CFO羅針盤編集部の関口善昭です。 

こんにちは。前回の「リスク管理 よもやま話」に続き、今回は「コーポレートガバナンスとITガバナンスについて」と題して、まとめてみました。

企業を外側から導く(コーポレートガバナンス)

コーポレートガバナンスは企業統治と訳されるが、統治というと、君臨するとか支配するというニュアンスがあるが、ガバナンス(Governance)の語源をたどると、ラテン語の(Guberno)で「船の舵をとる、導く」という意味で、まさに企業のかじ取りをする、導くということで、こちらの方がぴったりくる感じがします。

次に、企業を導く場合、外部から導く場合と内部から導く場合の大きく2系統がある。外部から導くのがコーポレートガバナンスで、主体となるのは米系の場合は株主、欧州系は株主と従業員、日本系はステークホルダーである。その目的は、コンプライアンスを遵守しながら、予定した利益を安定的に創出することである。それが期待に反して実現されない場合は、株主総会を通して経営者は解任される。

企業を内側から導く(マネージメント)

一方、企業の内部から企業を導くのは、経営者と監査部門の役割である。経営者は指揮命令権をもって、企業のリソースの配分・見直し、着地見込み・見直し、アクションプランをリードすることによって、予定した利益の創出に努める。監査を担う監査役、監査委員会、内部監査部門等は、プロとして健全なる猜疑心やCritical Eyeを持って、不正検知のみならず、経営者及びマネージメントが行った施策の妥当性、合理性等を検証する役割を担っている。現在の資本主義においては、上記の内外の両輪が円滑に廻ることによって、企業が健全な方向に進むように設計されている。

経営者は大変だ

企業に求められているのは、基本は利益創出であるが、それだけではなく、株主を含めたステークホルダー間の利益調整、サステナビリティへの貢献、各種コンプライアンス対応、透明性の確保、多様性の確保、人材育成等があり、経営者は大変だ。日本の経営者の多くが、それに見合ったインカムが得られていないのは日本の大きな課題の1つだと感じています。このままでは経営者になろうという人が減ってしまうリスクがある。少子高齢化で働く人がシュリンクするだけではないのである。

ITガバナンスについて

もう1つのテーマであるITガバナンスの話をしよう。こちらは、親会社およびグループ会社のITシステムが糸の切れた凧のように、勝手気ままに自由に行先を決めるのではなく、グループCIO又はそれに相当するポジションの人が、ITシステム 含むインフラ、アプリケーション、プロセス、データをある一定の範囲内で適切にコントロールを効かせている状態で、かつ中期経営計画とITロードマップの整合性が取れている状態が、ITガバナンスが効いていると言える状態だ。上記ITシステムとその基盤の上に存在するビジネスモデルは相互に影響を与え得る関係にあるので、グループCIOはビジネスモデル及びその変革についても、非常に重要なロールを担う必要があるし、また責任がある。

上記の理解の上で、次の壁はどこまでを標準化し、どの領域に独自性を認めるか、そしてそれを支える組織・制度とはどのようなものなのかという議論であるが、紙面の関係で次号に譲りたい。

なお、コーポレートガバナンスの本来の意味は上記の通りであるが、一般的にガバナンス強化と言うと、現在では内部統制強化や管理体制強化という意味で使われるケースも多くなっています。

最後までお読み頂き、有難うございました。少しでもお役に立てば幸いです。なお、上記内容は、筆者の個人的見解であり、筆者が所属する組織、会社を代表する見解ではございません。

参考: 改定 コーポレートガバナンスコード(2021年6月11日)