SAPとDIC、廃プラスチックの再生に向けてブロックチェーン技術を活用したGreenToken by SAPソリューションの試験導入を開始

プレスリリース

(本リリースは、7月8日にSAPアジア・パシフィック・ジャパン(APJ)から発表された発表文の抄訳です)

SAPアジア・パシフィック・ジャパン(APJ)は本日、日本の化学メーカーであるDICグループがSAPと連携してブロックチェーン技術を活用したGreenToken by SAPの試験導入を開始し、廃プラスチックの再生を促進することで化学業界における持続可能な成果と循環性の向上を目指すことを発表しました。

日本で有数のファインケミカルメーカーであるDICは、プラスチックの食品容器をはじめ幅広い用途で使われる合成樹脂であるポリスチレンの製造・販売をしています。DICはサステナビリティ戦略の重要施策として、注力市場である食品パッケージ市場における循環型社会の実現を目指しています。2020年11月には、パートナー企業と協働でポリスチレンの完全循環型リサイクルの取り組みの開始を発表し、両社が保有する技術および回収・リサイクル体制を最大限に活用する新たなモデル構想を打ち出しました。マテリアルリサイクルに適していない市場回収品を再生するため、ケミカルリサイクル技術を用いてポリスチレンを原料であるスチレンモノマーに還元する完全循環型リサイクルの実現を目指します。

昨今、サステナビリティの観点で世界的にプラスチック素材のリサイクル需要は高まっています。リサイクル原料を使う際に求められるのが、リサイクル原料の出自や含有物質の情報です。今回の実証実験は、GreenToken by SAPのシステムを利用して、生産の初期段階からサプライチェーンに沿って原材料を追跡し、リサイクル原料の製造工程や検査工程、物性情報や品質情報などを可視化することを目指します。これにより、顧客が再生プラスチック原料を使用する際、その製品にどの程度のリサイクル原材料が含有しているか提示することが可能になります。

GreenToken by SAPは、SAPの社内起業スタートアッププログラムSAP.iO(エスエーピードットアイオー)のもと、アジア・パシフィック地域で創設、開発されたソリューションで、プライベートブロックチェーン技術を活用することでサプライチェーンの透明化を図るとともに、プラスチック素材の原材料から製品の製造・販売・使用、回収、粉砕を経て再利用されるまでの資源ライフサイクルにおける過程を追跡するシステムです。同システムではデジタルツイン技術を活用し、原材料の出自に関連する固有の属性や、カーボンフットプリント、市場回収品の出自、サステナビリティ認証データなどの情報をトークンに記録します。トークンを発行することで、リサイクル原料が他の原材料と混合して新たな製品を生産した場合でも、そのリサイクル原料を追跡することが可能です。

DIC 執行役員、パッケージングマテリアル製品本部長 森長祐二氏は次のように述べています。「循環型経済に対する消費者の強い意識が、持続可能なパッケージングに対する需要を高めています。SAPのGreenTokenチームとの協働は、持続可能な環境への配慮を支援し、プラスチックのリサイクルを促進しながら、ケミカルリサイクルによる完全循環型プロセスを実装するという当社の使命をサポートしてくれます」

GreenToken by SAPは、SAPの社内起業プログラムにより開発されたソリューションであり、その共同設立者であるJames Veale氏は次のように述べています。「ケミカルリサイクルは、循環型経済への移行を加速させる鍵になります。しかし、廃プラスチックを化学的にリサイクルしてサーキュラープラスチックが得られたとしても、従来からある供給源からのプラスチックと見分けがつきません。私たちのソリューションは、それが本当にサーキュラープラスチックであることを証明し、完全で監査可能なサプライチェーンの透明性を提供します」

今回のDICによる試験運用を皮切りに、GreenToken by SAPは、引き続き高まる社会的要請への対応と持続可能な社会の実現に向けたDICの取り組みを支援します。

以上

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