨大なサステナビリティ関連データを扱い、バリューチェーン全体にわたってその正確性、一貫性、アクセス性を確保する必要があります。ITシステムへの要求は高く、データの収集・統合・共有を行うだけでなく、その品質、トレーサビリティ、監査可能性を担保することが求められています。

変化し続ける規制動向は、SAPをはじめとする企業にとって新たな課題となっています。各社は、コンプライアンス対応や報告業務のために、自社のシステムを柔軟に適応・活用することが求められています。ITソリューションは、こうした規制の変化に迅速に対応できるよう拡張・調整される必要があり、サプライチェーンのパートナーとの円滑な連携も不可欠です。

さらに、企業は意思決定やステークホルダーへの対応を支える実用的なインサイトを得るために、サステナビリティ関連データを活用する必要があります。これらの課題に正面から取り組むためには、革新性と拡張性を備え、ビジネスのサステナビリティ推進に応じて進化するよう設計されたITインフラが必要です。 

SAPが実践するSAP導入

実際の運用において、SAPのシステムは、お客様が自社のサステナビリティ目標を「測定し、報告し、行動に移す」ことを可能にするよう設計されています。そのために、SAP S/4HANA® Cloud Public EditionSAP® Business Technology Platform (SAP BTP)といった基幹業務システムに、サステナビリティ対応のソリューションが組み込まれています。

これにより、調達、財務、サプライチェーン管理、製品設計など、さまざまな業務領域からのデータを柔軟に統合できる、堅牢なデータ基盤が構築されます。そして、SAP® Sustainability Control TowerSAP® Sustainability Footprint ManagementSAP® Green Ledgerといったサステナビリティ特化型ツールが、持続可能な意思決定を支えるためのデータ、分析、インサイトを提供します。

「SAP Sustainability Control TowerとSAP Green Ledgerをレポーティング活動全体に導入することで、サステナビリティ管理を財務報告と同等の水準へと引き上げることを目指しています」と、SAP SEの最高会計責任者であるクリストファー・セッサー博士(Dr. Christopher Sessar)は述べています。「これらの強力なツールは、ESG規制への対応を効率化・自動化するだけでなく、戦略的意思決定を支援する実用的なインサイトを生み出し、測定可能なサステナビリティ成果と長期的な環境価値の創出に向けた取り組みを加速させます」 

実装からの学び

SAPは、2022年にSAP Sustainability Control Towerを初めて導入して以来、そのアプローチを進化させてきました。初期段階で得られた学びとしては、排出量データを一貫した方法で収集する必要性、ネットゼロプログラムのガバナンスにプロジェクトをしっかりと位置づけること、そしてカーボンフットプリントにとどまらず、より包括的な環境課題を対象にプロジェクトの範囲を拡大することが挙げられます。

次に取り上げられたのは、3層構造で構成されたITアーキテクチャです。最上位のレイヤーは、サステナビリティ、財務、業務オペレーションに関する生データを、さまざまなソースシステムから収集する役割を担います。中間のマネジメントレイヤーでは、これらのデータを処理し、標準化します。そして最下層の計画・レポーティングレイヤーが、サステナビリティに関する意思決定を支えるインサイトを提供します。

この導入プロセスは、1つの会社コードにおいてカーボンフットプリントデータをSAP Sustainability Footprint Managementにアップロードすることから始まりました。今年第3四半期の本稼働までに、対象は5つの会社コードへと拡大される予定です。注目すべき点は、私たちのチームが採用している反復的なアプローチです。この手法により、さまざまなソースからのデータの収集と統合が可能となり、EUの新たな包括規制(Omnibusパッケージ)によってもたらされた変化の中でも、ビジネスを支援する能力を含むユースケースの検証が進められています。

SAPによるサステナビリティの取り組みについて、詳細はこちらからご確認いただけます。


マティアス・メダート(Matthias Medert)は、SAP SEにおけるグローバル・サステナビリティ責任者です。