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SAPジャパン Talent Discoveryチームによる本企画では、SAPでの仕事内容や印象深いエピソードなどを幅広くお届けします。活躍する社内メンバーの話から、SAPで働く魅力をお伝えできればと考えています。

第38回のインタビュイーは、プリンシパルエンタープライズアーキテクトの長内ゆかりさん。SAP流のエンタープライズアーキテクトとしてのお仕事内容や、組織拡大の背景をお伺いします。

まずは、お仕事内容について教えてください。

SAP流のアーキテクトが実現する、全体最適によるクラウド変革

「私たちSAPのエンタープライズアーキテクトは、クラウドへのトランスフォーメーションを進めるお客様に対し、アーキテクチャの観点から助言を行い、さまざまな疑問や課題に対応します。『この構成でクラウドに移行して本当に大丈夫か』『システム全体として矛盾がないか』といった点を俯瞰しながら、システム全体の整合性を見る役割を果たしています。

システムにはアプリケーションがたくさんありますよね。それらは個別に動いているようで、実際は相互に連携しています。エンタープライズアーキテクトは、こうした横断的な繋がりも含めて全体に問題がないかどうかを見極めるポジションです。

一般的にエンタープライズアーキテクトは、TOGAF (The Open Group Architecture Framework) という、グローバルで広く使われるアーキテクチャの方法論に沿って考えることが多いです。SAPのエンタープライズアーキテクトは、そのTOGAFをさらにSAP向けに最適化した独自のメソドロジーに沿ってプロジェクトを進めます。

SAPに特化しているからこそ、SAPが提唱する”Fit to Standard”に沿ってご支援できることが強みです。これはClean Core(=核となる部分を綺麗に保つ)ともよく言われますが、できる限りお客様が独自開発を増やさずに、SAPが標準とするプロセスに沿って、SAP製品の標準機能を活用しようとする方針です。その結果、個別にカスタマイズするための開発時間や負荷を減らせる点が大きなメリットです。

私たちエンタープライズアーキテクトは、さらにその先を見据えて、『将来的にはシステム全体をこのように目指す方が良いのでは』とお客様へアドバイザリーができることを目指して日々活動しています。時間はかかるし、簡単なことではありませんが、長期的な目線で経営層と伴走できることが理想であると考えています」

プリンシパルエンタープライズアーキテクト 長内ゆかりさん

プリンシパルエンタープライズアーキテクト 長内ゆかりさん

 

お客様によく見られる課題は、どのようなものでしょうか。

全体像の欠如がもたらす、意思決定の停滞リスク

「多く見られる課題として、ビジネス部門とIT部門間に生じる意識のズレがあります。IT側は『技術的には問題ない』と判断していても、ビジネス側は『使い勝手や業務としては適していない』と感じることがあります。このような部門間に生まれるギャップを理解し、両者の間に入って解消していくのも私たちの役割の一つです。

その解消のためには、まずは現状の可視化が重要です。アプリケーションごとに各部門の視点で評価し、上層部が『この部分はITとビジネスで評価が一致していない』とすぐに気づけるようにマークしておきます。課題が明確になった段階で、SAP側の適切なプロフェッショナルをアサインしたり、お客様のステークホルダーを集めて議論の場を設定したりします。ゼロから現状を把握してもらうのではなく、すぐに関係者同士が解決に向けた前向きな議論を始められる状態を整えることが大切です

 

SAPの コンサルタントなど、他のポジションとの違いを教えて下さい。

「部分最適」と「全体最適」の分岐点 ── “ビッグピクチャー”を描く役割

「コンサルタントは、基本的にはシステムの導入に向けて、より具体的な設計・設定・実装の段階でプロジェクトに参画します。一方、プロジェクトは領域ごとに範囲が分かれているため、コンサルタントは自分の専門領域に深くコミットする一方で、全体を横断的に見る役割は別途必要になることがあります。とくに複数のプロジェクトが並走して進む場合、各プロジェクトの関係者は部分最適で動くことになり、全体で見ると”抜け”が出てしまう可能性があります。

私たちエンタープライズアーキテクトが目指すのは、お客様にとってのシングル・ポイント・コンタクト、つまり全体を統括する相談窓口のような存在です。

大前提として、システムの全体最適を図る際には、お客様の経営方針に対してシステム全体が整合しているのかという観点が重要です。そのためには、お客様のCIOなど上層部の方とお会いして会話し企業が目指す方向性やビジョンを正確に理解することが重要です。どんなに高度なシステムであったとしても、その指針に合致していなければ、『適切でない』と判断できることが大切です。

そして、実際にプロジェクトが進行している部分だけでなく、まだ着手していない領域も含めてシステム全体を俯瞰し、繋がりや矛盾を洗い出します。一歩引いた“ビッグピクチャー”の視点で、システム全体が崩れないように一貫性をもって支えることを重視します。

例えばソリューションアーキテクトであれば、『SAPのこのバージョンで、このコンポーネントとAPIとインターフェースがどう連携するか……』という粒度で議論します。一方、エンタープライズアーキテクトは『システム1とシステム2があり、両者は問題なく繋がっているか?』という枠組みで全体像を俯瞰しながらシステム全体を捉えていくイメージです」

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国内外を含め、さまざまな外資IT系企業での経験を積まれてきた長内さん。ご経験をどのようにお仕事に活かせているのでしょうか。

SAPに関わるキャリアを横断して培ったマインド

「最初は、『プログラムを書いて開発をしたい』と考えてエンジニア職に就いたのが出発点でしたが、その後はずっとSAPに関わる職種で経験を積んできました。コンサル会社でもSAP Basis(基盤)を担当しましたし、ITベンダーに在籍しているときもSAPのSME(Subject Matter Expert)として活動してきました。

SMEとは、SAPに深い知識と経験を持つ担当として、ベンダーに所属しながらSAPのお客様を担当する専門家です。SAPを導入しているお客様においては、SAP周辺領域の知見も必要になるので、そのようなプロジェクトの際に声がかかり、キャリアを積みました。

カナダのSAPユーザー企業に在籍していた経験から、ユーザー側の気持ちもすごく分かります。ベンダーはお客様に新しいシステムを導入してほしい。しかし、ユーザー側は既存環境の全体の整合性を守りながら、価格面を考慮したり、テストをクリアしたり、さまざまなプロセスを経て多くの壁を越えなければなりません。従って、新しいシステムを入れることに関して非常にシビアなのです。

そのことを実感してきたからこそ、ベンダー側の立場に立っても、『このシステムを導入しましょう』と提案するだけではなく、現実的な大変さも踏まえてお客様に寄り添うことができます。過去の経験が活きていると思います。

SAPに入社した理由は、SAPに関連する仕事を続けたいと思ったこと、そしてこのエンタープライズアーキテクトという新しいポジションに魅力を感じたからです。まだまだエンタープライズアーキテクトの定義も世の中で曖昧な部分もあり、組織としても非常に新しいのですが、SAPとしてはこれからさらに注力していくポジションです」

エンタープライズアーキテクト部門が拡大している背景、またどのような人物が求められているのかを教えて下さい。

複雑化するIT環境で高まる、エンタープライズアーキテクトの重要性

「メンバー拡大の背景には、何よりもお客様からの強い要望があります。システム全体の整合性を担保してくれる存在をSAPに求めるお客様の声、そして市場からの強いニーズを受け、グローバルとしてこのポジションを強化する方針が掲げられました。

このポジションを目指す方なら、これまでどの職種の経験を持っていてもかまいません。自分の実績を起点にしながら、より大局的な視点を広げていきたいと考える方が向いていると思います。『特定の専門技術を一点突破で極めたい』というタイプよりは、『包括的にシステム全体を見たい』という志向を持つほうが合うと思います。

私自身は技術系でキャリアを積んできた立場ですが、営業系でも技術系でも、どちらの強みも活かせるポジションだと思います。

例えば、一つのソリューションに精通したソリューションアーキテクトが、将来的にエンタープライズアーキテクトへ進むケースも多く、自然なキャリアパスだと思います。また、様々な役割の方と関わるので調整力やコミュニケーション力も大きな強みになります。実際に営業出身のメンバーも多く、活躍できる場面はたくさんあると思います」

 

長内さんの今後の展望を教えて下さい。

変化の時代だからこそ、前向きな仲間とともに成長したい

「今後は、ITとビジネスの両面を理解できる人材へと成長したいと考えています。現時点では、システム寄りの視点になりがちですが、今後はビジネス側ももっとカバーできるようになってオールラウンドにお客様を幅広く支援できる存在なりたいですね。そして将来的には、お客様の上層部の意思決定者に伴走しながら、『何かあったら声をかけてもらえる存在』になることが、私の理想です。

時代が変化しても、SAPはAIを取り入れたり、クラウドへ進化させたり、常に変化に対応し続けています。これからも環境が変化に応じて柔軟に対応し、時代とともに成長し続ける企業であると信じていますし、そのような会社で仕事ができることに誇りを思います。

このエンタープライズアーキテクトの部署は、新しい組織であることもあり組織体制が変わったり、プロジェクト推進の方法論が新しくなったりといった変化も多いです。そのため、このポジションには、変化に柔軟に対応できる方や、新しいことを積極的に学びたい方が向いていると思います。前向きにチャレンジしながら、一緒に働ける仲間に加わってくれたら嬉しいです」

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エンタープライズアーキテクトがシステム全体の整合性を保つ重要な役割であることが伝わってきました。SAPがこの領域を強化する今、長内さんのようにITの知見を持ちながら経営者と伴走する人材が、ますます求められていきそうです。

 

■ SAPジャパンのキャリアサイトはこちらから:SAP Careers