(本記事は、7月29日に本社で掲載されたものです)
現代のB2Bバイヤーは、Webサイト、モバイル、マーケットプレイス、パートナーポータルなど、あらゆるチャネルでシームレスな体験を求めています。実際に、B2Bバイヤーの84%が、サプライヤーがオンラインとオフラインの複数チャネルで事業を展開していることを重要視しています。*
こうした期待に応えるため、企業は、サイロ化されたコマースチャネル運用から脱却し、コマース、受注引当、フルフィルメント、カスタマーサポートをカスタマージャーニー全体で統合する、連携された自律型CXモデルへ移行する必要があります。
SAP® Customer Experience向けAdvanced Success Planは、成果ベースのガバナンスを通じてオムニチャネル機能の構築を加速し、この移行を支援します。断片化された業務運営から連携されたオペレーションへの転換を促し、チャネル横断で一貫したカスタマーエクスペリエンスを実現するとともに、コマースとセールスおよびサービス業務の連携を強化し、エンド・ツー・エンドの整合性向上を通じてコンバージョン率やリピート購入率の向上を支援します。
B2B購買の実態
今日のB2B購買プロセスは、もはや直線的なものではありません。購買担当者は意思決定に至るまでに、デジタルチャネル、営業担当者、カスタマーサービスなど、さまざまな接点を行き来します。マッキンゼー(McKinsey)の「B2B Pulse」調査によると、購買担当者は意思決定を行う前に、通常複数のチャネルを通じて企業と接点を持つことが明らかになっています。**
これは、デジタルコマースが購買プロセスの中核を担うようになっていることを示しています。実際、世界のB2B事業者の58%が、少なくとも3つのEコマースプラットフォームで販売を行っています。†
一方、お客様の期待も大きく変化しています。チャネル問わず一貫した体験は当然のものと受け止められ、デジタルセルフサービスが最初の接点となるケースも少なくありません。また、迅速さと透明性は、今や不可欠な基本要件となっています。
その結果、企業はカスタマーエクスペリエンスの向上を図る一方で、舞台裏で進む業務運営の複雑化にも対応しなければならないという、二重の課題に直面しています。
コマース、セールス、サービスの融合
B2Bビジネスでは、複雑な業務運営と密接につながるカスタマージャーニーへの対応が求められます。企業は、顧客ごとに異なる価格設定や契約条件、膨大かつ変化の激しい製品カタログ、多段階の承認プロセス、複数拠点にまたがるフルフィルメント体制に加え、コマース、ERP、セールス、サービスシステム間の連携も管理しなければなりません。しかし、お客様がこうした複雑さを意識することはありません。お客様にとって重要なのは、商品の発見から購入、フルフィルメント、サポートに至るまでの一連の体験がシームレスにつながっていることです。
典型的なカスタマージャーニーでは、オンラインで商品を見つけ、営業担当者と価格条件を調整し、セルフサービスチャネルを通じて注文を行い、その後の問題をサービス部門とのやり取りを通じて解決するといった流れが考えられます。DHLの「B2B E-Commerce Trends」をはじめとする調査でも示されているように、リアルタイムな可視性、迅速な課題解決、一貫したお客様対応に対する期待は高まり続けています。さらに同レポートによると、B2B小売事業者の78%が、今後3〜5年でWebサイト経由の売上が増加すると見込んでおり、デジタルチャネルがビジネスの中核となっていることを裏付けています。†
しかし、多くの企業では依然として部門やシステムが分断された状態にあります。その結果、データの不整合、顧客接点全体の可視性の欠如、問題解決の遅れ、そして分断されたカスタマーエクスペリエンスが生じがちです。だからこそ、オムニチャネル変革は単にチャネルを増やすことではなく、コマース、セールス、サービスを統合された業務フローとしてつなぐことが重要なのです。
基盤としてのプロセスエクセレンス
ビジネスの複雑化が進むなか、エンド・ツー・エンドでプロセスを連携させることの重要性が高まっています。お客様が体感するのはシステムではなく成果であり、その成果はコマース、セールス、サービス、フルフィルメントの各プロセスがどれだけ連携しているかによって左右されます。
問題が生じるのは、営業部門で合意された条件がコマースシステムに反映されていない場合や、フルフィルメントが受注時の約束と整合していない場合、サービス部門が顧客の状況を十分に把握できていない場合、あるいはチャネルごとにデータが異なっている場合です。こうした問題は個別のシステム障害ではなく、分断されたプロセスの表れです。
実際には、お客様がポータルで確認した価格と見積書の価格、注文確認書の価格がそれぞれ異なることがあります。また、組織内の別の部門ですでに把握している情報を、サービス担当者がお客様に繰り返し確認しなければならない場合もあります。基盤となるテクノロジーが整備されていても、プロセスが連携していなければ、カスタマーエクスペリエンスは依然として分断されたものになってしまいます。
プロセスエクセレンスに取り組む企業は、一貫したカスタマーエクスペリエンスの提供、業務上の摩擦の軽減、業務効率の向上、そして複雑な B2B ビジネスモデルの拡張を実現しやすくなります。また、プロセスが分断された引き継ぎに依存していなければ、変化への対応も容易になります。基盤となるカスタマージャーニーが適切に連携されていることで、組織は変化に対してより迅速に適応できるようになります。
なぜオムニチャネルが重要なのか
B2Bにおけるオムニチャネルとは、単に購買チャネルを増やすことではありません。重要なのは、それらのチャネルを連携させることです。お客様があるチャネルで購買プロセスを開始し、別のチャネルで完了する場合でも、その引き継ぎは自然に行われる必要があります。そうでなければ、カスタマーエクスペリエンスはたちまち分断されたものになってしまいます。
なぜなら、B2Bバイヤーは、自らの購買体験を日頃利用している消費者向けサービスの体験と比較するようになっているからです。バイヤーは、わかりやすいナビゲーション、透明性の高い価格設定、信頼できる注文状況の更新、そして顧客企業の状況を十分に把握したサービスチームによる対応を期待しています。つまり、B2B購買に求められるサポートや複雑な要件への対応を維持しながら、デジタルコマースの利便性も享受したいと考えているのです。
しかし、まさにこの点で多くの企業が課題を抱えています。優れたオンラインストアを備えていてもバックエンドの連携が不十分な場合や、営業支援は充実していても注文後の可視性が十分ではない場合があります。オムニチャネル変革は、お客様との接点における体験と、その裏側で支える業務プロセスを結び付けることで、このギャップを解消します。
SAP Customer Experience 向け Advanced Success Plan による成果実現の加速
SAP Customer Experience 向け Advanced Success Plan は、成果重視のガバナンスと、戦略から実行までの連動を通じて、企業のオムニチャネル機能の構築・拡張を支援します。
このプランは、単なるシステムの導入にとどまらず、カスタマージャーニー全体における計測可能な成果に重点を置くものです。これには、一貫したオムニチャネルエクスペリエンスの実現をはじめ、SAP® Commerce Cloud、SAP® Sales and Service Cloud、およびフルフィルメントプロセスの連携、大規模なカタログや複雑な契約の管理、受注引当とフルフィルメントの連携改善、エンド・ツー・エンドのプロセス連携の強化などが含まれます。
その目的は、個々の機能を個別に運用するのではなく、すべての機能を統合されたシステムとして機能させることです。
これは、1つの取引に複数の関係者、個別の価格設定ルール、承認プロセス、さらには複数のシステムが同時に関与することも珍しくないB2B環境において、特に重要です。明確なガバナンスと連携がなければ、どれほど優れたデジタルツールであっても、業務を円滑にするどころか、かえって混乱を招く可能性があります。
一方で、適切な運用モデルを確立できれば、企業はこうした複雑さを強みに変えることができます。お客様とのやり取りにおける摩擦を減らし、社内業務の効率を高めるとともに、あらゆるチャネルで、より信頼性の高い購買体験を提供できるようになります。
SAP Customer Experience 向け Advanced Success Plan には、SAP のセールスおよびサービス全体にわたるエンド・ツー・エンドのプロセスフローや、ビジネスプロセス実行のベストプラクティスへの理解を支援する Business Process Best Practices が含まれています。このサービスでは、標準プロセスを提示することで、複雑なランドスケープにおけるソリューションの迅速な導入時や、複数のソリューション導入によってエンド・ツー・エンドの視点が十分に考慮されず、プロセスが分断されることで生じるギャップの解消を支援します。
まとめ
オムニチャネルコマースと B2B のデジタルトランスフォーメーションは、企業がお客様と関わり、価値を提供するあり方を変えつつあります。その成功のカギを握るのは、強固なエンド・ツー・エンドのプロセスに支えられた統合運用モデルのもとで、コマース、セールス、サービス、フルフィルメントを連携させることです。
プロセスエクセレンスと成果重視のガバナンスに注力する企業は、高まるお客様の期待に応えながら、ビジネスを効果的に拡大していくうえで有利な立場にあります。SAP Customer Experience 向け Advanced Success Plan は、戦略と実行を結び付け、カスタマージャーニー全体を通じて一貫した成果の実現を支援することで、こうした取り組みを後押しします。
B2B 企業にとって真の変革とは、単にデジタルツールを導入することではありません。裏側のオペレーションがどれほど複雑であっても、お客様にとってはシンプルな体験として感じられるよう、チャネル、プロセス、チームが一体となって機能する運用モデルを構築することなのです。
ニコラ・ストヤノフスキ (Nikola Stojanovski) は、SAP Customer Experience 向け Advanced Success Plan のプロダクトマネージャーです。
タラ・トレイシー (Tara Tracey) は、SAP Customer Experience 向け Advanced Success Plan のグローバルプロダクトオーナーです。
*Digital Commerce 360, 2025
**McKinsey, 2021
†DHL, 2025


