HR Connect Tokyo 2026 レポート

世界 38 カ国、 143 拠点、約 13 万人の従業員を擁するSMBCグループ。同グループでは「 One Global HR 」の実現に向け、グローバルでの人事体制やプロセス、そしてシステムの段階的な統合を進めています。 2026 年 7 月 29 日に開催された『 HR Connect Tokyo 2026 』では、株式会社三井住友フィナンシャルグループ/株式会社三井住友銀行 人事部グローバル人事室長の山端 大輔氏が、グローバル人事における変革のロードマップと取り組みについて語りました。


〇 登壇者
株式会社三井住友フィナンシャルグループ/株式会社三井住友銀行
人事部グローバル人事室長
山端 大輔氏


海外事業の急成長に伴い、グローバル人事の変革が課題に

SMBC グループは、三井・住友の400年以上の歴史を源流として、世界各国のお客様に幅広いソリューションを提案してきました。現在、グループベースで世界38の国と地域に143の拠点を構え、これらの拠点で採用された従業員数はグループ全体の約半数に至る規模です。(図 1 参照)

(図 1)

SMBCグループ ネットワーク概要

海外事業は、ここ20-25年で急成長し、SMBCグループ全体の成長を牽引する存在となっています。この急成長を安定的な成長軌道へとトランスフォームさせていくため、グローバル人事を取り巻く課題として直面したのが、「グローバル連携と業務効率性の両立」と、「ボーダーレスなキャリア・育成機会の提供」です。

これまでのSMBCグループの海外事業の成長を支えてきたのは、各海外地域本部に権限を集中させる体制です。各海外地域本部のなかに人事機能をはじめとしたさまざまな機能を置き、地域内で業務が完結する体制としています。

近年、顧客企業がグローバルビジネスを加速させるなか、SMBCグループでも地域本部を跨いだビジネス連携を強化しています。ビジネスを支える人事機能にもグローバルな連携と業務効率化の両立が求められており、地域ごとに異なる人事制度やプロセスの統合も課題となっています。

さらに、近年では欧米の金融機関などで経験を積んだトップクラスの人材を、海外のシニアマネジメントとして採用しています。そうした人材に SMBC グループで長く活躍してもらうために、所属する国や地域を越えたキャリア機会を提供することも人事上の課題と考えています。

6 年間のロードマップで真のグローバル HR フレームワークを目指す

ビジネスと人事双方の課題を解決するため、SMBCグループでは 2026 年度からスタートした新たな中期経営計画のなかで、グローバル人事の方向性を明確に打ち出しました。

まず、 2026 ~ 2028 年度の現中期経営計画では、海外各地域本部で異なっている人事の体制、プロセス、システムを 3 年間かけて統合し、国内を除くインターナショナル領域の HR フレームワークを確立することを掲げています。

そして 2029 年度からの次期中期経営計画では、統一された海外の人事制度と国内の人事制度を整合させ、真のグローバル HR フレームワークの確立を目指します。(図 2 参照)

(図 2)

グローバル人事の方向性

GHR Operating Committeeと7つのGlobal CoEでグローバル人事の意思決定を強化

このような方向性の実現に向けて、まず取り組んだのが人事体制の改革です。 2025 年 4 月に「GHR Operating Committee」という体制を導入し、 7 つの機能別のグローバル横串組織である「Global CoE(Center of Excellence)」を設置しました。(図 3 参照)

(図 3)

One Global HR

従来は東京本店のメンバーが戦略や施策を検討し、各地域へ説明して進めていましたが、現在は各 CoE のヘッドが責任を持って施策を推進する体制に変えています。

人材評価・登用とグローバルモビリティを統合し、世界で人材が活躍できる仕組みを構築

プロセス面でも、地域ごとの違いを統合する取り組みを進めています。その 1 つが「グローバルタレントマネジメントフレームワーク (GTMF)」の構築です。これにより、従来、地域ごとに異なっていた評価や登用基準のグローバル統合を進めています。

また、国や地域を越えたキャリア機会を提供するため、国を越えた人事異動、すなわち「グローバルモビリティ」の強化にも取り組んでいます。

その一環として、 2025 年度には、 1 年を超える「ロングタームアサインメント (LTA)」と、 6 カ月から 1 年程度の「ショートタームアサインメント (STA)」を対象とした、グローバルで統一されたモビリティポリシーを策定しました。

今後は、雇用地そのものを変更する Local to Local の異動を促すパーマネントポリシーの策定にも取り組むほか、さらに将来的には、グローバルな社内公募制度の導入も進めていく考えです。

SAP SuccessFactorsを活用し、グローバルで人事基盤を統合する「Project HoRizon」

そして、これらの人事変革を支える重要な取り組みが、人事システムの統合です。現在、海外の人事システムには SAP SuccessFactors を利用しています。しかし、地域本部ごとに制度やプロセスが異なるため、人事システムも地域ごとに契約・運営されており、地域間の接続・連携もない状況でした。

この状況を解消し、人事システムを統合していく取り組みが「Project HoRizon」です。(図 4 参照)

(図 4)

Project HoRizon

プロジェクト完遂後には、グローバル共通のプラットフォーム上で従業員データを可視化し、統一されたスケールによる従業員評価やタレントプールの一元化が実現されます。

ビジネスと従業員双方の成長を目指し、引き続きグローバルな人事変革に挑む

SMBCグループが進めるグローバル人事改革は、制度やシステムを単純に統一することが目的ではありません。地域ごとの自律性を生かしながら、グループ全体で人材を捉え、国や地域を越えて人材を活用できる仕組みへと変えていくことが、その狙いです。

今後もSMBCグループは人事体制、プロセス、システムの統合によって業務の簡素化・効率化を進めるだけでなく、国や地域を越えたビジネス連携や、本社から海外事業を支えるガバナンス強化に取り組んでいく構えです。

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