製薬業界では、研究開発のグローバル化、M & A による組織拡大が加速しています。日本発のグローバル企業においては、「どこまで標準化を進めるべきか」「地域ごとの違いにどう対応するか」といった人事戦略上の課題が顕在化しています。
また、人的資本経営への注目が高まる中、人事部門には「ビジネス成果への貢献」がこれまで以上に求められています。データ活用、現場主導の改革、グローバルなコミュニケーション基盤の構築、これらをどう実現するかが、多くの企業にとって喫緊の課題です。アステラス製薬株式会社は従業員の 69 %が外国籍という真のグローバル組織を構築し、2023 年から売上収益・コア営業利益が過去最高を更新し続けています。本ウェビナーでは、同社の代表取締役副社長 杉田勝好氏が、経営戦略と人事戦略の連動による組織変革の取り組みについて語りました。
〇ご登壇者
アステラス製薬株式会社 Chief People Officer 杉田 勝好 氏

旭化成、ジョンソン・エンド・ジョンソン、日本ヒルティ、アストラゼネカ、日本マイクロソフトで人事領域のリーダーを歴任。2021 年 5 月よりアステラス製薬にて人事部門長、専務担当役員 人事・コンプライアンス担当(Chief People Officer and Chief Ethics & Compliance Officer – CPO & CECO)、代表取締役副社長 人事・コンプライアンス担当を経て、現在代表取締役副社長 人事担当。※ 2025 年 11 月時点 アステラス製薬では組織健全性目標を戦略目標と同じウェイトで設定し、2023 年から売上・営業利益が過去最高を更新。
「一気に振って、戻す」―グローバル標準化の判断基準
杉田氏はグローバル標準化について、一気にグローバルに振ったことで痛みが出たが、現在は調整を行っている、変化のためには一気に振ることが大事だと語りました。この大胆なアプローチにより組織は明確な方向性を理解し、その上で実務上の調整を行うことができました。システムはグローバル化を維持しつつ、プロセスは柔軟に調整。標準化とローカル最適化の判断基準として、法的な面、ローカルカルチャー、ビジネス上のニーズの 3 つの軸を示しました。
「資料 1 枚・ 5 分説明」で変わった会議文化
グローバル組織における会議の生産性も大きな課題でした。社長主導で、資料 1 枚・説明 5 分・残りは議論というフォーマットに変更。この改革により、会議の焦点が明確になり、より本質的な議論ができるようになったと杉田氏は語ります。また、アステラス製薬では「Globish(グロービッシュ)」を公用語と定義。「伝わればいい」というメッセージとともに、ネイティブスピーカーには相手が理解できるスピードで話すことを、グローバルマインドセットの評価項目として組み込みました。
データドリブン HR と現場主導の業務改革
杉田氏は、「人事の課題はすべてビジネスの課題から出てくる」と強調します。営業部門では定期的な人事異動が発生しますが、従来は複数の Excel ファイルが散在し、情報管理が非効率でした。この課題に対し、営業部門が自ら手を動かして人事システム上に情報を一元化するアプリケーションを構築。年間 3,000 万円相当の工数削減を実現しました。成功の鍵はボランティアにしないこと。個人目標に必ず組み込み、成果が出れば業績として評価する仕組みが重要だと杉田氏は明言しています。
組織健全性目標とビジネス成果
アステラス製薬では、戦略目標と同じウェイトで「組織健全性目標」を設定。
1.果敢なチャレンジで大きな成果を追求、
2.人材とリーダーシップの活躍、
3.One Astellas で高みを目指す、という 3 つの柱で組織変革を推進しました。
結果として、2023 年から売上収益・コア営業利益が過去最高を更新、エンゲージメント向上への取り組みの成果も見えています。杉田氏は、リーダーシップとエンゲージメントの向上が業績向上につながったと分析しています。
変革から得た学び
杉田氏は変革から 4 つの学びを得たと語ります。

おわりに
グローバル化が進む中、人事部門には経営戦略と連動した組織変革が求められています。杉田氏の実践知は、試行錯誤も含めた、現場で起きたリアルな学びです。
「人事がどれだけビジネス貢献できるか。これが最も大事」という言葉が示すように、人事変革はビジネス成果に直結します。
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