SAPソリューションの導入プロジェクトを支援するカスタマーサービス「Premium Engagements」の最上位版「SAP MaxAttention」のサービスが2003年にスタートを切ってから20年の歳月が経過しています。本稿では、同サービスを担当する2人のキーパーソンの話を交えながら、本サービスが企業にもたらす変革の効果について概説します。

このブログ記事とあわせて、対談動画も是非ご覧ください。

SAP MaxAttention から見る日本のマーケット(対談:Kurt Bauer & 堀川嘉朗)

SAP MaxAttetion から見る日本のマーケット(対談:Kurt Bauer & 堀川嘉朗)


グローバルに広がるトップカスタマーの裾野

SAP MaxAttentionについて、Premium Engagements担当のグローバルヘッド(Global SVP)のカート・バウアー (Kurt Bauer)氏は次のように、その基本を説明します。

「SAP MaxAttentionの意味は、当社の役員全員がトップカスタマーに最大限(MAX)に注目(Attention)したサービスを提供するということです。このサービスを通じて、お客様が蓄積した課題解決のノウハウは、ベストプラクティスのかたちでSAP MaxAttentionに吸収され、カスタマーの間で共有され、それぞれのIT革新に生かされていきます」

バウアーによれば、世界45万社のSAPカスタマーのうちの約600社がSAP MaxAttentionの顧客であり、日本でも約50社のトップカスタマーが本サービスの顧客になっているといいます。

「SAP MaxAttentionの起源は、2003年に世界有数のグローバルカンパニーのプロジェクトを支援したことに遡ります。その成功を、本サービスを使うお客様の裾野は各国のグローバルカンパニーに広がっていきました。このサービス最初のお客様とは、今日もなお太いつながりがあり、そのお客様は現在、本サービスを通じてSAPソリューションのマルチクラウド化を推進しています」(バウアー氏)

このバウアーの言葉からもわかるとおり、SAP MaxAttentionでは旧来、オンプレミスのSAPソリューションのみをサポート対象としてきました。それが今日では、クラウドソリューション、ないしはハイブリッドソリューションへと対象範囲を拡大させています。

「SAP MaxAttentionカスタマーの多くは、SAPのERPをオンプレミスで運用していますが、さまざまなクラウドソリューションも大規模に採用しており、SAPのERPも含めて、オンプレミスで運用してきたシステムのさらなるクラウド化にも取り組んでいます。ゆえに、私たちは、その支援に力を注いでいます」(バウアー氏)

日本のSAP MaxAttentionカスタマーは業務の標準化に注力

一方、日本のSAP MaxAttentionカスタマーの多くもクラウドソリューションの活用に意欲的であるほか、業務の標準化にも力を注いでいると、SAPジャパン 常務執行役員 クラウドサクセスサービス事業本部長 堀川 嘉朗は指摘します。

日本のSAP MaxAttentionカスタマーは、国内有数の規模を有する企業です。これらの企業は、グローバルにビジネスを展開しており、グループ全体の業務を標準化したいと望んでいます。ただし、ERPのシステム更新、再構築の段階になると「日本の商習慣は他国とは異なる」という理由から、日本の本社や拠点については業務の標準化があまり進んできませんでした。結果として、国内組織が導入したERPに大量のカスタムモジュールが実装されて構造が複雑化し、ERPの導入と保守、運用管理に多大なコストと時間を要してしまうという事態を招いてきました。

そのため今日では、可能な限り業務をグローバル標準に合わせながら、どうしても必要なカスタムモジュールについてはERP外の環境に実装してERPと連携させる取り組みも活発化しています。

「こうした取り組みを成功させるうえで鍵となるのが、SAPが擁するグローバルなエキスパートの活用です。日本人のエキスパートも優秀ですが、どうしても発想がローカルに偏りがちになります。そこで、SAPでは、グローバルのリソース(CoE)を通じて、日本と海外のエキスパートが密接に連携しながら、お客様によるSAPソリューションのグローバル展開を支援する体制を整えています。言い換えれば、日本のSAP MaxAttentionカスタマーに専門知識を提供するSAPのエキスパートは、世界中のチームと常に連携しており、お客様の海外拠点で何らかのSAPソリューションが稼動するたびにそのテストを行い、品質を確保することができるということです」(堀川)

革新的なエンタープライズアーキテクチャへの移行を支援する

新たな設計サービス「North Star サービス」

SAPでは、SAP MaxAttentionを構成するサービスとして「North Star サービス」と呼ばれるサービスも提供しています。

North Starは、SAP Transformation Hub が提供する SAP MaxAttention サービスであり、ステップバイステップ方式の効率的なアプローチを通じて、お客様が旧来型のエンタープライズアーキテクチャから「Intelligent Enterprise アーキテクチャ」への移行を設計・計画できるよう支援するものです。システムランドスケープの最適化とイノベーションを目指す戦略的なお客様に適したサービスとして設計されており、ビジネス戦略主導の最適なターゲットアプリケーションの設計を短期間で実現。お客様が将来性のあるエンタープライズアーキテクチャを構築できるよう支援します。

North Starでは具体的に以下を支援するサービスを提供しています。

  • イノベーションを加速するための一貫したランドスケープの選択とシナリオの設計
  • 変革の旅における適切な順序と計画の検討
  • ビジネス要件に合った新しいIntelligent Enterpriseのビジネス機能を採用し、競争力のある展望と、それに伴うコスト削減

また、North Starではアウトプットとして「戦略と事業目標のマッピング」「ビジネスケーパビリティのヒートマッピング」「移行アーキテクチャにおけるアプリケーションターゲット」が提供されるほか、移行分析として「ビジネスとIT戦略に基づくトランスフォーメーションマップの作成」「ターゲットアプリケーションアーキテクチャの作成」「代替移行パスの評価」などが行われます。

こうしたNorth Starサービスが、お客様に提供するベネフィットをまとめると以下のようになります。

  • モジュール化されたアプローチと実績のあるリファレンスコンテンツ、そしてツールを活用しながら、新たなアーキテクチャへの移行を巡るお客様固有の課題、ないしは懸念事項への対処・対応を実現
  • 変革のドライバー、ビジネス戦略、ターゲット、ビジネス要件などを反映させたターゲットアプリケーションアーキテクチャを設計し、新たなビジネス機能を提供
  • 最高クラスのSAPアーキテクチャと専門知識の提供
  • SAPとお客様のステークホルダーとの緊密なコラボレーションを通じて、ターゲットアーキテクチャとロードマップをビジョンとして共有

さらに、North Starサービスでは、SAP Transformation Hubによるオーケストレーションを通じて、お客様を担当するSAPのアカウントチームをはじめ、業界ビジネスユニット、製品管理のチームを、お客様支援の1つのチームとして機能させます。

なお、2023年10月ごろには、SAP MaxAttentionの最新情報をお届けするイベントを予定しています。ご興味がある方は下記までお問い合わせください。

 

クラウドサクセスサービスイベント事務局
SAP Japan Services Marketing
SAPJapanServicesMarketing@sap.com