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Petrobras 社:インテリジェントな設備資産管理・保全の重要性を見据えて

ブラジルに本拠を置く大手エネルギー企業 Petrobras 社は、多様化の進んだ統合エネルギー企業になるというビジョンを実現する上で、設備資産のインテリジェントな管理・保全が極めて重要だと認識していました。

手作業によるプロセスや正確な情報の欠如、分散した保全プロセスといった課題に対処するべく、同社は SAP に支援を求め、革新的な新しいソリューションを導入しました。

設備資産管理プロセスとバリューチェーンの透明性を求めて

設備資産管理プロセスにおいて、Petrobras 社は手作業のスプレッドシートを使用しており、リアルタイムにインサイトを入手できず、透明性も確保されていませんでした。そのため、十分な情報に基づいて意思決定を下すことができずにいました。ほかにも、定期的な機器の故障や業務の中断に加え、サプライヤーの設備資産やサードパーティ製品との連携に課題があり、作業者の士気や全体的な業務効率の低下につながっていました。

Petrobras 社でビジネスアプリケーションコンサルタントを務めるブルーノ・ヴィダル (Bruno Vidal) 氏は、当時の状況を次のように振り返ります。「設備資産管理プロセスとバリューチェーンにおいて、リアルタイムのインサイトを入手できず、透明性も確保できていなかったため、リアルタイムのデータに基づいて意思決定を行うことができませんでした。そのため、当社にとって極めて重要な設備資産を一元的に把握でき、設備資産とデータの調和を実現する業界トップクラスのプラットフォームを探していました」

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Petrobras 社が求めていたのは、リアルタイムのインサイトをもたらし、ダウンタイムを削減し、さらに同社の広範な ERP とデジタルトランスフォーメーション戦略に沿うソリューションでした。

継続的な SAP 導入の取り組みを基盤に

Petrobras 社が SAP® Intelligent Asset Management に注目した理由は、充実した SAP のエコシステムとレガシーにあります。同社は、これまで行ってきた SAP® ソリューション導入の取り組みを基盤として、組織全体にわたって導入済みの SAP 製品を強化しつつ、新たに別の SAP イノベーションを取り入れる機会を見いだしました。

ヴィダル氏は次のように説明しています。「当社では SAP 製品を導入していたため、SAP S/4HANA® の導入に必要な技術プログラムがすでに存在しました。その一方で、設備資産管理ソリューションに対する業務上の需要が非常に高まっていました。こうした要素が相まって、SAP を活用したインテリジェントな設備資産管理ソリューションに対する強力なビジネスケースが作成され、当社の SAP ファーストのアプローチと結びついたのです」

PoC から試験導入の成功、さらにその先へ

2020 年、Petrobras 社は SAP Intelligent Asset Management の実行可能性を評価するために PoC(概念実証)を行いました。このソリューションの PoC が完了し、試験導入プロジェクトにブジオス油田が選ばれました。ブジオス油田は世界最大の超深海油田で、Petrobras 社の石油・ガス生産量の約 16% を占めています。

ヴィダル氏は次のように話しています。「ブジオス鉱区の規模を考えると、価値の還元はわずかであっても、ダウンタイムの削減と効率の向上によって、会社に大きな利益をもたらす可能性があります」

そのため、このプロジェクトは当初、信頼性評価には SAP® Asset Strategy and Performance Management、機器の監視と故障予測には SAP® Predictive Asset Insights といった具合に、対象範囲を絞って進められました。この試験導入プロジェクトは、1 つの機器からスタートして、すべての機器と重要なシステム(ガス圧縮、石油・ガス生産収集、火災・ガス検知、消火、エネルギー生成など)にまで拡大されていきました。これらのシステムには、相当な量の保全データと信頼性データが含まれていました。

機械学習を活用した異常検知と故障予測

この試験導入に加え、Petrobras 社は異常検知と故障予測の試験プロジェクトとして、SAP ソリューションの機械学習エンジンを活用しました。

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ヴィダル氏はこう説明しています。「機械学習機能によって、素晴らしい成果をあげることができました。この機能のおかげで、インサイトをさらに特定し、パフォーマンスを改善することができたのです」

この成功により、これらのソリューションは、積出、石油・水・ガス処理、インジェクション用送水など、ブジオス油田の重要な 5 つのシステムにも導入されることになりました。2023 年末までに、Petrobras 社は PoC を完了し、ブジオス油田の全機器で 10 の重要システムを本稼動へと移行しました。その中で、機械学習のメリットを裏付け、自社の下流工程においても同ソリューションの PoC を完了しています。

Petrobras 社に高い価値をもたらすビジネス上のメリット

ブジオス油田で運用上の大きなメリットを手にした Petrobras 社は、SAP Intelligent Asset Management ソリューションを別の上流拠点にも展開して、信頼性工学にとどまらないソリューションを導入する計画を立てています。高い投資対効果を活かして、この新しい技術ソリューションがもたらす価値を評価し、将来的には各部門や拠点をまたいで利用を拡大していく予定です。

ヴィダル氏は最後にこう締めくくっています。「SAP Intelligent Asset Management の導入によって、業務効率の改善につながり、機器の稼働率が向上しました。故障を減らし、機器を正確に監視し、リアルタイムのパフォーマンスデータを取得し、生産ロスを削減し、信頼性の高い文化を取り入れることで、石油ロスを減らし、従業員の信頼感を高め、組織に大きな価値を還元することができます」


カリン・フェント (Karin Fent) は SAP のグローバルカスタマーサクセス・デジタルサプライチェーン担当シニアディレクターです。

トップ画像:Petrobras 社提供

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