(本記事は、8月31日に本社で掲載されたものです)
企業におけるシステム統合は、これまでも重要な基盤として位置付けられてきました。しかし、AIエージェントが複数のアプリケーションをまたいで業務プロセスをオーケストレーションするエージェンティックAIの時代を迎えた今、適切な統合基盤を整備する重要性はかつてないほど高まっています。
多くの企業において、この10年間で構築されてきたシステム間連携や統合の環境は、現在求められている要件を前提に設計されたものではありません。ポイント・ツー・ポイント接続、レガシーミドルウェア、そして数多くのシステムにまたがる断片化したツール群は、バッチ処理や定期的なデータ連携が中心だった時代には、管理可能な制約として機能していました。
エージェンティックAIの登場によって状況は大きく変わりました。自律型エージェントには、アプリケーション環境全体にわたるデータへのリアルタイムアクセス、一貫したガバナンス、そしてボトルネックを生むことなく拡張できる統合レイヤーが求められます。統合基盤のモダナイゼーションを進めてきた企業は、この変化に対して明確な先行優位性を有しています。
SAP は IDC に委託し、高度なイベントメッシュ機能を備えた SAP Integration Suite の利用企業を対象に詳細な分析調査を実施しました。SAP Integration Suite は、SAP の AI、データ、統合機能を統合的に提供する基盤である SAP® Business AI Platform 上で提供される、SAP の主力 iPaaS(Integration Platform as a Service)です。
今回のビジネスバリューホワイトペーパーの作成にあたり、IDC 社は製造、消費財、エネルギー、フィンテック、ヘルスケア、小売、運輸業界の 8 社を対象に詳細なインタビュー調査を実施しました。これらの企業は米国、ドイツ、デンマーク、インド、英国で事業を展開しており、平均従業員数は 48,529 人、年間売上高は平均 145 億 3,000 万ドルにのぼります。なお、調査結果はモデル化された統合データではなく、実際の導入成果に基づいて算出されたものです。
IDC ビジネスバリューホワイトペーパーによると、SAP Integration Suite の利用企業は、3 年間で 368% の ROI を達成し、投資回収期間は 8 カ月という成果を上げています。また、アプリケーション連携 1 件当たり年間平均 4 万 7,900 ドルの効果を創出しており、組織全体では年間平均 936 万ドルの価値につながっています。
注目すべき定量的成果
本IDCビジネスバリューホワイトペーパーでは、現代企業のシステム統合に関わる幅広い領域で確認された定量的な成果を示しています。
- 統合のスピードと拡張性
- アプリケーション連携数:78%増加
- アプリケーション連携の完了時間:41%短縮
- 処理されたアプリケーションメッセージ数:99%増加
- 運用の信頼性
- 計画外停止の発生数:58%削減
- 連携エラーの解決時間:35%短縮
- 連携エラーの発生数:19%削減
- 業務プロセスの自動化
- 自動化された業務プロセス数:49%増加
- 業務プロセス担当チームの効率:21%向上
- ビジネスパートナーのオンボーディング時間:32%短縮
- 開発者およびチームの生産性
- 開発チームの生産性:29%向上
- 新規アプリケーションの開発ライフサイクル:31%短縮
- アプリケーション統合チームの効率:32%向上
これらは予測値ではありません。IDCのAI・データ・自動化担当グループバイスプレジデントであるシャリ・ラヴァ(Shari Lava)氏と、Business Value Strategy担当リサーチバイスプレジデントのマシュー・マーデン(Matthew Marden)氏が実施した、実在する8社への詳細なインタビュー調査に基づく平均的な成果です。
大規模な異種混在環境をサポートする統合プラットフォーム
今回の調査で得られた知見のうち、マルチベンダー環境でSAP Integration Suiteの導入を検討しているお客様やパートナーにとって、特に注目すべき結果があります。それは、調査対象企業において、統合されたアプリケーションの平均64%が非SAPアプリケーションであり、連携の82%が少なくとも1つの非SAPアプリケーションを含んでいるという点です。
SAP Integration Suiteは、SAPシステムにしか使えないといったSAP専用のプラットフォームではありません。現代企業が実際に運用している異種混在のアプリケーション環境全体を支える統合基盤であり、SAPシステムと非SAPシステムの混在環境や、大規模な環境でも高い信頼性を維持しながら連携できるバックボーンです。
ある調査参加企業は、実際の運用におけるその役割について次のように語っています。「SAP Integration Suiteは、当社にとって外部との主要な接続基盤です。当社のSAPシステムに接続する際は、必ずSAP Integration Suiteを経由します。APIアクセスやデータアクセスの窓口であるだけでなく、当社とのコラボレーションや、SAPシステムとのデータの送受信を担う中心的な窓口となっています。」
AI 時代を見据えた機能群を一体的に提供
本調査が実施されたタイミングは、極めて象徴的です。現在、多くの企業がエージェンティックAIの活用を加速させており、企業全体のアプリケーション環境をリアルタイムに横断しながら、業務をオーケストレーションし、監視し、必要なアクションを実行する自律型エージェントの導入を進めています。もはや統合はバックオフィス側での検討課題ではなく、AI主導の自動化が成功するか停滞するかを左右する運用レイヤーそのものとなっています。
SAP Business AI Platformの一部として提供されるSAP Integration Suiteは、API管理、拡張イベントメッシュによるイベント駆動型アーキテクチャ、そしてAIネイティブな機能を統合しています。これにより、企業はエージェンティックAIのワークロードに必要なガバナンス、可観測性、リアルタイムな接続性を実現できます。さらに、MCPのネイティブサポート、LLM接続、エージェント間のオーケストレーションにも対応しており、自律型業務プロセスを支える基盤となります。
調査参加企業も、この価値について直接言及しています。ある企業の担当者は次のように述べています。「SAP Integration Suiteの真の価値は、クラウドプラットフォーム統合、API管理、そして拡張イベントメッシュといったさまざまな機能が組み合わされている点にあります。これらの機能が一体となっていることが、当社にとって非常に重要なのです」
また別の担当者は、AI主導の環境における信頼性の重要性について次のように語っています。「SAP Integration Suiteによって、私たちが構築する統合の信頼性と標準化が向上していることを実感しています。これにより、さらなる拡張性の向上が可能になっています。リスクであり、技術的負債の原因でもあったポイント・ツー・ポイント型の連携は、もはや存在しません」
ビジネス価値は明確です
3年間で368%のROI、そして8カ月での投資回収という成果は、それだけでも非常に説得力があります。しかし、その数字の背景にある価値も同様に重要です。企業は、より多くのアプリケーションを連携し、より多くの業務プロセスを自動化できるようになります。また、障害発生時の復旧を迅速化し、パートナーのオンボーディングを加速できるだけでなく、現在投資を進めているであろうAIワークロードにも対応可能なプラットフォームでこれらを実現できます。
「SAP Integration Suiteによって、私たちはより多くのイノベーションを実現できるようになりました。使いやすく、開発者も満足しています。優れた成果が得られているため、私たちはこれまでに構築してきた基盤をさらに発展させ続けています」
これこそが、次なるフェーズに向けた確かな基盤となります。
IDC ビジネスバリューホワイトペーパーの全文はこちらからご覧いただけます。
変革はすでに始まっています
9月9日、The Scotts Miracle-Gro CompanyでSAP Operations Directorを務めるマニ・ヴェライユダン(Mani Velayudhan)氏がSAPとともに登壇し、同社がどのように統合戦略を将来に向けて強化し、エージェンティックAIへの備えを進めてきたのか、そしてそれが複雑なマルチベンダー環境でAI活用を拡大する企業にとって何を意味するのかについて語ります。ウェビナーへの参加登録はこちらから
シド・ミスラ(Sid Misra)は、SAP Business AI PlatformのTechnology Foundation担当最高マーケティング責任者です。
出典:IDC Business Value White Paper(SAP協賛)『The Business Value of SAP Integration Suite』(Doc #US54820926-BVWP、2026年8月)、IDC Business Value Snapshot(SAP協賛)『The Business Value of SAP Integration Suite』(Doc #US54820926-BVS、2026年8月)


