変革の実践者が語るDX・AXを成功に導く要諦

今回のイベントでは、堤氏による講演ののちに同氏を交えたパネルディスカッションが「DXとAIで業務改革を成功に導く秘訣とは?」という演題のもとで展開されました。

ディスカッションには、堤氏に加えてNTTアドバンステクノロジの都筑 純氏(アプリケーション・ビジネス本部 AIXソリューションビジネス部門 AI&DXコアデザイン担当 統括マネージャ)と、新進気鋭のAIスタートアップ、Algomaticの代表取締役CEO、大野 峻典氏がパネリストとして参加しました。このうち都筑氏は、堤氏と同様にFit to Standardの方針のもとで「SAP S/4HANA Cloud」の導入をリードした人です。また、今回のディスカッションでは、SAPジャパン ファイナンス&スペンドマネジメント事業本部の藤井 善豪がモデレーターを務めました。

パネルディスカッション登壇者
左からSAPジャパン 藤井、SOLIZE 堤氏、NTTアドバンステクノロジ 都筑氏、 Algomatic 大野氏

 

そのディスカッションの中で、堤氏は「Fit to Standard」による業務改革の効果について改めてこう述べます。

 

SOLIZE株式会社 上席執行役員 堤 寛朗氏

堤氏:SAP S/4HANA Cloudの導入から4年が経過した現在、Fit to Standardの効果は組織全体に波及しています。これにより、例えば、新しい部門・部署が増えても、標準のプロセスを横展開するだけで済むようになり、プロセスから発生した個別的な業務が生まれることもなくなりました。こうした標準化されたプロセスのもとで、クリーンなデータの蓄積が進んでいます。

 

 

 

 

NTTアドバンステクノロジ株式会社
アプリケーション・ビジネス本部 AIXソリューションビジネス部門
AI&DXコアデザイン担当 統括マネージャ 都筑 純 氏

こうした効果は、NTT ATの都筑氏も実感しているといいます。

都筑氏:当社では2019年から「SAP S/4HANA Cloud」を、クリーンコアの状態で使っています。ゆえに、6年分のクリーンなデータが蓄積され、いつでもどこでも、それらを活用し、経営やビジネスの最適化が図れる状態になっています。

 

 

 

 

 


AIによる業務改革で成果を上げる秘訣

一方、Algomaticの大野氏は、クリーンなデータを使いながら、AI活用を進めることの意義について次のような見解を示します。

株式会社Algomatic 代表取締役CEO 大野 峻典氏

大野氏:例えば、情報の検索という領域においてGoogle検索に対抗して人力だけで挑もうとする人はいないはずです。それと同様に、必要なデータが揃っていれば、生成AI技術を使ったAIエージェントは、営業の初期商談などにおいて、人の何十倍、何百倍のパフォーマンスで適切な提案を作成し、顧客に提示できるのです。それによって実現される業務プロセス改善の効果はきわめて大きいといえます。

ただ、そうしたAIエージェントの活用を巡っては、日本企業にいくつかの課題があると、大野氏はいいます。なかでも、日本企業ならではの課題といえるのが、独自の業務プロセスへの固執です。

大野氏:日本企業は自社独特のワークフロー、あるいは部門ごとに局所最適のワークフローを定義し、それを維持したがる傾向があります。そうした独自的なプロセスへのこだわりは、AIエージェントなどの革新的なデジタル技術を使った業務改革の効果を限定的なものにとどめてしまう可能性があります。AIエージェントの導入効果を最大限に高めるためには、同技術の活用を前提に業務プロセス全体を再設計し、標準化することが不可欠です。言い換えれば、AIエージェントの有効活用を図るうえでは、個別的な独特プロセスから抜け出す勇気がいるということです。

都筑氏も、堤氏も、DXに向けてFit to Standardの取り組みを推進するに当たり、自社の独実的なプロセスをすべて捨て去る決断を下しています。

都筑氏:既存の業務プロセスから抜け出すのは、相当の覚悟がいる決断で難度の高い取り組みです。それでも当社がFit to Standardを推し進め、相応の成果を手にできたのは、経営陣が自社の将来のためにチャレンジングなことをしようと覚悟を決めたからです。

もっとも、都筑氏や堤氏が、Fit to Standardによる業務改革に乗り出した当時は、AIエージェントも、生成AIも市場に登場していませんでした。ゆえに両氏はともに、AIの活用を前提した業務プロセス設計は行っていません。ただ、仮に今からFit to Standardによる業務改革のプロジェクトに着手するならば、間違いなくAI(ないしはAIエージェント)の活用を前提にした業務プロセス設計を行うと両氏は名言しています。

この言葉を受けたかたちで、大野氏は、AIによる業務改革に向けて「明日からオススメしたいこと」としてこう述べています。

大野氏:とにかく既存の生成AIツールを使い始めることが大切です。例えば、いまかかえているタスクを進める際に生成AIツールを使ってみてください。それによって得られた成功体験は、さらなる活用のモチベーションアップにつながります。加えて、生成AIにとってどんな業務が得意か、不得意かの解像度も上げられるます。小さな成功体験の積み重ねが、組織においてAIを業務に根付かせる第一歩になるのです。

(/全体了)

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