(本記事は、3月12日に本社で掲載されたものです)
2025年10月に開催された SAP® Connectにおいて、私たちは次世代 SAP Ariba®を発表し、調達テクノロジーが今日の現実に応えるために、どのように進化すべきかという大きな転換点を示しました。そして今、そのビジョンが現実のものとなります。
次世代 SAP Ariba の提供開始を、ここに発表いたします。これは、AI 時代にふさわしい ソーシングから支払まで(Source-to-Pay))の再定義を目指す SAP にとって、新たなフェーズの幕開けとなります。今回のマイルストーンは、構想から実践への移行を意味します。根本から再構築されたプラットフォームが、いよいよお客様のお手元へと届きます。
今回のマイルストーンは、業界からの高い評価とともに達成されました。SAP は、2026 年 Gartner® Magic Quadrant™ の Source-to-Pay スイート分野において「リーダー」に選出されました。この評価は、次世代 SAP Ariba の提供開始に加え、プラットフォームの刷新、ならびにエンタープライズ規模での AI によるイノベーションに継続的に取り組んできた成果が認められたものです。
基盤の再構築が重要である理由
調達部門のリーダーの間では、AI のポテンシャルが広く認識されていますが、その効果は必ずしも一様ではありません。期待は高まっているものの、成果は AI の性能(アルゴリズム)だけで決まるわけではありません。AI が真の価値を発揮するためには、適切なデータ、プロセス、そしてプラットフォームアーキテクチャに支えられていることが不可欠です。こうした考え方に基づき、私たちは SAP Ariba をゼロから再構築するという決断を下しました。
独立系アナリスト企業である Ardent Partners社は、次世代 SAP Aribaを「世界最大かつ最も広く定着した Source-to-Pay プラットフォームを、根本から再構築したもの」と評しています。また、この取り組みは、既存のレガシーシステムに単に AI 機能を追加することにとどまらない点を強調しています。むしろ、AI を高い信頼性のもとで、かつ大規模に活用するために必要なアーキテクチャ基盤を確立するものです。
これは、「持続的なインパクトを生み出すためには、コアからのモダナイゼーションが不可欠である」という、お客様から一貫して寄せられてきた声とも一致しています。
SAP® Business Technology Platform 上に構築された AI ネイティブの Source-to-Pay プラットフォーム
次世代の SAP Ariba は、SAP Business Technology Platform (SAP BTP)を基盤として構築されています。 これにより、調達から支払いまでの一連のプロセス全体で、リアルタイムに連携したデータを一元的に活用できるようになります。基盤をゼロから再構築したことで、SAP® Cloud ERPとのより強固な連携に加え、高い拡張性と迅速なイノベーションを実現しています。
SAP BTP への移行により、 SAP Ariba はオープン API のサポートやデータの一貫性、 AI 主導の調達に欠かせないレスポンス性能を実現します。これらは主要なプラットフォームに不可欠な要素でありながら、レガシーな構造では到達しえなかったものです。
次世代機能は、2026 年から 2027 年にかけて段階的に提供される予定です。これにより、お客様は自社のビジネスの優先順位に合わせて、最適なペースで柔軟にイノベーションを取り入れることができます。
Joule によるインテリジェンスの組み込み:インサイトからアクションへ
次世代 SAP Ariba を象徴するのは、Joule が調達ワークフローに深く統合されている点です。AI を単なるオプションの追加機能として扱うのではなく、業務が実際に行われるその場にインテリジェンスを組み込んでいます。これにより、日常的な業務プロセスにおける摩擦を減らしながら、より迅速で、情報に基づいた意思決定を支援します。
初期段階で提供される主な機能には、以下が含まれます。
- 入札分析エージェント:総コストの検討を含め、複雑な入札シナリオを自動的に評価します。
- AI アシストによる契約サポート:定型的な問い合わせへの対応を自動化し、契約内容の要約生成や詳細情報への即時アクセスを支援します。
これらの機能は、絶え間ない手動入力を前提としたシステムから、成果の実現に向けて自律的に動くプラットフォームへと進化していく、大きな転換を示しています。
一元化により実現する、直感的な調達エクスペリエンス
次世代 SAP Ariba は、調達から支払いまでのライフサイクル全体にわたって長年の課題であった分断にも対処しています。
主な改善点は以下のとおりです。
- SAP Ariba Intake Management(グローバルに提供開始): 調達依頼の単一エントリーポイントを提供します。
- SAP Fiori ベースのシンプルなユーザーエクスペリエンス: 中央集約された SAP Fiori ラウンチパッドを通じて提供します。
- モダナイズされた契約ライフサイクル管理:Icertis Contract Intelligence との連携により実現します。
これらの改善により、調達業務はユーザーにとってより関わりやすいものとなる一方、バックエンドではプロセスの連携、コンプライアンス、そしてインテリジェントな運用が維持されるよう設計されています。
お客様にとってのメリット
既存の SAP Ariba をご利用のお客様に対して、次世代 SAP Ariba は、選択の自由と継続性を提供します。具体的には以下の対応が可能です。
- お客様の任意のタイミングで、次世代 SAP Aribaへ移行できます
- 追加のライセンス費用なしで、次世代の機能をご利用いただけます
- 移行期間中は、現行環境と次世代環境を並行して運用することで、リスクや業務への影響を抑えられます
SAP は、計画的な移行を支援するためのツール、サービス、ならびに先行スケジュールを提供しています。これにより、お客様は期限に追われることなく、確信を持って移行を進めることができます。
次なる進化への基盤
次世代 SAP Ariba は単なるゴールではなく、調達の未来に向けた基盤です。
AI ネイティブなアーキテクチャ、組み込まれたエージェント型インテリジェンス、そして一元化されたユーザーエクスペリエンスを備えたこの次世代 SAP Ariba は、単なる事務処理の効率化にとどまらず、より高度な意思決定やレジリエンスの強化、および測定可能なビジネス成果の創出へと組織を導きます。
Ardent Partners社が指摘するように、今回の刷新は SAP Ariba のお客様だけでなく、調達テクノロジー業界全体に変革を促す存在となる可能性を秘めています。広大なネットワーク、蓄積されたデータ、および AI を根本から新しい手法で組み合わせることで、次世代 SAP Ariba は、現代の Source-to-Pay プラットフォームが提供し得る価値のあり方を再定義しようとしています。
本ソリューションの提供開始にあたり、私たちはお客様とパートナーとして連携し、ビジョンを価値へと具現化していくことを楽しみにしています。ともに、インテリジェントな調達の未来を形づくっていきましょう。
Baber Farooq(ベイバー・ファルーク)は、SAP Ariba および SAP Fieldglass® のプロダクトマーケティング担当シニア・バイス・プレジデントです。


