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人事情報一元化のその先へ 人材データ活用のはじめかた 第1回:ピープルアナリティクスと人的資本の情報開示

Mature man looking at a digital tablet that a colleague is showing at work

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「ヒト」は「モノ」や「カネ」と違って定量化が難しい、経験と勘によるアナログな管理が必要、と言われることが多い人事・人材領域においても、昨今、人事戦略や方針の中で「データドリブン」、「データ活用」という単語を見ること、聞くことが多くなりました。

全社的なDX推進の流れが人事領域に影響しているということもありますが、「ピープルアナリティクス」、「非財務指標としての人的資本の情報開示」という人事トレンドからも人材データの活用が注目されています。

一方で、データドリブンを掲げる人事部門の方からは、人材データをどう活用してよいかわからないという相談をいただくことも多くなっています。そこで本稿シリーズでは、人材データの活用を検討する際の考え方や、勘所をご紹介します。

 

ピープルアナリティクスと人的資本の情報開示

ピープルアナリティクスとは、人に関するさまざまなデータを分析することで洞察を得ることです。人事台帳で管理している基本データだけでなく、従業員本人の希望や適性、行動に関するデータなど、人に関する幅広いデータの収集および蓄積が可能となり、さらに高度な分析ができるツールが出始めたことから、ピープルアナリティクスは、今までの人事業務の延長ではなく、人事の新たな領域として注目されています。

人的資本の情報開示とは、企業価値の源泉であるヒトについて、非財務情報であるが重要な経営指標として管理・開示していこうという動きのことです。昨今の経営において重視されているESGの観点や、SEC(米国証券取引委員会)による人的資本情報の開示の義務付け、ISO(国際標準化機構)による人的資本情報の開示に関するガイドライン発表など、対外的にも必要性が高まっています。

ピープルアナリティクスと人的資本の情報開示は、それぞれ独立した人事トレンドではあるのですが、本稿のテーマである「データ活用」の一部と考えられます。そして、人事トレンドとなっているがゆえに、取り組み内容の表面的な部分を切り取って進めてしまう例が見られます。

 

データ活用トレンドに“表面的に乗っかる”ありがちな例

データ活用に取り組む例をあげます。

(例1:ピープルアナリティクス)

(例2:人的資本レポート)

 

流行りものには手を出さない方がよいのか

「例1:答え合わせを楽しむ」、「例2:指標を出すだけで満足」のどちらの例も、推進者にとってはやりがいのある活動かもしれませんが、データをうまく活用しているとは言えません。このように言うと、「流行りものに惑わされるから失敗する。手を出さない、何もしないことが一番。」と、現状維持・何もしたくない派の方々がよろこぶのですが、取り組むことを否定しているのではありません。むしろ実行すること自体はすばらしいことです。

ただし、人事トレンドの表面的な部分を切り取って、「なぜやるのか」、「何をしたいのか」が抜け落ちたまま進めてしまうと良い結果になりません。例1については、現状の課題などから実現したいことを整理することで、個人に注目するのか全体に注目するのか、退職前のどの時期に注目するのかなど、分析の視点が変わります。それをアクションにつなげることで、分析結果を活かすことができます。

例2についても、目的意識がないままガイドされた指標を算出するだけでは、結果的に何をしたいのかがわからず、社外だけでなく、社内においても意識されなくなってしまいます。大上段では「なぜ」があったものの、実務担当者に丸投げして手段だけが残ってしまう場合も同様です。

 

結局何をしたらよいのか

データをうまく活用するためには、「なぜやるのか」、「何をしたいのか」をはじめに考えましょう。

といっても、人材データ活用は今まで取り組んでいない新たな領域ということもあり、大上段から考えることが難しいと相談をいただくことも多いです。そのような場合に、人材データの活用イメージから検討してもらい、「なぜやるのか」、「何をしたいのか」の検討の参考にしていただくことがあります。活用範囲は人事に閉じたものではなく、全社的な活用として考えます。

例えば、以下のようなデータ利用者の役割を軸として活用イメージを考えることができます。

 

 

次回は上記のデータ利用者の役割別の、データ活用の目的と活用例を紹介予定です。ここまで読んでいただいたみなさまも、活用イメージを考えながら次回投稿を読んでいただけると幸いです。

※ 第2回はこちら

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