SAP Japan プレスルーム

企業のネットゼロ目標を支援する SAP ® Sustainability Data Exchange が利用可能に

Female Farm Worker Using Digital Tablet With Virtual Reality Artificial Intelligence (AI) for Analyzing Plant Disease in Sugarcane Agriculture Fields. Technology Smart Farming and Innovation Agricultural Concepts.

(本記事は、10月18日に本社で掲載されたものです)

世界中のビジネスリーダー、政府関係者、政策担当者、イノベーターが一堂に会し、最も差し迫ったサステナビリティの課題に取り組む COP29 が来月開催されます。気候目標達成を効率的に目指し、ネットゼロ排出を実現するには、革新的なテクノロジーが大きな役割を果たします。企業が炭素関連データを収集、共有、分析する方法を刷新するものとして、SAP は、標準化された炭素データ共有を可能にする SaaS アプリケーション、SAP® Sustainability Data Exchange の一般提供開始を発表しました。

ある企業からの直接排出量を管理し削減することは比較的容易ですが、サプライチェーン全体で発生する排出量を軽減するには、多くの時間、企業間の連携、データ共有が必要です。企業が直面する大きな課題のひとつは、スプレッドシートやアンケート式の情報収集といった時代遅れのツール、およびネットワーク間で連携が取れない断絶したプロセスです。さらに、温室効果ガス排出量の計算やデータ交換の標準化が進んでいないため、データの収集や報告にさまざまなアプローチが用いられ、その結果、多くの組織が実際の数値ではなく業界平均値のみに頼るという事態を招いています。

カーボンフットプリントを管理してネットゼロの未来の実現を加速させるには、適切に測定できるかどうかが極めて重要です。ここにこそ、テクノロジーとイノベーションの真価が問われます。SAP® Sustainability ソリューションと、SAP ERP 中心のクラウドベースの AI 活用アプローチにより、SAP はお客様が、統合されたサステナビリティデータを包括的にコアビジネスプロセスに組み込めるようご支援します。

SAP Sustainability Data Exchange とは

SAP Sustainability Data Exchange は、サプライチェーンのパートナー間で標準化された炭素データ交換を促進し、組織が上流の排出量データを推定値から実測値へと変えていくのを支援します。組織はこのアプリケーションを利用して排出量データを共有することで、CO2 削減の可能性が高い製品やプロセスの特定、二重計上の回避、実際のサプライヤーデータに基づくフットプリントの最適化により、ネットゼロ戦略や気候変動対策を実施しやすくなります。これにより、サプライチェーン全体にわたる炭素データ交換の拡張性、標準化、信頼性が高まります。

SAP Sustainability Data Exchange は SAP ランドスケープにシームレスに組み込まれます。マスターデータ複製のために SAP S/4HANA® と接続し、大規模な製品カーボンフットプリントの正確な計算のために SAP® Sustainability Footprint Management と統合されます。

ネットワークのパワーを発揮するには標準化が鍵

カーボンフットプリントのデータ交換を可能にするには、業界ネットワークやフレームワークとの間における標準化と相互運用性が鍵となります。それにより、データ主権を損なうことなく、共同イノベーションやコラボレーションを促進できます。SAP Sustainability Data Exchange は、自動車業界ネットワークの Catena-X と、持続可能な開発のための世界経済人会議 (WBCSD) の Partnership for Carbon Transparency (PACT) が定めた新しい標準規格に準拠しており、相互運用が可能です。

例えば、PACT は、企業のバリューチェーン上で発生し、企業の直接的な管理下にはない排出量(スコープ3 排出量)について、一貫性があり、比較可能で、信頼性の高い排出量データの算出と交換のためのグローバルスタンダードを策定しています。また、Catena-X は PACT と緊密に連携し、業界固有の拡張機能を追加しながら、炭素会計と炭素データ共有に関する共同標準化基盤を確立しています。

Catena-X は、サステナビリティのユースケースとして SAP Sustainability Data Exchange を認定しています。ティア 1 の自動車部品サプライヤーである WITTE Automotive 社は、このアプリケーションを導入した最初の顧客企業のひとつです。同社は、自社製品のカーボンフットプリントを算出するために顧客およびサプライヤー両者との間で製品カーボンフットプリント値を交換する標準化された方法を模索していました。SAP Sustainability Data Exchange を利用することで、WITTE Automotive 社は Catena-X ネットワークを通じて入手したデータを統合してサプライヤーのフットプリントを集計し、部品やコンポーネントの製品カーボンフットプリントを正確に計算し、同ネットワーク内で完成品の算出値を公表できるようになりました。


「このオープンで協調的なデータエコシステムは、あらゆる組織がインテリジェントで持続可能なエンタープライズネットワークの一員になれるようサポートするという SAP のビジョンを完全に反映したものです。また、Catena-X Automotive Network を活用される企業様は、サプライチェーン内の企業間の製品の追跡から、Scope3(スコープ3)の排出量の追跡・計算まで、さまざまな活動をサポートする SAP ソリューションの幅広いポートフォリオにアクセスいただけます」

– クリスチャン・クライン (Christian Klein)、CEO、SAP SE


さらに、何百万もの企業から信頼され、年間約 6 兆ドル、7 億 5,000 万件以上の取引が行われている奥深く、幅広いグローバルネットワーク SAP Business Network のパワーも SAP Sustainability Data Exchange は活用します。

 Green Ledger の中核

サプライチェーン全体における温室効果ガスの排出量を正確に把握することは、データ交換を可能にするだけでなく、収益にも影響を与えます。多くの企業は、温室効果ガスを企業の貸借対照表の不可欠な一部と位置づけ、現金と同じ精度で測定・管理し、温室効果ガスを「お金」のように扱いたいと考えています。2024 年末に一般利用が可能になる SAP Sustainability Data Exchange と SAP® Green Ledger をご活用いただくことで、財務上の意思決定を行うための強力な基盤を確保することができます。

詳細については、こちらのSAP Sustainability Data Exchange 製品ツアーをご参照ください。

SAP Sustainabilityソリューションは、カーボンマネジメントや環境・社会・ガバナンス (ESG) 関連の開示にとどまらず、さらに幅広いサポートを提供します。業務コンプライアンスや材料転換のサポートについては、サステナビリティページをご覧ください。また、最新情報を入手するには、サステナビリティニュースレターをぜひご覧ください。


ギュンター・ロサーマル (Gunther Rothermel) は、最高製品責任者兼 SAP Sustainability 共同 GM です。
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