コンプライアンスの過度な重視が
サステナビリティ実現のリスクとなっていることも示唆
SAPジャパン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木 洋史、以下 SAPジャパン)は、オックスフォード・エコノミクスとSAPによる最近の調査結果を発表しました。この調査からは、日本企業がサステナビリティから価値を得るために、まだ課題があることが明らかになりました。70%の企業が持続可能性と収益性を同時に実現することは難しいと考えており、現在、サステナビリティ戦略から大きな価値を得ていると回答した企業はわずか6%にとどまりました。
これは、多くの組織において、サステナビリティ戦略と実際の活動に乖離があるためと推察されます。日本企業の3分の1以上(68%)がサステナビリティに関する戦略を明確に発信している一方で、その戦略が成功裡に実現した場合にリーダーにインセンティブを与えているのはわずか21%、サステナビリティの取り組みに積極的に参加している従業員は半数以下(48%)にとどまっています。
SAP本社でカスタマーサクセス部門を統括するエグゼクティブボードメンバーであるスコット・ラッセルは、次のように述べています。「日本企業が利益と地球環境を同時に改善できると考えていることは、非常に心強い傾向です。しかし、戦略を超えて、実際に目に見える結果を出すためには、時間を無駄にはできません。3年後には、ほぼ3分の1の企業がサステナビリティ戦略から大きな価値を得られると期待しており、適切な分野に注力することによって、この数字はさらに高くなると考えています」
コンプライアンス遵守は、サステナビリティの重要な推進要因である一方、課題でもある
今日の日本では、サステナビリティ戦略はコンプライアンスによって大きく影響を受けています。調査回答者は、事業における持続可能性の主要な推進力は、コンプライアンスリスク(60%)であり、生産性(58%)および市場の評判(57%)であると述べています。サステナビリティから得られる主な利益として、二酸化炭素排出量の削減(57%)に次いで、コンプライアンス遵守(49%)が挙げられていることと一致しています。
サステナビリティからより大きな価値を得るためには、企業がその戦略を再構築する必要がありそうです。日本企業は、サステナビリティの成功に向けた課題として、コンプライアンスを重視しすぎていることを挙げており、事業戦略の再構築がなされていないことに次いで回答数が多いものでした。
サステナビリティの成果を向上させる鍵は、データへの投資
サステナビリティの成果を向上させるには、組織内のデータを効果的に活用し、より多くのデータに基づいた意思決定を行うことが重要であると考えられます。正確なデータは、日本企業において持続可能な調達に次いで、二酸化炭素削減目標の達成に役立つ最も重要な活動のひとつに位置づけられています。
しかし、78%の日本企業にとって、意思決定のためのデータの有効性が低いことは、中程度の課題であると考えられています。今回の調査では、組織全体の二酸化炭素排出量を計算している企業は5社に1社以下(18%)であることもわかりました。しかし、過半数(63%)はいくつかの分野でこのプロセスを開始しています。また、二酸化炭素排出量の算定を開始した企業のうち、70%は算定結果をもとにプロセスの変更を行っています。
自社のビジネスにおけるサステナビリティを測定するためのデータ分析に投資していると回答した日本企業の回答者の半数以下(45%)にとどまりました。さらに、サステナビリティデータの取得方法を従業員に教育していると答えた回答者は36%と少数でした。
サステナビリティリーダーシップの必要性
サステナビリティへの取り組みは急務です。環境への影響だけでなく、日本企業のわずか19%が、サステナビリティの目標が達成されないと顧客が競合他社に流れてしまうリスクを従業員が認識していないと回答しています。
サステナビリティから価値を得ている企業は、戦略レベルで明確な目標を設定し、テクノロジーとデータマネジメントの変革力を活用し、従業員、サプライチェーンパートナー、政府関係者などの重要なステークホルダーと連携しているなどの特徴を持っています。
オックスフォード・エコノミクスの編集ディレクターであるエドワード・コーン氏は、次のように述べています。「サステナビリティのリーダーは、ビジョンを示すだけでなく、サステナビリティの取り組みを確実に実行しています。彼らは、社内外の重要なステークホルダーとコミュニケーションをとり、統合されたテクノロジーを使って、説明責任を果たすためにパフォーマンスを測定・追跡しているのです」
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