（本記事は、6月21日本社で掲載されたものです）
変化の激しい今日の世界で、AI がユーザーと組織の生産性を高め、意思決定力を強化し、ビジネスプロセスを抜本的に変えようとしています。
先日 SAP® Sapphire® で発表したとおり、昨年の第 4 四半期以降、私たちは 50 の新しい AI イノベーションをリリースし、2024 年には SAP ポートフォリオ全体で 100 以上の AI ユースケースを出荷する予定です。この取り組みの一環として、私たち SAP S/4HANA® Cloud Public Edition チームは、このイベントで発表された新しい AI イノベーションを紹介できることを誇りに思っています。
私たちはユースケースを検討する際、AI を活用したクラウド ERP でビジネスの成長とイノベーションを促進することを念頭に、次の 3 つの観点に注目します。
- 従業員の生産性と効率の向上：自動化およびシンプルなユーザーエクスペリエンスによって業務を変革し、ビジネス成果を促進します。
- ビジネスプロセスの加速化と意思決定の最適化：よりスピーディに安全な意思決定を行うために、AI を活用したプロセスとデータに基づくインサイトとレコメンデーションの提供を可能にします。
- AI で財務の卓越性を高める：AI を活用して、運転資本と決算業務を最適化します。
従業員の生産性と効率を高める AI ユースケース
AI コパイロット Joule： Joule は、情報提供、ナビゲーション、取引支援など、ユーザーが自然言語を使って業務できるようサポートします。Joule に尋ねるだけで、ヒント、情報、インサイトを得ることができます。Joule は、ユーザーインタラクションを再定義し、ビジネスプロセスを合理化し、生産性を向上させます。ユーザーはガイダンスを求めるだけで、Joule が正しい方向へ導いてくれるので、コンテンツやアプリケーションへのコンテクスチュアルなアクセスが可能になります。
スマートな要約：SAP のお客様は、生成 AI を活用して、ビジネスコンテキストの要約を多言語でシームレスに作成し、より迅速なコラボレーションとコミュニケーションに利用できるようになりました。これにより、日々の活動が確実に迅速化し、ユーザーはテキスト提案を特定ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできます。例えば、顧客とのミーティングに先立ち、営業担当者が顧客の詳細データ、最新のやり取り、現在の問題点などの要約を求めることができます。結果は要約され、E メールで送信されるため、営業担当者はミーティング前に情報に目を通しておくことができます。
簡単なフィルター：SAP のお客様は、エレメントベースの SAP Fiori® アプリで、生成 AI によって可能となる自然言語を使用して、簡単かつ効率的にフィルタリングできるようになりました。これにより、現在のフィルタリングのエクスペリエンスが大幅に向上し、初めてのユーザーでも直感的に操作できるようになります。例えば、営業マネージャーは、自然言語を使って、期日が今週中に迫り、一定の金額を超える未決済 VIP 顧客からの受注情報を取得することができます。
コラボレーティブな ERP：エンドユーザーによる冗長なタスクの排除と効率性の向上を支援します。SAP と Microsoft のパワーが組み合わされることで、ユーザーは、SAP S/4HANA for Microsoft Teams インテグレーションを通じて SAP S/4HANA Cloud Public Edition からの To Do 通知を Microsoft Teams で直接受け取ることができます。これはエンドユーザーの時間を節約するだけでなく、メディアの最大限の活用にもつながります。同僚とビジネスコンテキストを共有する場合、ユーザーは適応性のあるカードベースのループコンポーネントに基づいてカードを共有するオプションを利用できます。これにより、エンドユーザーは例えば Microsoft Teams から Microsoft Outlook へと、Microsoft のエコシステム内で直接行動し、シームレスにコピーできます。
SAP Sapphire で発表されたように、SAP と Microsoft は今年後半から Joule と Microsoft Copilot for Microsoft 365 の統合を開始し、SAP に存在する企業データと、Microsoft Teams、Microsoft Outlook、Microsoft Word などを含む Microsoft 365 から得られるコンテクスチュアルなナレッジを組み合わせることで、より良い意思決定のためのリッチなインサイトを提供できるようになります。
例えば、営業マネージャーが、最重要顧客の受注ブロックを外したいと考えているとします。Microsoft 側で受注がブロックされていることを確認したら、Microsoft Outlook を使ってチームメンバーの 1 人に助けを求めます。このチームメンバーは SAP S/4HANA Cloud Public Edition 上で直接問題を解決し、SAP S/4HANA Cloud Public Edition ソリューションのリアルタイムステータスを更新したメモを送り返します。最終的に、受注ブロックは解除され、全員が自分が最も慣れている環境で効率的かつ効果的に作業を行うことができました。
SAP S/4HANA Cloud Public Edition にご興味のあるお客様は、カスタマーインフルエンスプログラムを通じて、SAP S/4HANA Cloud Public Edition のイノベーションを直接体験することができます。
ビジネスプロセスを加速化し、意思決定を最適化する AI ユースケース
顧客のニーズに素早く対応できるパーソナライズされたエクスペリエンスで、顧客サービスを刷新します。
インテリジェントなレコメンデーション：受注完了から顧客返品登録まで、SAP Fiori アプリのインテリジェントなレコメンデーションにより、ビジネスオブジェクトの作成にかかる時間を最大 90% まで大幅短縮できます。これにより、手作業を最小限に抑えられるだけでなく、精度と生産性の向上によってプロセス全体を加速できます。
従業員とプロジェクトをインテリジェントにマッチング：SAP のお客様は、AI イノベーションを活用して、最適なスキルを持つ従業員を特定プロジェクトに効率的にマッチングさせることで、プロジェクトの人員配置を合理化することができます。これにより、適切な人材を見つけるための時間と労力が削減され、プロジェクトに理想的なチームメンバーを配備できるようになります。
企業サービス管理におけるコミュニケーションインテリジェンス：未処理明細の消込と未収金明細の照合を自動化することがかつてないほど簡単になりました。SAP の機械学習ソリューションは、手作業を最大 60% 削減し、未収金明細の照合を最大 70% 自動化できます。さらに、売上債権回転日数を最大 5% 削減できる可能性もあります。
例えば、売掛債権担当者は、顧客から送られてくるすべてのメールを分類、要約し、重要な情報をすべて抽出することができます。さらに、当システムは、担当者が財務上の行き違いを察知し、それを解決し、顧客に返信するメールを作成できるよう支援します。
AI で財務の卓越性を高め、運転資金と決算業務を最適化する
財務業務インサイト：これは、カスタムプロンプトを介したカスタムの解決を通じて、最適化された収益性に到達することを可能にするためのものです。ユーザーは、SAP Business AI の助けを借りて、財務上の意思決定のためのリアルタイムのインサイトや詳細な分析結果を得たり、的を絞ったレコメンデーションを受けたり、ビジネス機能全体のチームワークやコラボレーションを改善したりすることができます。
例えば、経費報告サマリーを作成する必要がある間接費会計担当者は、生成 AI のサポートを受けて簡単に、前期と比較して最も乖離の大きいコストセンターの概要を取得することができます。
高度な決算機能によるエラー解決のサポート：AI ベースのレコメンデーションが、決算処理中に検出されたエラーの解決をサポートします。これは、決算処理の迅速化だけでなく、手作業によるエラーや IT コストの削減にも役立ち、ビジネスユーザーをかつてないほど強力に支援します。
複雑なプロセスの設定を支援：ユーザーフレンドリーな言語による減価償却キーの説明や、米国税コードのインテリジェントな設定など、生成 AI 機能は複雑な設定をシンプル化し、オンボーディングエクスペリエンスの向上や、決算期などの重要な期間における生産性の向上を支援します。
AI を直接体験する
イノベーター、クリエイター、そしてテクノロジーの力を活用して変革を推進する先進的な考えを持つ人々が集うコミュニティに、お客様も参加できるようになりました。私たちは、お客様が発見、成長、そして無限のチャンスを求めることができるカスタマーインフルエンスサイトを立ち上げました。
私たちのイノベーションはまだまだ続きます。今後のリリースで予定されている機能の概要については、こちらの SAP S/4HANA Cloud Public Edition ロードマップをご覧ください。
イノベーションのペースがますます加速する中、SAP のお客様には、ビジネス AI がもたらす機会をいち早くお届けできると私たちは確信しています。
アルパン・シャー (Arpan Shah) は、SAP のパブリッククラウド ERP 製品管理担当 SVP です。
