AI、特に生成 AI は、ビジネスの進め方や人々の働き方に変革をもたらし続けています。
ガートナー社の調査によると、2026 年までに 80% 以上の企業が生成 AI の APIまたはモデルを利用したり、生成 AI 対応アプリケーションを導入したりするだろうと予想されており、このトレンドの中で、すべての開発者に変革を起こす能力を与えるツールを構築し、その道筋を作ることには大きなチャンスがあると我々は考えています。
我々が考える、AI がエンジニアや開発者の仕事の仕方に影響を与える 3 つの視点は以下のとおりです。
- ソフトウェアやアプリケーションをどのように構築するのか
- DevOps サイクルのためのツールやプラットフォームに何を組み込むのか
- ローコードを超えてノーコードへとプログラミングを進化させられる、自然言語に基づくコーディングであれば誰が行えるのか
開発はさらに民主化され、優れたアイデアと創造性を持つあらゆる人がそのチャンスを手にするようになるでしょう。
SAP® Business AI:革命的なテクノロジーを現実世界で利用する
SAP は、ビジネス AI の最前線にいます。そして SAP Business AI は、真のビジネス成果の達成と、関連性と信頼性の高い、責任ある AI の実現を目指しています。
そのために、お客様のビジネスを理解する新しい生成 AI コパイロットである Joule(ジュール)をはじめ、AI 機能を SAP の各種ソリューションに組み込んできました。
SAPは、これらの生成AIのユースケースをお客様にご提供するために、ベストプラクティスの浸透、生成 AI を組み込んだ製品開発を加速させる AI ツールを社内に用意するなど、たゆまぬ努力を続けます。また、すべての開発者が AI 開発者になれるよう支援する SAP の 3 つの具体的な方法を、以下にご紹介します。
Joule:自然言語プログラミング
Joule は、SAP の生成 AI コパイロットであり、SAP のビジネスシステムやデータと対話する方法に変革をもたらすものです。Joule を使用することで、ユーザーは SAP アプリケーション間を簡単に移動でき、情報を検索したり、トランザクションを実行したり、同僚と連携したり、事前対応型の提案を受けたりできます。
Joule のユーザーは、手間のかかる手動検索ではなく、自然言語で質問をして、SAP ポートフォリオ全体で利用可能な豊富なビジネスデータやインサイトに基づくインテリジェントな回答を受け取ることができます。これにより、平均検索・照会時間を最大 80% 短縮することができます。
SAP® Build Code
当社の新しいアプリケーション開発ソリューションである SAP Build Code は、Jouleを活用してデータモデル、アプリケーションロジック、およびテストスクリプトを作成します。SAP Build Code は、生産性を高め、専門の開発者とシチズンデベロッパーの融合チームによる開発をサポートする、シンプルな開発者エクスペリエンスを提供します。
AI Foundation on SAP® Business Technology Platform
我々は、ビジネス AI 機能をビジネスアプリケーションや拡張機能に直接組み込む必要があると考えています。AI Foundation on SAP® BTP は、まさにそのためのワンストップショップです。安全で信頼できる方法で生成 AI を組み込んだアプリケーションの開発を加速させる、すぐに使える AI サービスとツールを提供します。
AI Foundation には、すぐに使える AI サービスから AI ランタイムやライフサイクル管理に至るまで、開発者が SAP BTP 上で構築するアプリケーション内でビジネス対応 AI を実行するために必要なすべてのものが含まれています。我々は、生成 AI 機能を管理できるツールを提供し、ビジネスデータの接続性を確保しています。セキュリティ、ガバナンス、信頼性の高い AI サービスを一から設計しました。
今後の展望:正しいビジネスニーズに合った正しいモデルを
2024 年初頭には、AI Foundation にGenerative AI Hubを含める予定です。OpenAI の ChatGPT や Falcon-40B など、さまざまなプロバイダーの大規模言語モデル (LLM) に開発者が即座にアクセスできるようになります。近々、さらにモデルを追加する予定です。
これによって、開発者は複数の LLM にプロンプトを送信してみて、生成された結果を比較し、最終的に目的のタスクに最適なモデルを特定することができます。そして、組み込みのプロンプト履歴などの機能により、完全な制御と透明性のもとでミッションクリティカルなプロセスを実行でき、全工程において、エンタープライズグレードのセキュリティとデータプライバシーを確保することができます。
SAP Generative AI Hubでは、生成 AI 開発プロセスを強化するための開発者向けツールや、ビジネスデータやその他のデータから最も関連性の高い情報を抽出するためのツールやテクニックへのアクセスも提供されます。
また、財務、販売、サプライチェーンなどの従来のビジネス分野において最大のパフォーマンスを引き出すために、独自のビジネスコンテキストに合わせて設計された基盤モデルを必要とする企業のお客様もいらっしゃいます。SAP では現在、SAP の匿名化したデータに基づいて汎用 LLM を調整するという取り組みを行っています。また長期的には、SAP の膨大な構造化されたビジネスデータに基づいて独自の基盤モデルを作成することにも取り組んでいます。
これらのモデルは、請求書の支払日やサプライヤーの納品の質を予測したり、ビジネスプロセスの効率化を提案したりするなど、LLM では対応できない、社員たちが日々直面する問題に対処できるようになります。
SAP で我々は今、どんな開発者でもビジネス AI の開発者となり、未来の真のアーキテクトとなれるツールづくりを着々と進めているのです。
ウォルター・サン (Walter Sun) は SAP の AI 担当グローバル責任者です。
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