SAP Japan プレスルーム

進化する SAP SuccessFactors のユーザーエクスペリエンス。AI を活用して人材と組織の可能性を高める新機能

Portrait of an asian businesswoman at office at night

クラウドベースの人事管理ソリューションで世界中の企業をサポートする SAP SuccessFactors は、優れた人材を採用・育成し、エンゲージメントを強化しながら、組織の可能性を最大限に高めていくための継続的な機能強化を行っています。2024 年 3 月 22 日に開催された SAP ジャパン主催イベントでは、SAP SuccessFactors のプレジデント 兼 最高プロダクト責任者(Chief Product Officer)のダン・ベックが登壇し、2024 年にリリースされる AI を活用した新機能など、最新の製品ロードマップを紹介しました。またセッションの後半では、SAP ジャパンの人事・人財ソリューションアドバイザリー本部 本部長の佐々見直文が、AI 活用における SAP の倫理ポリシーに言及しながら、最新機能のデモンストレーションを行いました。

革新的なソフトウェアで日本企業の変革を支援

SAP SuccessFactors にとって、日本はサービスを提供する世界 138 カ国の中でも 6 番目の規模を誇る市場です。日本国内に数百社のユーザー企業がある中で、77 社は 10,000 人以上の従業員を擁する企業であり、SAP はこれらのユーザー企業の支援に向けて、2022 年に日本に特化したクラウドデータセンターを開設しました。

ベックは「SAP SuccessFactors のミッションは、ソフトウェアの機能によって人材の能力を最大化し、組織の変革を支援することです。日本は SAP にとって極めて重要な市場です。私たちはこれからも人材や組織の潜在能力を高めるための革新的な技術を提供していきます」と話します。

広範なビジネスを支える多彩なソリューションを提供する SAP は、基幹システムであるクラウド ERP をコアに、財務管理、サプライチェーン管理、顧客管理などの各業務に対応したソリューションをラインアップしています。そして、これらを支えているのがクラウド上のアプリケーションに最適化された統合的な開発プラットフォームである SAP Business Technology Platform(SAP BTP)です。SAP BTP を活用することで、SAP アプリケーションの機能拡張や他の SaaS 製品との連携、すべてのデータの可視化、分析が可能になります。

AI の活用によるユーザーエクスペリエンスの向上

SAP SuccessFactors が提供する価値は、「コア人事と給与計算」「タレントマネジメントと学習管理」「プラットフォームとエコシステム」の 3 点に集約することができます。コア人事の領域では世界 100 カ国以上で 6,000 社を超える顧客を、コア人事と密接に連携する給与計算においては 50 カ国以上で顧客をサポートしています。またタレントマネジメントと学習管理では、インテリジェントなフレームワークによって、パフォーマンス管理、目標管理、スキル管理などの高度な機能が提供されています。

さらにプラットフォームとエコシステムでは、オープンなクラウドプラットフォーム上でソフトウェアパートナーやサービスパートナーが提供する 350 以上のアプリケーションとの連携を実現しています。

「特に近年は、AI を活用したフレキシブルな働き方のモデルを提唱することで、これらの 3 つの価値をさらに高め、最高のエクスペリエンスとしてお客様の組織の能力を高めていくことに力を注いでいます」(ベック)

SAP SuccessFactors の機能は、その役割ごとに 5 つの層で構成されています(下図)。最上位の System of Engagement(SoE)層には、従業員のユーザーエクスペリエンスを統合する SAP SuccessFactors Work Zone、新たにリリースされた生成 AI アシスタントの Joule などがあります。2 層目には、新たなインサイトを獲得するための分析機能として、SAP Analytics Cloud と SAP Datasphere。また 3 層目には SAP SuccessFactors の各アプリケーション群、4 層目は Systems of Record(SoR)層として人事管理機能(Employee Central)と個々の従業員の属性、スキル、興味・関心などを統合管理するデータハブ(Talent Intelligence Hub)の 2 つがあり、これらを最下層の SAP BTP のプラットフォームが支えています。

「SAP SuccessFactors では、エンジニア、プロジェクトマネージャー、デザイナーなどで構成される 2,000 人以上の体制で、従業員のインテリジェンスを高めるための継続的な製品のアップデートを行っています。その中でも最新の機能の 1 つが、生成 AI アシスタントの Joule です」(ベック)

SAP が人事領域で掲げる投資戦略の 4 つのテーマ

SAP SuccessFactors のビジネスにおける SAP のビジョンは、人事管理の機能を高めることで組織の変革を促していくことにあります。そのための投資戦略として、以下の 4 つのテーマを掲げています。

① Elevated experience(高度なエクスペリエンス)

優れた人材を惹きつけ、維持し、エンゲージメントを高めるための最高のユーザーエクスペリエンスの提供

Future-ready workforce(未来の成長を支えるワークフォース)

競争が激化する世界において、一歩先を行くための最新のデジタルスキルの習得、また既存の人材のリスキリングによって、新たな組織体制を整備

③ Agile and compliant HR(アジャイルとコンプライアンス)

プロセスを自動化して人事関連業務のアジリティを高め、グローバルの規制に準拠した製品・サービスを日本市場に提供

④ Connected HR(連携性)

人事関連の情報を他のアプリケーションと統合するだけでなく、ビジネスと関連性の高い情報と連携させながら、組織の変革を支援

年に 2 回のメジャーリリースで新たな価値を提供

SAP では、SAP SuccessFactors のビジネスにおいて年に 2 回のメジャーリリースを実施しています。ベックは、投資戦略の 4 つのテーマとも関連したいくつかの特徴的な機能を紹介しました。

Elevated experience(高度なエクスペリエンス)

・Experience momentum

SAP SuccessFactors HCM では、ユーザーエクスペリエンスを高めるための統合的かつ直感的なインターフェースを採用しています。Web インターフェースとモバイルインターフェースの使いやすさを最大限に高め、SAP のエコシステム全体にわたる単一のインターフェースとして、一貫したエクスペリエンスを提供します。

このインターフェースは、SAP SuccessFactors への直感的なアクションを実現するため、SAP のエコシステムや会話型 AI から利用できるほか、Microsoft Teams といったサードパーティの承認プロセスも実行できるなど、すべてが完結できるようになっています。

Future-ready workforce(未来の成長を支えるワークフォース)

・Growth portfolio

従業員のスキル管理は、人事業務における重要なテーマです。Growth portfolio は、個々の従業員の属性やスキルを可視化し、習熟度、希望するキャリア、学習状況に応じたスキルの推奨などを自動化されたプロセスの中で実現します。

・New integrated learning experience

従業員がスキル向上に集中できる統合された新たな学習体験を提供します。たとえば、ある学習コースを受講した場合、そのコースに関連するスキルが自動的に従業員に対して追加されます。チーム単位のスキルアップやリスキリングにも役立てることができ、効率的なスキル管理が可能になります。

Agile and compliant HR(アジャイルとコンプライアンス)

・SAP SuccessFactors Time Management

セルフサービス型勤怠管理機能の SAP SuccessFactors Time Tracking により、正確性、透明性の高い人件費の管理、また従業員の生産性の向上を支援します。

・SAP SuccessFactors Onboarding

新規採用者の育成、定着を支援する SAP SuccessFactors Onboarding では、2024 年も新たな機能が追加される予定です。新規採用者のオリエンテーションの高度化、人事担当者とのエンゲージメントの強化など、効果的なオンボーディングプロセスにより、新たな人材が短期間で組織に定着し、スキルを発揮できる環境を提供します。

Connected HR(連携性)

・Total workforce management

人材シェアリングプラットフォームの SAP Fieldglass と連携することで、外部人材も含めた総合的な人材管理を実現します。これにより、パートナー企業を含めた組織を横断したプロジェクトの把握、高度な人材管理が可能になります。

・SAP SuccessFactors Analytics

ビジネスで求められる人材の指標を標準定義し、分析、レポートする新たな機能のリリースを 2024 年に予定しています。インタラクティブなデータ探索を使用して、多様性やエンゲージメントなどの指標を深く掘り下げることで、人事部門のマネージャーは最新のデータに基づいて意思決定を行うことができます。

パートナーとの協業を通じたSAP独自のAI戦略

続いて、ベックは SAP の AI 戦略についても言及しました。SAP は人事領域だけでなく、財務会計、サプライチェーンなどの領域を横断しながら、ビジネスアプリケーション全体で AI の最新機能を提供していくことを目指しています。

「生成 AI アシスタントの『Joule』は、人事から財務会計、サプライチェーン、調達など、すべての SAP アプリケーションに埋め込み型で提供することが可能です。SAP SuccessFactors では、すでに 2023 年 11 月から Joule の提供を開始しています」(ベック)

もう 1 つの重要な戦略は、AI の分野におけるパートナーシップを強化し、エコシステム全体でさらなる価値を創出していくことです。現在は Microsoft、IBM、Google、NVIDIA、Databricks などの企業と、さまざまなレベルのパートナーシップを構築しています。

「これは競合他社とは異なる SAP 独自のアプローチです。多くの企業は AI モデルを自社で開発しようとしていますが、SAP は世界最高レベルの企業とパートナーシップを結ぶことで、AI の分野を最前線でリードしていこうと考えています」(ベック)

最後にベックは、SAP が 2024 年に AI に関する 52 のユースケースの発表を予定していることを明らかにし、「2024 年は皆さんにとってエキサイティングな年になるはずです。組織に AI を組み込み、従業員の潜在能力を解き放つ大きな機会にしてください」と話して、セッションを終えました。

AI 活用における SAP の倫理ポリシー、ガバナンス体制

ダン・ベックに続いて登壇した SAP ジャパンの佐々見直文は、まず AI を活用した新機能の提供における SAP の倫理ポリシーについて言及しました。

「SAP は AI の活用において、Relevant(関連性)、Reliable(信頼性)、Responsible(責任)の 3 つを基本原則とし、グローバルのシニアエグゼクティブが参加する倫理委員会が AI 活用の厳格な指針を定めているほか、AI に潜在するリスクを評価するための仕組みを構築するなど、ガバナンスの強化に取り組んでいます。また自社の一方的な利益追求に陥らないよう、AI 開発のコンプライアンスを徹底するプロセスも確立しています」

圧倒的な効率化を実現する生成 AI のユースケース

続けて佐々見は、SAP SuccessFactors における生成 AI 活用の 2 つのユースケースを紹介しました。1 つは採用業務において、SAP のデータと外部データをもとにカスタマイズされた職務定義書を自動生成するユースケースです。

「職務定義の基本情報として簡単な文章を入力すると、生成 AI が同じ業界、同じ職務の情報を参考にして、新たな職務定義書を自動生成してくれます。平均点レベル以上の職務定義書が瞬時に出力されるため、そこに手を加えていくことで圧倒的な効率化が実現します」(佐々見)

この職務定義書は、採用担当者が候補者を選抜する際にも利用することができます。生成 AI が募集要項に基づいて候補者のスキル、経験などを判断し、推奨される面接の質問なども採用担当者に提案してくれます。

「採用担当者は膨大の応募書類を読むことなく、面接の優先順位などを判断することができるため、精度向上や効率化が期待できます」(佐々見)

もう 1 つは、従業員の目標作成のユースケースです。画面上で簡単な目標を入力するだけで、目標を達成するために必要な KPI を設定することができ、ビジネスゴールとキャリアゴールが自動生成されます。この結果をもとに、従業員は自らが希望するキャリアに沿って目標設定をブラッシュアップすることができます。

また、2024 年には従業員が文章を作成する際のサポート機能として、「汎用ライティングアシスタント」のリリースも予定されています。これは SAP SuccessFactors HCM のあらゆる場所で利用できる機能です。

汎用ライティングアシスタントには、個人情報などのセンシティブな情報を誤って入力してしまった場合に、それを除外するセーフティスキャン機能が組み込まれています。また、ダイバーシティ、インクルーシブネスの観点での不適切な表現や無意識のバイアスも排除して、最適なアウトプットを提供してくれます。

今後想定される AI のユースケースとしては、従業員向け、管理職向け、人事担当者向けなどさまざまなものがあり、AI が人事関連のすべての業務の効率化・高度化を後押ししていくことになります。

「SAP が提供する AI には、推奨、生成、会話といったさまざまな機能があります。AI が働き方を変え、社会を変えていく時代となった今、小さなステップから AI の活用をスタートし、『未来の人事部門』への変革にいち早く取り組んでいただきたいと思います」(佐々見)

AI によって進化を続ける SAP SuccessFactors のユーザーエクスペリエンスは、これからも組織の変革に貢献する新たな価値をもたらしてくれるはずです。

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