(本記事は、7月8日に本社で掲載されたものです)

優れた従業員エクスペリエンスは、あればいいというものではなく、企業にとって不可欠なものとなりました。従業員と人事部門とのあらゆるやり取りやタッチポイントは、従業員の感情、エンゲージメント、パフォーマンスに大きな影響を与えます。しかし、職場環境の変化とともに人事への期待が高まる中、人事部は新たなアプローチで課題に対応する必要性が生じています。つまり、より迅速でパーソナライズされた質の高いサポートを提供し、それを大規模に展開することが必要となっています。

企業は、AI を活用したイノベーションと人事サービス提供への統一的なアプローチを取り入れることで、従業員が期待するシームレスでつながりのありエクスペリエンスを実現しながら、人事業務の効率性と戦略的な影影響力を新たなレベルへと引き上げることが可能になります。これはまさに、2025 年上半期にリリースされた SAP SuccessFactorst® HCM の最新版により提供が開始された SAP SuccessFactors® Enterprise Service Management ソリューションが目指す姿です。

例えば、食品・飲料業界向け天然原料のグローバルメーカーであるDöhlerグループのようなリーディングカンパニーでは、すでにその影響力を実感し、次のようメリットを享受しています。

  • 事案の解決時間が33%短縮
  • 生産性が4倍に向上
  • 生成AI によってメール作成時間が 80%削減

Döhler 社の人事オペレーション & サービス部門責任者のポール・ウィッティヒ (Paul Wittig) 氏は次のように述べています。「エンタープライズ・HRサービス・マネージメントによって、デジタル化がさらに進み、透明性の高い、体系化された働き方の実現に向けて大きな一歩を踏み出すことができました」

人事サービス提供の未来が今始まる

従業員エクスペリエンスは、大きなキャリアの節目だけでなく、日常業務の中、さまざまな対話の中で、必要な時に支援を受けることができるかどうかによって決まります。そのため、組織における最も重要な人事上のタッチポイントのひとつが「HRヘルプデスク」であり、同時に、それは非常に負担が大きい部門のひとつでもあります。

大企業の人事サービス窓口担当者は、シェアードサービスセンターとして勤務していることが多く、大量のケース管理と多様なリクエストに対応し、正確性とコンプライアンスを確保する責任を負っています。彼らは月に数百件のサービスリクエストを処理し、各案件の解決にはその複雑さに応じて 1~3 日かかることもあります。その結果、従業員は必要な回答を得るまで待たされることとなり、人事部門は膨大な業務量に圧倒される状況に陥っています。

しかし、このモデルは進化することが可能です。テクノロジーソリューションの進歩が、人事サービスの提供方法を根本から変えています。今や、単に多くの案件を迅速に処理するだけでなく、まずは、そのような案件の発生を未然に防ぐことが求められるようになっています。AI 搭載のインテリジェントなツールであれば、各従業員が自ら回答を見つけられるようになり、人事部門が対応すべき案件数が減り、人事担当者は専門知識を必要とする複雑な課題に集中できるようになります。

Gartner*社によると、「2025 年までに、従業員数 2,500 人を超える企業の70% が、人事サービスマネージメントソリューションに投資するだろう」と予測しています。

この流れは明らかであり、すでに行動を起こしている企業では、案件数の減少、対応時間の短縮、そして従業員と人事部双方にとってよりシームレスな体験といった効果が現れ始めています。

AI がサービス提供のあり方を変革する可能性は、最近の SAP SuccessFactors の調査結果にも表れています。ある調査では、従業員の 89% が、人事関連の質問に AI で回答を得られるようになれば、働きやすさが改善されると回答しました。また別の関連調査でも、人事リーダーたちは、セルフサービスや AI を活用した管理業務を、最も価値の高いユースケースとして挙げています。繰り返し寄せられるリクエストから解放されることで、キャリア開発やトラブル解決など、より意義のある従業員との対話に時間を割けるようになると考えています。

処理速度だけでなく、サポートの根本的性質を変革する可能性を秘めている AI が導入されることで、人事サービスはどのようなものに変わっていくのでしょうか。

AIを活用する単一のクラウドプラットフォームのメリット

SAP SuccessFactors Enterprise Service Management は、AI を活用した統合型クラウドプラットフォームにより、人事サービス提供を根本から変革します。

SAP SuccessFactors Enterprise Service Management の主要なメリットのひとつは、従業員エクスペリエンスの向上です。人事部に付加価値を提供するため、このソリューションは AI を活用して、基盤となるナレッジベースとポリシーデータの検索、分析、更新をサポートし、案件が発生する前に、従業員の質問が解決されるよう支援します。従業員は、SAP の AI コパイロット「 Joule」 を利用することで、コラボレーションツール、豊富なナレッジベース、およびオムニチャネル・セルフサービスエクスペリエンスを通して、必要な回答とサポートに瞬時にアクセスできます。

例えば、育児休暇について聞きたいことがある従業員は、従来のように人事部に質問を提出して回答を待つのではなく、プラットフォーム内で直接 Joule に質問を投げかけることができます。Joule は、会社のポリシーと従業員の適格性に基づいて、正確で個人に合わせたガイダンスを提供し、人間の介入なく瞬時に問い合わせが解決されるよう支援します。質問が複雑な場合、または文書化する必要がある場合、スムーズに案件登録が行われ、迅速かつ適切なサポートのために、すべての関連情報を添付する形で案件が人事サービス担当者に転送されます。Joule の最大のメリットは、SAP システム上のどこからでもアクセス可能で、人事システムにログインする必要がないという点です。

このソリューションは、日常業務のシンプル化と効率の大幅な向上を支援し、人事部にもメリットをもたらします。SAP SuccessFactors Enterprise Service Management は、AI 活用したケース管理、自動化された文書処理、インテリジェントなナレッジ更新により、人事サービスの提供を強化し、人事担当者の作業を削減して、コンプライアンスの向上に貢献します。AI は、このプロセスの中核をなしており、サービスリクエストを自動分類し、コンテンツ要約によって各案件の簡潔でコンテキストに沿った概要を担当者に提供し、さらに最適な次善アクションを提案することで、問題の迅速かつ効果的な解決を支援します。このソリューションは、過去の対話から継続的に学習し、分類と解決のプロセスを時間とともによりスマートで正確なものに改善していきます。生成AIは、明確な対話の要約、統一された解決内容のまとめ、専門的でパーソナライズされたメール下書きを自動的に生成することで、効率性をさらに向上させます。これにより、案件処理の迅速化、コミュニケーションの質の向上、および従業員と人事部双方にとってよりスムーズで一貫したサービスエクスペリエンスの実現を目指すことができます。

SAP Analytics Cloud を組み込むことで、人事部はサービスパフォーマンスのリアルタイムな可視化を実現し、データ駆動型の意思決定を通じて業務の最適化をさらに推進し、従業員エクスペリエンスの向上を図ることができます。

企業・従業員・人事部門のWin-Win-Winな関係

SAP SuccessFactors® Employee Central をコア人事基盤としてすでに活用されている SAP のお客様であれば、SAP SuccessFactors Enterprise Service Management を迅速に導入し、そのメリットを早期に享受していただくことができます。これらのソリューションを組み合わせることで、あらゆるタッチポイントで、コンプライアンスに準拠したパーソナライズされた人事サポートを提供できるAIを活用した統合基盤を構築することが可能になります。

SAP SuccessFactors Employee Central が提供するリアルタイムで信頼性の高いコア人事データにより、従業員は正確で文脈に応じたサポートを受けることが可能になります。さらに、ソリューションに組み込まれたクイックアクション機能により、一般的な 人事タスクもわずか数クリックで完了でき、通常業務の中でスムーズに実行できます。SAP SuccessFactors Enterprise Service Management を活用したケース管理においては、人事サービス担当者は、SAP SuccessFactors Employee Central の従業員プロファイル画面にマッシュアップ(他システムの機能を画面内に統合表示する仕組み)として直接アクセスできるため、システムを切り替える必要なく、関連する従業員情報を即時かつ安全に確認ができます。このソリューションは、SAP SuccessFactors HCM の中核的な投資を、安全かつコンプライアンスに準拠したサービスレイヤーによって拡張し、統合されたデータガバナンス、サービスプロセスの効率化、そして手作業の削減を実現します。その結果、従業員と人事部門双方にとって、シームレスで直感的なエクスペリエンスが提供されます。

私たちは皆、人事業務が単なるバックオフィス機能でないことを理解しています。人事業務は、従業員エクスペリエンスの形成とビジネス成果の推進において、極めて重要な役割を担っています。SAP Business AI を基盤とするSAP SuccessFactors Enterprise Service Managementを活用することで、企業は、従業員が期待するサポートを提供しつつ、人事部門の負担を軽減し、業務効率を高めることができます。その結果、企業、従業員、人事部の三者すべてにとってメリットのある「Win-Win-Winな関係」がもたらされるのです。

人事サービス提供におけるSAP SuccessFactors Enterprise Service Management の詳細は、こちらをご参照ください。


ララ・アルバート (Lara Albert) は、SAP SuccessFactors のチーフ・マーケティング・オフィサーです。
*出典:Gartner 社「Market Guide for Integrated HR Service Management solutions」2024 年 5 月