クラウドからコートへ:Wilson 社、SAP の活用によりさらなるスマート化と迅速化を実現

フィーチャー

(本記事は、9月1日に本社で掲載されたものです)

今月、アレックス・デミノー選手がフラッシング・メドウズ・コロナ・パークのコートで手にする Wilson 社のラケット Ultra v5。その存在は、長年のトレーニングに裏打ちされたプレーを支えるだけでなく、それ以上の大きな意味を持っています。シカゴにある Wilson 社のイノベーションセンターで誕生し、全米オープンのコートで観客の前にその姿を現すまで——このラケットは、一貫して連携されたプロセスから生まれた成果そのものなのです。

ラケットフェースへの繊細なストリング張り、デザインのカスタマイズ、梱包、配送、そしてこれらすべての工程を支えるシステム——そのすべてが、世界ランキング5位のデミノー選手が必要とするまさにそのタイミングで、倉庫から彼のギアバッグへとラケットを確実に届けるグローバルサプライチェーンの一部です。

原材料の調達やグローバルサプライヤーとの連携から、製造、倉庫管理、通関、そしてラストワンマイルの配送に至るまで——その道のりこそが、まさにサプライチェーンのストーリーであり、それを支えているのが SAP です。

デミノー選手が最高峰の舞台で戦うために選んだ、この入念に作り込まれたラケットや、Wilson 社のシューズ、シャツ、キャップ、ショーツ——これらは、同社が世界中のアスリートやカスタマーに向けて製造・供給している数千もの製品のほんの一部にすぎません。

あらゆる製品の背景には、製造、倉庫管理、店舗販売、EC、B2B チャネルを網羅するグローバルな業務ネットワークが広がり、さらに、それらすべてをスムーズに機能させているデジタル基盤があります。

グローバルなスポーツ用品ビジネスを支える力

Wilson 社は、スポーツ用品およびアパレルのグローバルリーダーであり、テニス、バスケットボール、野球、ゴルフなど、多様な競技において1世紀以上にわたるイノベーションの歴史を築いてきました。世界最高峰のアスリートに向けたハイパフォーマンスなギア開発から、あらゆるレベルのプレーヤーに応える製品作りまで、同社はスポーツへの深い知見と革新性、そして職人技を融合させ、すべてのアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるよう支援しています。

20 年近くにわたり、Wilson 社はグローバルな事業運営の基盤として SAP を信頼してきました。財務、営業、物流、倉庫管理、その他重要な小売業務全般に携わる何百人もの従業員が SAP のシステムを通じてつながっています。

Wilson 社における SAP システム環境は、ERP を中心に、サプライチェーン管理、データ&アナリティクス、調達・購買、出張管理、貿易管理、システム統合、エンタープライズアーキテクチャに至るまで多岐にわたっています。同社の現在のシステム環境には、SAP® ERP Central Component(SAP ECC)、SAP® Analytics Cloud、SAP® Datasphere、SAP® Business Data Cloud、SAP® Business Technology Platform をはじめ、SAP Ariba®、SAP Concur®、SAP® LeanIX などのソリューションが含まれています。

そして、Wilson 社の SAP を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)は今も進化を続けています。同社は 2027 年から開始される大規模な SAP S/4HANA® への移行に向けた準備を進めており、拡張倉庫管理(EWM)、輸配送管理、品質管理、オムニチャネル対応といった領域で新たな可能性を切り拓こうとしています。この SAP S/4HANA への移行プロセスの一環として、Wilson 社はコード変換の支援に Joule を活用しており、業務への AI 機能導入に向けた第一歩を踏み出しています。

シームレスなカスタマーエクスペリエンスを支える、一元化された統合基盤

コート内外で Wilson 社を選ぶデミノー選手のようなプロアスリートにとどまらず、世界中の一般カスタマーも、実店舗、EC サイト、B2B チャネルなど多様なチャネルを通じて同社の製品を購入・利用しています。こうしたカスタマーエクスペリエンスの舞台裏では、製品、注文、在庫、倉庫管理などの各種データと、それらに関連するビジネスプロセスが複雑に絡み合い、互いに連携しながら機能することが求められます。

スポーツのスピード感を支える技術

プロスポーツの世界は変化のスピードが目まぐるしく、テニスの試合の流れもほんの数秒で一変します。Wilson 社といったグローバル企業にとっても、世界中のカスタマーやアスリート向けに製品を設計・製造・販売・配送するプロセスは、同様に迅速で、きわめて高い正確性と対応力が求められます。

グランドスラムをはじめとする世界的イベントや、Wilson 社のアンバサダー選手による大会優勝は、選手が愛用するギアや、ファンが求める製品への需要を急増させます。こうした需要の変化に即座に応じるため、同社は国や地域を越えて在庫、生産、物流拠点、小売店、EC などをシームレスに連携させ、柔軟に対応できる体制を維持・強化しています。SAP® Extended Warehouse Management、SAP® Global Trade Services、SAP Concur、SAP Ariba といったソリューションは、グローバルなリテール事業における複雑かつ変化の激しいニーズに対応し、よりスマートで迅速な業務運営を可能にするデジタル基盤として Wilson 社のビジネスを支えています。

この 9 月、ニューヨークの地で世界中のファンの注目を集めるのは、信頼する Wilson のラケットを手に、カスタマイズされた新しいウェアをまとってコートに立つアレックス・デミノー選手の姿です。しかしその舞台裏には、ラケット 1 本、シューズ 1 足、ウェア一着に至るまで、すべての製品がたどる複雑なストーリーとそれを包括的に支えるエコシステムが存在します。そしてそれらを陰で動かしているのが、SAP のテクノロジーです。

「テニスは準備がものを言うゲームだ。コートに立つ僕の手のひらに伝わるラケットの感触、着用するウェア、あらゆるディテールがゲームを左右する。Wilson とそのビジネスを支えるテクノロジーによって必要なものが必要なときに確実に用意されているという安心感が、パフォーマンスだけに集中できる環境を整えてくれる」

アレックス・デミノー

テニスの試合においても、グローバルビジネスにおいても、成功の鍵はすべての要素がひとつになって機能することにあります。SAP のテクノロジーを基盤として、Wilson 社はグローバルな事業運営において最高のパフォーマンスを追求し続けています。

そしてコートに立つアレックス・デミノー選手もまた、万全の準備が整っているという確信をもとに、勝利への一打だけにすべてを注ぐことができているのです。