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社会貢献活動の自分ごと化プロジェクト“CSR for everyone” – 第7 回 社会課題に対峙する熱い想いが課題解決のはじめの一歩!

Teacher and children analyzing wind turbine model outdoors

前回ブログでは、今年支援することになった、NPO法人全国てらこやネットワーク(てらネット)の活動概要と解決したい課題についてご紹介しました。

本ブログでは、約3か月間のプロジェクトの中でまとめた各プロボノチームの課題解決の方法を最終報告会でお互いに共有しあった様子を紹介したいと思います。


前回ブログでTeam TerasとTeam Beeと2つのチーム編成で活動を開始したことをご紹介しましたが、今回プロボノプロジェクトに参加しているてらこやメンバーも両チームへ分かれて活動しました。

最終報告会では、Team TerasとTeam Beeの両チームのSAP社員による一方的なプレゼンテーションではなく、てらこやのメンバーと一緒になって、もう一方のチームへ活動結果を共有するという形式で行われました。

なお、この後の文章をわかりやすく読み進めて頂くため、本プロジェクトに参加している方々について少し補足説明をします。

・てらこやメンバー:各地にあるてらこやで活動する方々。本プロジェクトへの参加メンバーはその一部。メインは大学生で、一部社会人も含まれる。また、インタビューやアンケートという形で、てらこやOB&OGの方々も本プロジェクトに間接的に参加

・てらネット:各地のてらこやの一部のてらこやが参加する活動体

・SAPプロボノメンバー:SAP社員の中から本プロジェクトへ参加表明している方々

 

Team Terasの活動の紹介

今後てらネットが自ら課題解決手法として活用できるように、デザインシンキング(以降DTと略)のやり方、及びその事前情報収集としてのインタビュー&アンケートの実施方法について、注意点なども含めて丁寧に資料化しているという点と、各地域の現てらこやメンバーや過去てらこやで活動した方々を対象に、アンケート&インタビューを実施し、事前の情報収集に入念に時間をかけ、DT自体は2日間に短期集中した点がTeam Terasの活動の特徴です。

Team  Terasが定義したてらネットのデザインチャレンジはこちらです。

デザインチャレンジの元になっているインタビューの内容も少しご紹介します。

全国のてらこやの各拠点、学生、社会人がいるので、なるべく属性に偏りがないようにインタビューを心掛けました。SAPのプレゼンターは、てらこやメンバーの方々の熱くストレートな想いを聞けたことが、個人的には今回のこのプロジェクトで一番楽しかったポイントと語っていました。

アンケートとインタビューの結果を元にメンバー各自で気づいたこと、重要だと感じたことなどを出し合って、整理、カテゴライズし、課題の中心が「参入障壁系」と「てらネットとしてのVision/Mission」にあると共通認識を持ちました。

参入障壁というのは、具体的には「資金面の問題」、「参加意義の不明瞭さ」を、Vision/Missionというのは、各地域に点在しているてらこやの多様性を活かしつつ活動の統一性を保つ柱となるようなVision/Missionが見えていない(認識されていない)ことであると、Team内で議論して明確にしました。

ここからはDTの手法の「ステークホルダーマップ」→「ペルソナ、共感マップ」→「POV」→「アイディエーション」→「Heat Mapping」を使って3つの課題解決策に至りました。

・てらネットニュースレターを作り、てらこやメンバー一人一人の体験談を掲載することで、自発的に経験をシェアしたくなる場を作る

・子供と一緒に自分のてらこやのいいところを紹介する

・クラウドファンディングを通じて自分たちの活動の社会的意義等を発信し、交通費等の活動費の支援を全国に賜る

Team Beeのメンバーからは、「情報発信系は似たアイデアをTeam Beeも考えたが、ニュースレターもよいアイデアだなと思った」などの感想が寄せられました。

 

Team Beeの活動の紹介

課題の再定義に2日(DT1)、課題解決のアイデアだしに2日(DT2)、計4日のDT Dayを設け、DTそのものの実施回数を増やし、DTに慣れ親しむという点がTeam Beeの進め方の特徴です。

Team Beeが定義したてらネットのデザインチャレンジはこちらです。

DT1で、抽象的なデザインチャレンジをディスカッションしやすいように具体的な内容に再定義しました。

DT2で、2日かけて出したアイデアをデザインチャレンジにマッピングし、実施効果と実現可能性の高いものから優先順位を付けました。


※左から順に優先順位が高いアイデア

優先順位1位「各地てらこや訪問」のアイデアについて、Team Beeてらネット側メンバーが、このアイデアは、てらネットに参加しているてらこやメンバーが、てらネットに参加していないてらこやに直接訪問しててらネットの活動方針や意義、想いを共有しあうというところがポイントで、てらネットについて知らないから活動に参加しにくいと壁を感じているてらこやの不安を取り除き、興味を持ってもらい、且つ、てらネットに参加するメリットを正しく理解してもらうことが、課題の解決に繋がると考えました、と熱く想いを語っていたのが印象的でした。

これらのアイデアをすぐに実行に移せるよう、Team Teras同様に具体的なアクションアイテム、時期、主担当などを決めたことを共有し、発表は終わりました。

 

SAPプロボノメンバー、てらネットからの活動の感想

最終報告会は、今回のプロジェクトに参加したSAPのプロボノメンバー、てらネットのメンバー全員がてらネットの未来、将来のことを考える貴重な時間となりました。

プロジェクトに参加したSAP社員の感想をいくつかご紹介します。

・子ども達の心や想いを中心としたてらこやの活動は、人間中心に共感を得ていくデザインシンキングに通じるものがあり、それを既に実践されていることがインタビューや訪問を通して感じとれました。

・インタビューにて、子供たちの居場所を作りたいという高い志と熱い気持ちをお伺いし、てらこやがより増えて社会に根付くといいなと思いました。いずれ親となる大学生達が複眼的に子供達のサポートをし、その子供達がまたそれを受け継いでいく循環が絶えないことを願っています。

・普段交流することの少ない学生さんならではアイデアや気付きなどに触れたことで刺激をもらい、エネルギーを頂きました

・全員が集まれる時間となると18時以降が多く、本業もありながら皆頑張りました。

 

てらネットからのフィードバックも一部ご紹介します。

中には、本プロジェクトに参加表明したものの、仕事との時間の兼ね合いでなかなか思うように参加できなかった方から、鋭い質問も飛び出しました。

「目的に対して解決策を考えるときには、結局のところアイデアベースになってしまうように思う。それはつまり言い換えると「思いつき」のようなものになってしまうのではないか。今回出たアイデアの中には過去に思いつきによって出てきたものに類似するものもあり、アイデア≒思いつき、ベースで解決策を考えるしかないのか、それとも、目的を細分化することにより単なる思いつきではない考え方が生まれるのか教えてほしい」

 

これに対してSAPメンバーから

・「DTという手法は、確かにアイデアベースだが、最初は思いつきで出たアイデアでも、実際どうすればそれを実現できるのか、ということをプロトタイピングによって実現可能性を探り、もしそこでアイデアが単なるアイデアでしかないということに気づいたら、またアイデアだしのフェーズに戻り練り直すというサイクルを繰り返すやり方なので、思いつきでは終わらない」

・「思いついたアイデアに対してペルソナを定義して人に共感するという観点がDTの手法のポイント。そのアイデアが解決に繋がるものなのかどうかを繰り返し試行錯誤して、課題も再定義しなおしたりするので、最初は思いつきから発生したアイデアだとしても、課題から離れず、課題と照らし合わせて導き出した解決策になる」

・「解きたい課題と解くべく課題があり、解きたい課題に対してでたアイデアは思いつきの性質が強い感じがあり、途中でぶれることもあるが、課題の定義に時間を掛けるので、解くべく課題に対して出てきたアイデアは、解決策に繋がるアイデアが出やすい。見えている課題(解きたい、浅く、抽象的なもの)ではなく、真の課題(解くべく、具体的なもの)を定義できるかがポイント」

などなど、てらこや、及びてらネットで今後も継続的にDTを活用し、課題解決に役立ててもらいたいという思いから、各自の言葉で熱く語る場面もありました。

 

※最終報告会の様子

 

てらネット理事長からは、SAPプロボノメンバーにとっては嬉しい感謝の気持ちをコメント頂きました。

・「てらこやの学生と大人メンバーだけでこういったアウトプットが出せるかというと、難しかったと思うので、SAPのプロボノメンバーの皆様のお力があったからこそだと思う」

・「てらこや内で話をすると、ずっと「てらこや」が主語になっててらこやの事ばかり話してしまう癖があるが、今回魚の釣り方を教えて貰ったので(DTの手法)、一歩てらこやから離れて思考のフレームを使って考えてみるということを今後は学生たちと進めていきたい」

・「出てきたアイデアがどれも素晴らしく、人間欲深いもので、すべて実現したいと思った。実行フェーズまで歩み進めることで、今回関わって頂いた皆様への恩返しが出来たらと思っている」

 

今回のプロボノプロジェクトは、DTという手法を用いて、今回一回限りのものとはせずに再現性がノウハウの伝達があったことと、一方的に支援側のSAPが解決策を団体に対して報告するという形ではなく、そのノウハウを用いててらこや、てらネットメンバーの皆様と一緒に課題を正しく捉え、それを解決するためのアイデアを生み出し、実行に移すためのプランまでを本プロジェクトの中で作成し、共有をしたという点が特徴的だったと思います。

今回皆で考えた解決策を実行し、今後新たな課題が出てきたときはてらこや、てらネットのメンバーだけで、課題解決までたどり着けるようになることを応援し続けたいと思います。

 

SAPプロボノプロジェクト事務局より編集後記

日々の仕事や生活に忙殺されて遠ざかり気味になりがちな、社会課題に対峙する皆様の熱い想いに触れられて、刺激を受けられたこの機会にとても感謝しています。

今回も団体の方々の抱える課題が、社会課題に繋がっていること、社会課題の解決に自分たちが何ができるのかを考え続けていくことは、一社会人として大事なことだと立ち返ることが出来たと思います。

※プロジェクトが終わった後に、お疲れ様会を実施しました

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