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SAP® Sports Oneで AI をキックオフ

SAP は、AI 搭載により SAP® Sports One ソリューションの強化を図っています。ドイツのプロサッカークラブのヘルタ・ベルリンとの協働のもと、スカウティングレポートの要約と評価を AI による自動化を可能にしました。最近、SAPはFCバイエルンともSAP Sports Oneのプロトタイプに関するやりとりを行いました。

スカウトの仕事は、多くの人にとっては夢のような仕事に見えるかもしれません。好きなスポーツの競技を観戦するために全国を飛び回り、その対価として報酬を得る。しかし、旅先で行うスカウト活動はハードワークです。

過大評価されている選手の数やゴール数が増える可能性など、詳細な統計データを分析することに加え、スタジアムでの生観戦やビデオを何度も見直して、選手をスカウトします。

選手の現在のパフォーマンスと将来性の両方を、可能な限り正確にとらえる必要があります。目指すのは、チームの能力、メンタリティ、その他の重要な要素を盛り込みながら、選手のイメージを総合的にとらえることです。

1 月 31 日と 2 月 1 日にハンブルグで開催されたヨーロッパ最大のスポーツビジネスイベント SPOBIS で、SAP のスポーツ・エンターテインメント部門責任者ファディ・ナウム (Fadi Naoum) は次のように述べました。「プロのクラブでは、1 シーズンに 4 桁もの数のスカウティングレポートが作成されることがあります」

ナウムはこの会議で、スカウティングのための新しい AI コンポーネントを発表しました。「スカッドプランナーやチーフスカウトは、クラブ経営陣がこれらのレポートに基づいて誰と契約すべきか判断できるように情報をまとめなければなりません。今までは手作業でしたが、AI のおかげで、その多くを自動化できるようになったのです」

AI を搭載した SAP Sports One によって、スポーツ分野の意思決定者たちは、ボタン 一 つで情報が集約されたパフォーマンスレポートを生成したり、選手間を比較したりできるようになります。より迅速に、より多くの情報に基づいて、移籍に関する意思決定を下せるようになりました。

 

自動化のための大規模言語モデル

AI は、大部分が自然言語の非構造化データをまとめ、的を絞って処理するために使用されます。異なる言語だけでなく、異なるタイプのメモの取り方や書き方にも適応し、これらを処理できます。スカウティング向け AI コンポーネントの背後には、大規模言語モデル (LLM) があります。このディープ・ラーニング・アルゴリズムは、自然言語処理 (NLP) 分野のタスクを実行できます。

「現在は OpenAI の GPT を使用していますが、他のプロバイダーの言語モデルも現在検証中です。LLM の大きな利点は、コマンドを自然言語で発行でき、言語や文の長さ、対象読者に応じて変化させることができるという点です」とナウムは述べています。

例えばブラジルで、スカウトがブラジルのポルトガル語で、ある選手のレポートを手書きで作成している場合に、ドイツのクラブ経営陣のためにドイツ語で要約を作成することができます。

「典型的なコマンドとしては、『Compare the players x and y with regard to their strengths and weaknesses, write a summary and give a transfer recommendation, volume 100 words, answer in German(選手 x と y の強みと弱みを比較して、ドイツ語で要約を作成し、移籍推薦文を 100 ワードで書いて)』といったものになります。好みに応じて、読みやすい文章を作ったり、経営陣向けの要約文章を作ったりできます」と、ナウムは説明しました。

 

共同イノベーションが生み出した生成 AI の強さ

ヘルタ・ベルリンとの協力のもと、まずSAP Sports OneでAIによるスカウティングレポートの自動要約と評価のプロトタイプが作成された。このプロトタイプは、FCバイエルンのスカウティング部門にも提示され、最初の意見を得た。

FC バイエルンのスカウティング部門責任者であるマルクス・ピラワ (Markus Pilawa) 氏は次のように語っています。「SAP Sports One で生成 AI を使って自動的に作成されたレポートの質の高さには驚きました。大きな時間の節約になります。特に移籍の時期は慌ただしく、時間に追われるため、1 つのアドバンテージになります」

ヘルタ・ベルリンのスカッドプランニング&スカウティング部門の責任者であるティモン・パウルズ (Timon Pauls) 氏は次のように語っています。「この共同イノベーションプロジェクトは、生成 AI の実際の強みを実証するものになりました。現場ですぐに作成できる選手比較やスカウティングレポートの要約は、当クラブのスカッドプランニングにとって非常に価値あるものになります」

近い将来、SAP は AI 技術を使って、生成されるスカウティングレポートを、外部データプロバイダーから提供される試合データなど、他のソースからの情報でさらに充実させることも計画しています。パフォーマンス診断、トレーニング管理、試合分析など、SAP Sports One の他のコンポーネントへの AI 機能の統合も計画しています。

AI を活用したスカウティングレポート機能を備えた SAP Sports One は、2024 年第 2 四半期に世界中の顧客に提供される予定です。

 

SAP Sports Oneについて

2015 年、SAP はクラウドソリューションの 1 つとして SAP Sports One を提供開始。アスリート・マネジメント・ソリューションとチーム・パフォーマンス・プラットフォームは、あらゆるスポーツ・プロセスをカバーします。様々なコンポーネントが、コミュニケーション、チーム管理、トレーニングとパフォーマンスコントロール、フィットネスと健康管理のトラッキング、スカウティング、チームプランニング、パフォーマンス診断、試合分析、次の試合への選手の準備をサポートします。

SAP® Analytics Cloud との連携により、専門の SAP パートナーから提供される幅広いスポーツ関連データを評価することも可能です。SAP Sports One は現在、ドイツのブンデスリーガに所属する 18 のサッカークラブのうち 12 クラブで利用されています。また、アイスホッケー、バスケットボール、ハンドボール向けの同ソリューションも利用可能です。

SAP Sports One は、FC バイエルン、ヘルタ・ベルリンをはじめ、TSG ホッフェンハイム、FC ザンクトパウリ(ドイツ)、BSC ヤングボーイズ・ベルン(スイス)、ジェノアCFC1893(イタリア)、スラヴィア・プラハ(チェコ共和国)、レスター・シティ(イングランド)、ヴィッセル神戸(日本)、SC ラスタ・フェヒタ (ドイツ、バスケットボール)、ドイツサッカー連盟など、世界 19 カ国で 80 以上の顧客をサポートしています。

 

以上

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