SAP Japan プレスルーム

SAP S/4HANA 2021 新機能 第2回:販売管理領域における進化

Low angle view of two concentrated female assistants in aprons working in small organic store. They standing together and fixing prices of new products, using tablet computer and notepad.

※旧ブログサイトよりの転載ブログです。部分的にリンクが機能しない箇所があります。予めご了承くださいますようお願い致します。


SAP S/4HANA 2021の新機能について複数回にわたってお届けしておりますが、第1回では生産・製造領域における拡張についてご紹介しました(SAP S/4HANA 2021 新機能 第1回ブログ)。第2回では販売管理領域における進化にフォーカスを当てて概略をご紹介していきます。

昨今、商品の売買においてのデジタル化は加速しており、顧客は欲しいモノがより早く確実に届くことを重視し、売り手側は顧客からの注文に対し商品を迅速かつ確実に届けることが求められています。しかし、営業現場では大量の受注伝票登録や在庫の引当調整を人がマニュアルで実施していることによって、そのマニュアル業務に時間を取られ、大量の受注伝票登録を処理することから人的ミスや納期遅れの発生が現状の問題として挙げられます。そのような状況を解決するために、SAP S/4HANAでは営業担当者が効率的に受注処理をできるように使いやすさを重視したUIの提供や受注登録の自動化・省略化を支援する機能を今回のリリースでさらに強化しており、その中で以下3点の機能を本ブログではピックアップし、ご紹介します。

1) 受注登録のための新しいSAP Fioriアプリによるユーザー・エクスペリエンスの向上

2) インテリジェントテクノロジーによる受注登録の自動化

3)代替ロケーションおよび代替品の引当 (SAP S/4HANA for Advanced ATP)

それでは1)から3)の機能についてもう少し触れていきます。

 

1) 受注登録のための新しいSAP Fioriアプリによるユーザー・エクスペリエンスの向上

SAP FioriはSAP S/4HANAの利便性を高めた新しいUIとして、エンドユーザーが直感的で使いやすい操作ができるように設計されています。そして今回のSAP S/4HANA 2021 リリースでは、新しく受注登録のSAP Fiori アプリがリリースされています。下記が実際の受注登録画面(図1、2)になりますが、従来の受注登録のトランザクション画面と比べシンプルなUIを提供しているので、受注を入力するときにどの項目に何を入力すればいいのかを把握しやすく、入力した値に応じてマスタ情報から初期値が他の項目に提案されるので受注登録を迅速に処理することが可能です。SAP Fioriの受注登録のデモンストレーションは既にYoutube動画(Sales Order in SAP Fiori)でもアップロードされていますので、ぜひご覧ください。

図1 SAP Fiori 受注登録画面(ヘッダタブ)

 

図2  SAP Fiori 受注登録画面(明細タブ)

また、下記図3のように受注伝票のヘッダ領域で営業担当者が把握しておきたい与信限度額の使用状況をリアルタイムに把握しながら受注登録を進めることが可能となりました。

図3 与信限度額チェック

 

2) インテリジェントテクノロジーによる受注登録の自動化 

1)についてはマニュアルで受注登録を実施するケースをご紹介しましたが、SAP S/4HANA 2021からはさらに自動で受注登録を行う方法が以下2点追加されております。

1.PDFなどの非構造化データからの受注の自動登録

2.Excelアップロードによる受注登録

上記の機能を使用する効果として受注データのマニュアル登録の削減による営業担当者の業務の省力化や人手によるミス防止に繋がり、従来伝票処理にかけていた時間を顧客と接する時間や販売戦略を練る時間に置き換えることが可能になります。

 

1.PDFなどの非構造化データからの受注の自動登録

SAP S/4HANAになってから業務シナリオの中にインテリジェントテクノロジーを組み込み、従来マニュアルで実施していた業務の自動化・省力化や機械学習による意思決定のサポートをするコンテンツが増えてきております。こちらの受注登録のケースにおいては下記図4のように、顧客からのメールに添付されたPDFの注文情報をIntelligent RPAが自動でSAP S/4HANAにアップロードし、その情報をさらに機械学習エンジンが解析し、受注データを自動生成することが可能になります。つまり、顧客からのPDFの注文情報をシステムに入力する部分は全て自動化することができ、営業担当者はその内容を確認し問題があれば修正し、問題がなければ受注登録するのみなので、従来と比べ業務が省力化されます。

注)日本語の注文書の解析は現時点で未対応です。

図4 非構造化データからの受注の自動登録 アーキテクチャ図

 

2.Excelアップロードによる受注登録

従来は受注登録を自動化するためにバッチインプットの利用、或いはアドオン対応が多かったと思われますが、今回のリリースによってExcelアップロードによる受注登録が標準機能で提供されます。事前定義済みのExcel テンプレートが準備されており、システムからテンプレートをダウンロードし、受注情報を入力することができます。その後Excelファイルをシステムにインポートすれば受注登録が可能ですが、受注登録をする前にインポートした受注情報もプレビューとして画面(図5)に表示されるので、誤りがないか再度確認し、入力ミスを防止できます。

図5 受注のインポート画面

 

3)代替ロケーションおよび代替品の引当 (SAP S/4HANA for Advanced ATP)

突発的な需要増に対し、SAP S/4HANA for Advanced ATPでは通常プラントでの引当・納期確認のみでなく他プラント含めた引当・納期確認を自動で行うことが可能となりました。商品や部品・消耗品販売において、既定の拠点倉庫で引当できない場合に、拠点倉庫⇒エリア倉庫⇒センター倉庫といったルール化された順序でタイムリーに在庫確認・引当を行えます。また、代替先のプラントだけでなく、代替先の保管場所や代替製品での引当も実現可能となりました。これらの活用により、販売機会ロスの低減および顧客希望納期の充足による顧客満足度の向上に寄与することができます。

代替先となるプラントや代替実行する条件、代替理由等はマスタで管理する為、柔軟に代替先を定義することが可能です(図6)。

またSAP S/4HANA 2021のリリースより、引当根拠の透明性を向上しました。供給枠や代替先・利用可能在庫など複合かつ複雑な条件下における引当について、何故その引当結果となったのか、担当者が経緯・根拠まで確認できるようになりました (図7)。

まとめ

ここまでSAP S/4HANA 2021の販売管理領域における進化にフォーカスを当てて新機能を取り上げてご紹介しました。SAP S/4HANAは今後も市場の変化に迅速に対応できるように最新のテクノロジーをコア機能に取り込み拡張し続け、お客様のビジネスをサポートします。イベントやSAP Blog等を通じて今後も継続的に情報発信していく予定ですので、引き続きよろしくお願いします。

モバイルバージョンを終了