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SAPジャパン Talent Attractionチームによる本企画では、SAPでの仕事内容や印象深いエピソードなどを幅広くお届けします。活躍する社内メンバーの話から、SAPで働く魅力をお伝えできればと考えています。

第2回のインタビュイーは、デザイン思考のコーチでありイノベーションのリーダーとして活躍されている尾崎太朗さん。2021年には、SAPのトランスフォーメーションオフィスの部長職に就任しました。この部署のミッションをお聞きします。

枠にとらわれずに、未来をドライブする新たなチーム

「トランスフォーメーションオフィス(TRO)では、新規事業やイノベーションを起こす仲間を作るためのコミュニティ作り、社会課題の解決や地方創生に繋がる活動、または子供たち向けのプログラミング教室など、幅広く活動しています。

このチーム自体が、SAPの未来をプロトタイプする部署だと考えていて、完成品を作り込んで提供するいわゆるSAPがこれまで得意としてきた仕事ではなく、課題を探して『一度にすべては解決できないけど、ここからやってみましょう』というスタンスで取り組みます。最終的にはSAPの既存事業に還元することももちろん大切にしていますが、『SAPと組むといままでと違った変化が会社や社会に起きるぞ』と思われるようなことをやりたいと思っています。

デザイン思考とは、人間中心思考で課題を発見し、解決に向けてドライブしていくためのプロセスとマインドセットのこと。2010年頃、SAPが製品ポートフォリオをガラっと変えた瞬間があって、その8年後には売上が倍になりました。そういうチャレンジをしていくためにはデザイン思考の手法とマインドセットは有効だし、それで実際にSAPは変化してきたんです。

いまは『SAP Japan 2023 Beyond』という2012年に策定した20カ年経営ビジョン『SAPジャパンビジョン2032』の実現に向けた3カ年の中期変革プログラムを策定し活動しています。根底にはデザイン思考を散りばめたワークショップをたくさん走らせていて、全社組織を横断する総勢100人を超えるプログラムになっています。」

尾崎太朗さん  SAPジャパン トランスフォーメーションオフィス(TRO)部長

 

ある意味で“真実”が描かれた世界地図

現在のポジションに異動する前、尾崎さんはデータアナリティクスの分野でSAPのコンサルタントとして15年間従事されてきたキャリアの持ち主です。大きくキャリアチェンジしたきっかけは何だったのでしょうか。

「2019年にRELAYというSAPが主催する次世代リーダープログラムの参加者として、シリコンバレーに行く機会があったのですが、行ってみたら『日本はこんなにも世界で気に留められていない存在なのだ』と思う衝撃的な原体験がありまして…。

オフィスの壁に、手描きで世界地図が描かれていたのですが、そこにはSAPのイノベーションの各拠点が示されてあったんです。でもよく見るとその地図には、なんと日本が無かった。完全に忘れられていたんです。もちろん、イノベーションの拠点としても認識されていない。ダブルショックでしたね。SAPから1人選ばれた者として、自信満々で日本からシリコンバレーにきたのに…。悔しかったです。

実際の写真。日本の姿は一体どこに…?

それから『この地図に日本が描かれるためには、一体どうしたら良いのか?』と考えるようになりました。そもそもデザイン思考は、ものづくり大国と呼ばれていた日本人が得意とする思考方法ですし、リーンスタートアップなどの方法論ももともとトヨタの生産方式をアメリカで体系的にまとめたものです。これを取り戻せたらきっと日本は復活するだろうと思いました。日本の大企業が元気になったら、あの地図にも自然と日本が描かれるようになるはず。RELAYプログラムを通して想いも高まり、最後にはRELAYの仲間と自分の手で日本を特大サイズにして描いて帰国したんですよ。このときの原体験があり、ここに賭けてみようという気持ちになりました。帰国後1年ほどして、TROの部長に立候補することを決めた大きな要因になりました。」

 

カタリストを育てて、デザイン思考を共通のマインドセットにする

世界から見た日本の姿を知れば知るほど「日本を変えるぞ」という気持ちが高まり、その想いを共感してくれる仲間作りに取り組んできた尾崎さん。社会へどのような影響力をもたらしたいと考えているのでしょうか。

「SAPがドラスティックに変化した2010年頃から、社外からは『SAPはすごくイノベーティブな会社』と思われるけれども、実際には自分を含め周囲の人は全然イノベーティブだと思えなかったんですよね。そこで『DIY(Design It Yourself)』という社内イノベーター育成プログラムとコミュニティづくりのボランティア活動をリーダーとして本格的に取り組むようになりました。

社長にも『日本で胸を張ってイノベーターと呼べる人を、100人作ります!』と宣言して予算を取ってもらい、社内の認知度を上げる活動をかなり意識してやってきました。ファシリテーターを育成し、社内外のインパクトがありそうな案件に参画してもらっています。例えば大阪府とSAPが包括提携していろんな企業の交流の場を創ったり、新しくできた部署のミッションやビジョンを一緒に考えたり、あるいはオフィスレイアウトをユーザー体験の視点から考えたり。ITソリューションと直接は関係のない場面にも多く呼ばれます。

このコミュニティはいま40-50人に育ってきていて、面白そうな案件があるといつでも人が手を挙げてくれるようになりました。皆、自分の仕事とは離れたところで、でもデザイン思考という面で共通で繋がれるので、とにかく楽しそうという理由で集まってくれています。この活動の卒業生たちが、カタリスト=”触媒”として、ジワジワと周囲に影響力を発揮する存在になってもらいたいと思っています。

デザイン思考のやり方やマインドが浸透すれば、建設的になれます。だれもが何をいっても否定されない、心理的安全性をいかに作っていくかがすごく重要で、それが寄与して変革が生まれるし、成長していく素地や土壌がある状態になると思うんですよね。そこに向かってトライしているんです。」

新しい時代のリーダーは、人の活躍を後押しする力が大切

自己研鑽、キャリアチェンジ、そして社会貢献。多方面で挑戦を続ける尾崎さんの今後の展望を聞かせてもらいます。

「TROはものすごく特殊な部で、コンサル・サポートチームのレジェンドみたいな人から営業部長クラスの方など凄い人たちが私の部内にたくさんいます。別に階層で統治する必要はなく、それぞれが活躍してもらえれば良い。これからはそういう社会になるのではないかと思っているんです。私が考える次世代型リーダーに大事なことは、『受け入れること』『変化に柔軟に対応できること』『チームをわくわくさせられること』。この3つを持って、人の力を最大限化しながらチームを前に進められる人が理想です。方法論としては、ロジカル思考とデザイン思考の両利き経営ができることが大切で、自分自身も次世代型のリーダーとして、そのロールモデルになりたいと思っています。」

SAPの変化の波に乗って、自分でキャリアを築いていく

「SAPは自分でキャリアを作るというマインドがあれば道を切り開きやすいし、機会も自分で創りやすいと思います。とくにここ数年はドイツのSAP本体が常に変化しようとチャレンジとしているので、その余波がグルっと世界を回って、しぶきがパサッと世界中に広まっているような感覚で、おかげで変化しようとする人が周りにたくさんいます。さらにその人たちが起こすアクションがいろいろな機会に繋がっているのだと感じます。

私のキャリアパスは若干特殊なので皆には当てはまらないかもしれませんが、迷っている人がいたら『尾崎にできるなら、自分にもできるかも』とか、そういう勇気を与える人になりたいです。自分の目の届くところは本当に狭いけれども、自分が仕掛けたものが誰かの機会につながったら、こんなに嬉しいことはないと思っています。」

日本に小さな変化の連続を着実にもたらしてくれている新時代のリーダー、尾崎さん。あのシリコンバレーの世界地図にいつか日本が1番目立って描かれる日が来るとしたら、きっと尾崎さんの力が貢献しているはず。そんな日を想像しながら、これからも応援しています。

尾崎さんの手によって描かれた、とびきり目立っている日本。

■SAPジャパンのキャリアサイトはこちらから:https://bit.ly/3NVHDsN

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