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SOCIAL INNOVATION CONNECT Vol.1 ―ソーシャルイノベーションの注目度の高まりー

※旧ブログサイトよりの転載ブログです。部分的にリンクが機能しない箇所があります。予めご了承くださいますようお願い致します。


 

ナショナルアジェンダ編集部の岡田です。2022年3月17日(木)にVenture’s Cafe Tokyoで「SOCIAL INNOVATION CONECT」が開催されました。今回はこちらのイベントの様子を全3回にわたってレポートします!

本イベントは、旧来の枠組みでは解決できない社会課題への解決に向けた動きを加速すべく、エコシステムの醸成への貢献を目的に、ソーシャルイノベーションに関わる方や興味のある方がカジュアルな環境で学び合い、繋がり、思いを共有する場所づくりを目指しました。現地、オンライン合わせて約300人の方々が参加し、企業内でソーシャルアントレプレナーシップに取り組む方によるセッションや、社会課題の解決を目指したピッチセッションなどが行われました。

コーポレートから起こすソーシャルイノベーション

登壇者:
・奈木野 豪秀氏(旭化成株式会社 デジタル共創本部 共創戦略推進部 部長)
・吉元 宣裕(SAPジャパン株式会社 SAP イノベーションフィールド福島 所長)
・藤田 勝利氏(Venture Café Tokyo 戦略ディレクター | 桃山学院大学 ビジネスデザイン学部 特任教授 | PROJECT INITIATIVE 株式会社 代表取締役)

Venture Café Tokyo の藤田さんがモデレーターを務め、SAPジャパン吉元さんと旭化成の奈木野さんから大企業が取り組むソーシャルイノベーションが社会に対してどのようなインパクトをもたらすことができるのかをお話いただきました。

それぞれの会社で取り組まれている事例をご紹介いただき、より多くのステークホルダーに対して目指している世界観に共感してもらい、一緒に進めていく姿勢が印象的でした。そして、社会ファーストで新しい取り組みを始め、その結果として新しいビジネスが生まれるという吉元さんのコメントがあり、最初から利益を上げることを目指す考え方を捨て、果敢にチャレンジする必要性を感じました。

ディスカッションでは、「ソーシャルイノベーションとは?」という投げかけに対して、吉元さんは組織や企業の壁を越えて企業間で新しい取り組むこと、奈木野さんからはどのような社会でありたいかをお客様やパートナー企業と一緒になって考えて、世界観を共有することで文化が変わるというメッセージをいただきました。

投資×ソーシャルイノベーション:インパクト投資の今 〜投資家はどの様に社会起業家とソーシャルイノベーションをサポート出来るのか〜

登壇者:
・中村 将人氏(GLIN Impact Capital 代表)
・加藤 有也氏(SIIF(一般財団法人社会変革推進財団)事業本部 インパクト・オフィサー)
・陶山 祐司氏(Zebras and Company 共同創業者 / 代表取締役、Tokyo Zebras Unite 共同創設者)

インパクト投資の最前線で実践している中村さん、加藤さん、陶山さんから社会価値と経済価値を両立する上で投資家がソーシャルイノベーターに対して行っているサポートなど、インパクト投資の現況についてお話いただきました。

社会構造によって生じる課題などに目を付けたスタートアップは日本の社会において世の中に良いことをしても儲からないという考え方が多くありましたが、現在では儲かるビジネスが出てきているため、社会価値と経済価値を両立させることができつつあるとおっしゃっていました。

ディスカッションにおいて、社会起業家が気を付けるポイントとして、自分たちがどこにいるのかを客観視することや、資金調達をすることが目的とせず何をしたいのかを考える必要があるというメッセージをいただきました。そして、投資家としてどのような社会変革をしたいかという問いに対して、加藤さんはインパクト投資という言葉がなくなることとおっしゃっており、インパクト投資が当たり前になることで世の中に大きな影響をもたらすことに繋がると思いました。

SDGs Pitch powered by Social Innovation Japan

登壇者:
・永濱 静佳氏(tonari株式会社/ 一般社団法人tonari)
・中島 千鶴(SAPジャパン株式会社)
・坪井 大輔氏(株式会社Sanu)
・千田遼太郎(SAPジャパン株式会社)
・中村 紘也氏(株式会社FLASPO)
・吉井 理比古氏(一般社団法人ヤングケアラー協会)

ソーシャルイノベーションをリードする社会起業家たちが1組ピッチ 4分+Q&A 3分という非常に限られた時間の中で、実現したい社会や社会課題を解決する手段をプレゼンし、参加者からフィードバックや質問をもらうというインタラクティブなセッションでした。現地では立ち見の人が出るほどの注目を集め、非常に盛り上がりました!

社会起業家たちの経験に基づいて社会課題を解決しようとしている姿勢に対して、参加者の共感を生みました。社会起業家たちは目の前にある課題を心から解決したいという思いから行動しており、企業で働いている方々に示唆を与える時間になりました。日常の業務の中で生まれた違和感から社会を変えるビジネスを始めるきっかけになると考え、興味や関心のアンテナを張っておくことが大切であると感じました。

女性起業家/投資家/フィランソロピストが起こす社会変革– Women Investing Womenは有効か –

登壇者:
・小柴 優子氏(一般財団法人 社会変革推進財団 事業本部インパクト・オフィサー)
・澤目 梢氏(フィッシュファミリー財団プログラムディレクター)
・安藤 真由美氏(エグゼクティブコーチ、コンサルタント、ジェンダー総合研究所共同代表、JWLI2018年フェロー)
・小木曽 麻里氏(SDGsインパクトジャパン 共同代表取締役)

日本では女性起業家の人数が男性起業家の半分であり、投資家やフィランソロピストにおいても同様の傾向がみられます。そこで、この問題意識からスタートし、小柴さんがモデレーターを務め、澤目さん、安藤さん、小木曽さんの視点から女性起業家・投資家・フィランソロピストの少なさのボトルネックと、この課題に取り組むことによってどのような社会を実現することができるのかをお話いただきました。

ジェンダーの固定化は女性だけではなく男性にも悪影響を及ぼし、日本企業は同質的な組織となっているために競争力が弱くなっているとおっしゃっていました。そのため、多様な考え方が社会から求められ、今までとは大きく違った視点を取り入れることによって、日本企業の競争力を再び高めることができるのではないかと思いました。突拍子もないアイデアからイノベーションが生まれることが多く、より想像力が必要とされる働き方にも変わるきっかけになると考えます。

ディスカッションでは、「Women Investing Womenは有効か」という問いに対して、男性には見えないが女性には見える部分があり、新しいお金の流れが生まれるとありました。この流れが女性起業家を増やすことにも繋がります。すべての人が生きやすい世界を進めるためにも、それぞれの人が自分の能力を発揮できる社会を作ることが求められていると感じました。誰もが輝く社会を目指してほしいと思います。

最後に

社会にとって良いことをしたいという思いを持っていましたが、具体的にどのようなことをすればいいのかがはっきりせず、行動までに結び付いていませんでした。しかし、日常の業務の中で感じた違和感を解決することによって、自分なりのソーシャルイノベーションを生み出すことができると感じました。

「三人寄れば文殊の知恵」と言われますが、よりよい社会を一人でも多くの方々の力で作っていきましょう。

ナショナルアジェンダ編集部 岡田