(本リリースは、1月26日に弊社本社から発表された発表文の抄訳です)
SAP SE(NYSE:SAP)は、2022年12月31日に終了した第4四半期および通年の財務業績を発表しました。本資料は、SAP SEが発行しているSAP Quarterly Statement Q4 and Full-Year 2022の抄訳です。オリジナルの資料はリンク先を参照ください。
- 2022年度はすべての財務見通しの数字を達成
- 2022年度通年でのクラウド売上は33%増、固定通貨換算ベースでは24%増。第4四半期のSAP S/4HANA®のクラウド売上の伸びがさらに加速して101%増、固定通貨換算ベースでは90%増
- カレント・クラウド・バックログは120億ユーロを超えて27%増、固定通貨換算ベースでは24%増
- 2022年度通年でのクラウドの総利益はIFRSベースで38%増、Non-IFRSベースで37%増、固定通貨換算ベースでは28%増
- 2022年度通年での営業利益はIFRSベースで横ばい、Non-IFRSベースで2%減、固定通貨換算ベースでは7%減。第4四半期のIFRSベースの営業利益は17%増、Non-IFRSベースの営業利益は5%増、固定通貨換算ベースでは2%増
- 2023年度の見通しでは売上のさらなる増大と、Non-IFRSベースの営業利益の2桁増を予測
- 2023年度における対象を絞ったリストラクチャリングは、戦略的成長分野とクラウド変革の加速への注力を反映
- SAPは、自社が持つQualtricsの株式の売却を検討することを決定
SAP CEO、クリスチャン・クライン(Christian Klein)は、次のように述べています。「SAPの回復力はこれまで以上です。2022年度は好調なクラウド事業の勢いが継続し、第4四半期には営業利益が増加に転じたことで、重要な変曲点となりました。2023年度に向けて、このことは、売上のさらなる増大と、Non-IFRSベースの営業利益の2桁増という弊社の目標達成への大きな自信となります。私たちがSAPの新たなステージに進もうとしている中で、この取り組みに多大な貢献をしてくれているルカに感謝したいと思います」
SAP CFO、ルカ・ムチッチ(Luka Mucic)は次のように述べています。「これが私としては37回目で最後のSAPの業績発表となりますが、SAPチームが素晴らしい業績とクラウド事業の継続的な伸びを発表できたことを誇らしく思います。弊社は、2023年度についての売上増と利益に関する確約の実現に向けて順調に進んでいます。SAPがその歴史の中で最もエキサイティングな変革を今後も成功し続けることは疑いの余地がありません。この素晴らしいSAPファミリーの一員として27年間過ごすことができ、感謝の念に堪えません」
業績ハイライト
2022年度第4四半期
第4四半期のクラウド売上は30%増の33億9,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで22%増でした。SAP S/4HANAのクラウド売上の伸びはさらに加速して101%増の6億6,000万ユーロ、固定通貨換算ベースでは90%増でした。
ソフトウェアライセンス売上は38%減の9億1,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで39%減でした。クラウドおよびソフトウェア売上は4%増の72億9,000万ユーロ、固定通貨換算ベースでは横ばいでした。サービス売上は15%増の11億4,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで10%増でした。総売上は、6%増の84億4,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで1%増となりました。
第4四半期の予測性の高い売上比率は、6パーセンテージポイント増の76%に達しました。
クラウド総利益はIFRSベースで36%増、Non-IFRSベースで34%増、固定通貨換算のNon-IFRSベースでは27%増でした。クラウド売上総利益率は、IFRSベースで2.9パーセンテージポイント増の69.4%、Non-IFRSベースで2.3パーセンテージポイント増の71.3%、固定通貨換算のNon-IFRSベースでは2.7パーセンテージポイント増の71.6%でした。この増大はすべてのクラウドビジネスモデルで総利益率が拡大したことによるもので、効率性の向上が次世代クラウド・デリバリー・プログラムへの投資増を補う形となりました。
IFRSベースの営業利益は17%増の17億1,000万ユーロ、IFRSベースの営業利益率は1.9パーセンテージポイント増の20.2%でした。Non-IFRSベースの営業利益は、5%増(固定通貨換算ベースで2%増)の25億8,000万ユーロでした。Non-IFRSベースの営業利益率は、0.3パーセンテージポイント減の30.6%、固定通貨換算ベースでは0.3パーセンテージポイント増の31.2%でした。利益率の増大を支えたのは、第4四半期における規律ある支出管理でした。
また、IFRSベースの営業利益には、SAP Litmos事業の売却に関連した1億7,500万ユーロの売却益とNon-IFRSベースの営業利益1億900万ユーロが含まれています。
IFRSベースの1株当たり利益は、62%減の0.47ユーロ、Non-IFRSベースの1株当たり利益は46%減の1.00ユーロでした。1株当たり利益の前年比での減少は、Sapphire Venturesによる財務利益貢献度が、主に市況の影響で、前年同期より著しく低かったことを反映しています。実効税率は、IFRSベースで56.3%、Non-IFRSベースで37.0%でした。前年比での増加は、主にSapphire Venturesに関連する非課税所得の変動によるもので、これはIFRSベースでは控除対象外費用の変動により一部相殺されています。
2022年度通年
年度末時点のカレント・クラウド・バックログは、27%増、固定通貨換算ベースでは24%増の120億3,000万ユーロに拡大しました。カレント・クラウド・バックログの伸びは、Litmos事業の売却と、ロシアおよびベラルーシにおける事業縮小により、およそ1.5パーセンテージポイントのマイナスの影響を受けています。SAP S/4HANAのカレント・クラウド・バックログは、86%増の31億7,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで82%増でした。
12月31日時点で、クラウド・バックログの総額(将来の期間に見込まれる、契約で約束されたクラウド売上と定義)は、35%増の342億ユーロでした。
通年では、クラウド売上は33%増(固定通貨換算ベースでは24%増)の125億6,000万ユーロとなり、SaaSおよびPaaSのポートフォリオ全体での2桁の伸びがけん引役となりました。SAP S/4HANAのクラウド売上は、91%増の20億8,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで79%増となりました。
ソフトウェアライセンス売上は、37%減の20億6,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで39%減でした。ソフトウェアライセンス売上は減少したものの、クラウドおよびソフトウェアの売上は、10%増の265億2,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで4%増となりました。サービス売上は、16%増の43億5,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで9%増となりました。総売上は、11%増の308億7,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで5%増となりました。
2022年通年の予測性の高い売上の比率は、前年同期比4パーセンテージポイント増の79%に達しました。
クラウド総利益はIFRSベースで38%増、Non-IFRSベースで37%増、固定通貨換算のNon-IFRSベースでは28%増でした。クラウド売上総利益率は、IFRSベースで2.3パーセンテージポイント増の69.3%、Non-IFRSベースで1.8パーセンテージポイント増の71.3%、固定通貨換算のNon-IFRSベースでは2.1パーセンテージポイント増の71.6%でした。この2.1パーセンテージポイントの増大はすべてのクラウドビジネスモデルで総利益率が拡大したことによるもので、効率性の向上が次世代クラウド・デリバリー・プログラムへの投資増を補う形となりました。
IFRSベースの営業利益は横ばいの46億7,000万ユーロ、IFRSベースの営業利益率は1.6パーセンテージポイント減の15.1%でした。Non-IFRSベースの営業利益は2%減の80億3,000万ユーロ、固定通貨換算ベースでは7%減で、Non-IFRSベースの営業利益率は3.5パーセンテージポイント減の26.0%、固定通貨換算ベースでは3.2パーセンテージポイント減の26.4%でした。営業利益の実績は、ロシアとベラルーシにおける事業縮小と、ソフトウェアライセンス収入の減少、そして現在および将来の成長機会を捉えるための研究開発とセールス&マーケティングへの投資の加速による影響を受けました。
IFRSベースの1株当たり利益は、56%減の1.96ユーロ、Non-IFRSベースの1株当たり利益は39%減の4.08ユーロでした。1株当たり利益の前年比での減少は、Sapphire Venturesによる財務利益貢献度が、年間を通して市況の影響を受け、前年同期より著しく低かったことを反映しています。実効税率は、IFRSベースで44.6%、Non-IFRSベースで29.5%でした。前年比での増加は、主にSapphire Venturesに関連する非課税所得の変動によるものです。
通年のフリーキャッシュフローは、14%減で、修正見通しの約45億ユーロに近い、43億5,000万ユーロでした。これは主として、利益率の減少と、その他資産における運転資金のマイナスの影響によるものです。税金の支払いはプラスに推移した一方、株式報酬と資本支出およびリースからの多少のマイナスの影響がありました。また、売上債権の売却額が2022年度は前年の5億ユーロから8億ユーロに増加したことも、フリーキャッシュフローにプラスの影響を与えています。年度末時点の純負債は20億7,000万ユーロでした。
ウクライナ情勢の影響
2022年度、SAPのビジネスはウクライナ戦争と、SAPがロシアとベラルーシでの事業縮小を決定したことの影響を受けました。
第4四半期末のカレント・クラウド・バックログは、ロシアとベラルーシでの既存のクラウド契約を終了させたことにより約6,200万ユーロ減となり、固定通貨換算ベースのカレント・クラウド・バックログ成長率は約0.5パーセンテージポイント減となりました。通年でのIFRSベースの営業利益に対する影響は約4億1,000万ユーロ(第4四半期:7,000万ユーロ)で、Non-IFRSベースの営業利益に対する影響は約2億9,000万ユーロ(第4四半期:7,000万ユーロ)でした。これは、主に売上の減少と貸倒引当金によるものです。
この進展状況によるその他の影響は現時点では不明であり、状況が現在の範囲を超えてエスカレートした場合には、SAPのビジネスに重大な悪影響が及ぶことも考えられます。
2022年度の非財務パフォーマンス
2022年度の顧客ネット・プロモーター・スコア(NPS)は、前年同期比7ポイント減の3ポイントとなり、修正見通しの範囲の最低値となりました。
SAPの従業員エンゲージメントインデックスは、3パーセンテージポイント減の80%となり、引き続き高いレベルのエンゲージメントを反映しているものの、修正見通しの範囲の最低値でした。SAPの定着率は92.3%で、2021年度の92.8%とほぼ同じでした。女性管理職の比率は29.4%となり、前年比1.1パーセンテージポイントの増加でした。第4四半期には、全従業員に占める女性の割合が35%に達しました。
2022年度の二酸化炭素のネット排出量は引き続き減少し、前年同期比15キロトン減の95キロトンとなりました。これは修正後の見通しの範囲の最高値に相当します。
ビジネスハイライト
第4四半期に、エンド・ツー・エンドのビジネス変革を推進するために「RISE with SAP」をお選びいただいた世界各国のお客様には、Al-Futtaim Group、City of Vancouver、ExxonMobil、富士通株式会社、大和ハウス工業株式会社、German Football Association (DFB)、Imperial Brands、Kanton Aargau、Lockheed Martin、Merck KGaA、Munich Leukemia Laboratory(MLL)、Lenovo、Lumen Technologies、Natuzzi、PETRONAS、Port of Rotterdam、Renault Group、Swarovski、Warsteiner Brauerei、ZF Friedrichshafen AGなどがあります。また、Accenture、Canon Production Printing、Daimler Truck AG、Ducati Motor Holding、Mahindra Group、Walgreens Boots Alliance、およびZespriが、第4四半期にSAP S/4HANA® Cloudの本稼働を開始しました。
SAPのソリューションポートフォリオをお選びいただいた主なお客様としては、ArcelorMittal Europe、C6 Bank、Caixabank Tech、Euronews、Groupe SEB、Groupe TF1、Fressnapf、Haier、Hisense、Macquarie Banking and Financial Services、NBA、DOUGLAS、Qualcomm、Robert Bosch、SCOTT Sports、Soriana、Technical University of Munich、Transport for London、VINCI ENERGIESなどがあります。
当四半期におけるSAPのクラウド売上の実績は、すべての地域において非常に好調でした。ブラジル、ドイツおよび日本におけるクラウド売上の実績が顕著で、また中国、インド、オランダ、スイス、米国も特に好調でした。通年では、ドイツ、米国、および日本での業績が顕著で、またブラジル、チリ、中国、イタリア、サウジアラビア、韓国、そしてスイスも特に好調でした。
2022年11月15日、SAPは、SAP® Buildの提供を開始しました。これは、ビジネスユーザーがSAP® BTPとSAPのビジネスアプリケーションデータを使ってアプリケーションを構築し、システムの統合、プロセスのインテリジェントな監視、分析および自動化を可能にするものです。これらはすべて外部のシステムにデータを移行することなく行うことができます。また、SAPは、新たな世代の開発者を支援するため、Courseraとの提携も発表しました。
12月1日、SAPは、Francisco PartnersがSAPのLitmos事業の買収を完了したことを発表しました。
12月5日、SAPとPwCは、組織がそのESGおよびネットゼロの目標を達成できるよう、サステナビリティを標準的な経営の不可欠な要素とするための新たな共同イノベーション戦略を発表しました。
第4四半期において、SAPは次のような栄誉を勝ち取りました。
- 2022 Gartner® Magic Quadrant™ for Configure, Price, and Quote Application Suitesでリーダーに認定
- Forrester Wave™: Digital Operations Platforms for Manufacturing & Distribution in Q3 2022でリーダーに認定
- IDC MarketScape: Worldwide Holistic Supply Chain Planning 2022 Vendor Assessmentでリーダーに認定
2023年1月1日付で、SAPは、S&P Global Corporate Sustainability Assessmentにおけるソフトウェア業界での業界リーダーの地位を、16年連続で維持しています。
1月18日、SAPは、世界で最もサステナブルな100社の1つに認定され、再度Corporate Knights Global 100の仲間入りを果たしました。
1月25日、BMW Groupは、SAP S/4HANAおよび自社の戦略的なクラウドトランスフォーメーションを推進するため、 SAPのクラウドソリューションとともにRISE with SAPを採用しました。さらに、Platinum Partnershipを通じて、BMWとSAPは、自動車業界全体と、関連するデジタルのエンド・ツー・エンド・プロセスに対する共同のアプローチを推進しています。
セグメント別業績概要
SAPの報告対象の2セグメントの業績は以下のとおりです。
Applications, Technology & Services
第4四半期におけるAT&Sセグメントの売上は、主にSAP S/4HANAおよびSAP® Business Technology Platformに支えられたクラウド売上の力強い成長により、前年比4%増77億4,000万ユーロ、固定通貨換算ベースでは1%減となりました。ソフトウェアライセンス売上は、「RISE with SAP」オファリングを採用する顧客の増加によるクラウドへの移行を受けて、減少しました。セグメントのサポート売上は、前年比2%増の29億9,000万ユーロ、固定通貨換算ベースでは1%減でした。
Qualtrics
第4四半期のQualtricsセグメントの売上は、前年比37%増の3億8,900万ユーロ、固定通貨換算ベースでは22%増でした。大幅な伸びが続いていることの要因は、堅調な更新率と契約数の拡大です。
2023年度の見通し
財務見通し
2023年度について、SAPは次のように予想しています。
- クラウド売上は、固定通貨換算ベースで153億~157億ユーロ(2022年度=125億6,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで22%~25%増となる見込みです。
- クラウドおよびソフトウェアの売上は、固定通貨換算ベースで282億~287億ユーロ(2022年度=265億2,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで6%~8%増となる見込みです。
- 営業利益は、Non-IFRSの固定通貨換算ベースで88~91億ユーロ(2022年度=80億3,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで10%~13%減となる見込みです。
- 予測可能性の高い売上の比率(総売上に対するクラウド売上とソフトウェアサポート売上の合計の比率と定義)が約83%(2022年度=79%)に達する見込みです。
- フリーキャッシュフローは、約50億ユーロ(2022年度=43億5,000万ユーロ)となる見込みです。
- 2023年通期の実効税率はIFRSベースで0%~32.0%(2022年:44.6%)、Non-IFRSベースで26.0%~28.0%(2022年:29.5%)と予想していますが、Sapphire Venturesの投資の推移に強く依存します。
SAPの2023年度通年の見通しは固定通貨換算ベースですが、実通貨ベースで報告される数値については、為替レートの変動による影響を今後も年間を通して受ける見込みです。
財務以外の見通し
SAPは、「お客様のロイヤリティ」、「従業員のエンゲージメント」および「二酸化炭素排出量」の3つの非財務指標に注力しています。2023年度について、SAPは次のように予想しています。
- 顧客ネット・プロモーター・スコアで8~12
- 従業員エンゲージメント指数で76%~80%
- 二酸化炭素のネット排出量で0キロトン、すなわち自社の事業においてカーボンニュートラルを実現
2025年度目標
引き続き、2025年度までに次の目標を達成することを目指します。
- クラウド売上:220億ユーロ以上
- 総売上:360億ユーロ以上
- Non-IFRSベースの営業利益:115億ユーロ以上
- Non-IFRSベースのクラウド売上総利益率:約80%
- 予測可能性の高い売上の比率を約85%にまで大幅に拡大
- フリーキャッシュフロー:約80億ユーロ
SAPは、2023年度の上半期に中期的な目標を更新すると予想しています。
2025年度の財務以外の業績について、SAPは引き続き以下を目標としています。
- 従業員エンゲージメント指数を84%~86%に
- 顧客ネット・プロモーター・スコアを2025年度まで継続的に向上
- 自社の事業において二酸化炭素のネット排出量で0キロトンを維持。さらに、SAPは、2030年までに自社のバリューチェーンにおいてネットゼロを達成することも確約しています
戦略的成長分野および加速するクラウド変革へのさらなる注力
2023年度に、SAPは自社の一部の部門において対象を絞ったリストラクチャリングプログラムを実施します。その目的は、当社のオペレーティングモデルおよび市場参入アプローチを、当社の加速するクラウド変革に合わせることで、戦略的成長分野へのさらなる注力を行うことです。さらに、SAPはそのコアビジネスを強化して全体的なプロセス効率の向上を図るつもりです。このプログラムでは、SAPの従業員の約2.5%に影響が及ぶと想定されます。プログラムに関連する2億5,000万~3億ユーロのリストラクチャリング費用の大半が2023年度の第1四半期に計上される予定で、IFRSベースの営業利益に影響が出ることが予想されます。このプログラムにより、2023年度にはコスト面で多少のメリットが生じ、2024年度には年間で3億~3億5,000万ユーロのコスト削減が予想され、IFRSベース、Non-IFRSベースともに営業利益に影響するため、戦略的成長分野への投資の拡大に役立ちます。予想されるコスト削減および再投資の詳細は、2023年度に関するSAPの財務見通しと2025年度目標を参照してください。
SAP、Qualtricsの株式の売却を検討
自社のポートフォリオを合理化するというSAPの戦略的イニシアチブの一環として、SAPは、自社が持つQualtricsの株式の売却を検討することを決定しました。
これは、2021年にQualtricsのIPOを行った際に設定した戦略の延長線上にあるものです。SAPは、この予定される売却は両社と両社それぞれの株主にとっての多大な価値の解放につながると考えています。つまり、SAPにとっては、その中核となるクラウド事業の成長により注力でき、Qualtricsにとっては、自らが開拓したXMのカテゴリーでのリーダーシップを伸長できます。
SAPによる買収以降、Qualtricsは売上を3.5倍の15億ドルに増やす一方、利益を確保するとともに、そのオファリングと企業顧客による採用を拡大してきました。売却が成功した暁には、SAPは市場参入とテクノロジー面でのパートナーであり続け、共同顧客にサービスを提供するとともに、同社の成長およびカテゴリーでのリーダーシップに貢献する意向です。
売却する場合の最終決定、その条件および時期は、市況、受諾可能な条件、規制当局の承認、およびSAP SE監査役会の承認次第となります。SAPは、Qualtricsの株式の売却を検討するにあたっての支援を受けるため、Morgan Stanley社を財務顧問として雇っています。
以上
SAPについて
SAPの戦略は、あらゆる企業がインテリジェントエンタープライズになるよう支援することです。SAPは、エンタープライズ・アプリケーション・ソフトウェア市場のリーダーとして、あらゆる業種・規模の企業の成功を支えており、世界中の商取引売上の87%は、SAPのお客様によって生み出されています。SAPのマシンラーニング、IoT、高度なアナリティクスの技術は、すべての企業のビジネスをインテリジェントエンタープライズに変革することを支援しています。さらにSAPは、人々や組織が的確なビジネス判断を行うための洞察力を深めるサポートをし、高い競争優位性を実現するための協業を促進しています。よりシンプルになったSAPの技術により、企業はボトルネックにわずらわされずに目的に沿ってソフトウェアを最大限に活用できるようになります。SAPのエンド・ツー・エンドのアプリケーションスイートとサービスは、世界25業種における企業および公共事業のお客様が利用し、ビジネスにおいて利益を上げ、絶え間ない変化に適応し、市場における差別化を実現するサポートをしています。お客様、パートナー、社員、ソートリーダーなどのグローバルネットワークを通して、SAPは世界をより良くし人々の生活を向上させることに貢献しています。( www.sap.com/japan )