SAP Japan プレスルーム

SAP のインダストリークラウドを活用して、構想から商品化までをスピーディーに実現

2020 年後半まで、Cogniac 社はシリコンバレーではあまり知られていないスタートアップ企業でしたが、有望な人工知能 (AI) 駆動型コンピュータービジョン (CV) テクノロジーを持ち、SAP.iO プログラムを通して、そのテクノロジーを求める新たな市場を見つける大きなチャンスを手にしました。

それから 2 年半後の 2023 年春、Cogniac 社はこのテクノロジーを活かせる強力な市場を見出しただけでなく、エンタープライズクラスの CV ソフトウェアのトッププロバイダーとして、調査会社である IDC 社 から、AWS、グーグル、マイクロソフトなどと並び称されるようになりました。

1 つの企業がこれほどスピーディーにこれほど大きく成長するのは可能なのでしょうか?カリフォルニア州サンノゼに本社を置く Cogniac 社の場合、優れた技術、パートナーシップを重視する考え方、そして、顧客に提供する価値のさらなる拡大のため、SAP と連携して、SAP ポートフォリオとの統合が容易なインダストリークラウドソリューションを開発しようとするオープンな姿勢がなければ、これほどの成長は見込めなかったと考えられます。

Cogniac 社の Visual Operations Intelligence プラットフォームは、SAP のインダストリークラウド内で開発された 300 以上のアプリおよび統合エンドツーエンドソリューションの 1 つで、SAP Store を通じて複数業種の顧客に提供されています。Cogniac 社のテクノロジーは SAP® Digital Manufacturing ソリューションにも統合されており、幅広い業種のお客様に、製造現場用の AI 対応外観検査機能を提供しています。

Cogniac 社は、SAP およびシステムインテグレーターパートナーが提供する専門知識とリソースを活用することで、自身の知的財産と技術を迅速に拡大および収益化する方法を示しました。そして、ほかの独立系デベロッパーもこの新進気鋭の企業が切り開いた道に追随しようとしています。Cogniac 社が採用した手法は、SAP の「ワンポートフォリオ」アプローチに沿ったものです。このアプローチは、独立系デベロッパーやグローバル/リージョナルサービスパートナーなどを含む、SAP のインダストリークラウドに積極的に関与する企業が互いに連携することで、単独で取り組むよりも、顧客と自社にとってより大きな価値を生み出すソリューションを開発できるという信念に根ざしたものです。ワンポートフォリオアプローチは、ソリューションの提供元が SAP であれ SAP パートナーであれ、あるいはその両方であれ、お客様のビジネス上の問題を解決することを第一とするアプローチです。

Cogniac 社のこのソリューションは SAP.iO プログラムから生まれたものです。自動車部品製造のパイロットプロジェクトが成功した後、品質管理やメンテナンスのための外観検査機能のアップグレードと自動化を求める旅行・運輸、自動車製造、金属・製紙・繊維・建材・鉱業、産業用機械製造といった業界向けに完全商品化されました。

次に、ソフトウェアの実装を支えるもう 1 つのインダストリークラウドパートナーである、モントリオールに本拠を置く Syntax 社を紹介しましょう。Syntax 社はシステムインテグレーターとして、Cogniac 社のテクノロジーを顧客のユースケースに合わせて拡張・実装する上で重要な役割を果たしています。これは、独立系デベロッパーの専門知識(Cogniac 社の場合は AI 駆動型コンピュータービジョン)とシステムインテグレーターの専門知識(Syntax 社の場合は IT と OT が融合する顧客実装に関する深い知識と経験)、および SAP のエンドツーエンドのビジネスプロセスに関する専門知識、リソース、リーチ、ポジショニングを組み合わせることで、はっきりとした顧客ニーズを満たすソリューションを実現できることを示すもう 1 つの例です。このようなクリエイティブなインダストリークラウドパートナーシップは、デベロッパーやシステムインテグレーターにとって新たな収益源や市場機会をもたらすだけでなく、ソリューションを従来よりもはるかに迅速に市場に投入することができるものになります。

スピードといえば、Cogniac 社が開発した SAP Digital Manufacturing 内の外観検査機能は、既存のカメラインフラストラクチャーやワークフローとの統合が容易なため、Syntax 社はこの機能を、企業全体に 1~2 日という短期間で実装できます。また、これらの機能を支えるローコード/ノーコード AI 技術が、さまざまなユースケースにおける生産現場の自動化を大きく前進させ、より高い精度の高速検査を低コストで実現します。この場合の AI とは、顧客がより良い意思決定を迅速に行えるよう支援する拡張インテリジェンスでもあれば、また、単調で反復的な検査作業から従業員を解放する自動化インテリジェンスでもあります。

Smart Press Shop Project: Extension of SAP DM solution with Visual Inspection | Syntax(Smart Press Shop プロジェクト: 外観検査で SAP DM ソリューションを拡張|Syntax)

Cogniac 社、Syntax 社、SAP の 3 社によるインダストリークラウドを介した関係は、ワンポートフォリオアプローチを推進するイノベーションマインドセットの好例だと言えます。このアプローチで私たちは、コンピュータービジョンのような必ずしも精通していない分野で独自のソリューションを開発する代わりに、パートナーと力を合わせて、私たちにとって最も大切な人々、つまり弊社のお客様にさらに大きな価値を提供できるコラボレーティブなソリューションを生み出しています。SAP は、このアプローチをサポートするために、パートナーの知的財産や専門知識をインダストリークラウド上で収益化しやすくするための報酬モデルをより魅力的なものへと刷新しました。

このようにそれぞれの得意分野を集結させることで、Cogniac 社と Syntax 社がそうであったように、お客様、パートナー、SAP にとって Win-Win-Win の結果が生まれるのです。


フィリップ・ラウブ (Philipp Raub) SAP の外観検査のプロダクトマネージャーです。
ビアンカ・ルーバルシュ (Bianca Ruebartsch) SAP のエネルギー・天然資源エコシステムのグローバル責任者です。

 

以上

 

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