2022年11月に行われた調達購買ソリューション カンファレンス「SAP Spend Connect Forum」では、「SAP Ariba」や「SAP Fieldglass」を活用し、調達・購買の変革を推し進める国内企業のキーパーソンが登場し、それぞれの取り組みについて明かしてくれました。その要点を報告します。
2回目は日東電工(以下Nitto) 様の取り組みです。
「SAP Ariba」ソリューションによる支出分析を軸にサステナブル調達の実現に取り組むNitto
SAP Spend Connect Forumでは、SAP Aribaを使った間接材調達・購買のプロセス革新に2017年から取り組むNittoによる事例講演も展開されました。
Nittoでは、SAP Aribaを導入して以降、サービスからオフィス用品に至るまで、すべての間接材調達・購買をSAP Aribaを通じて行っています。SAP Aribaを使用する同社の拠点は世界37拠点に上り、サプライヤーの登録社数は約1万社に達しています。
上原氏によれば、NittoではSAP Aribaの活用を通じて、調達プロセスの可視化やKPIの共通化、オンライン監査の実現といったことはかなりのレベルまで実現できているといいます。その中で、今後において目指すべきこと(=当面の目標)として、以下の3点が浮上してきたと同氏は指摘します。
目標①バイヤー業務をより効率的、かつ戦略的にする
目標②(間接材の)要求元の管理を強化する
目標③サプライヤーの管理を徹底する
これら3つの目標の達成は、調達のサステナビリティを高めることにつながります。そこで上原氏は、サステナビリティ調達の実現に向けた課題として、上記3つの目標の達成を阻む要因を洗い出していきました。その結果、3つの目標について、それぞれ以下のような課題があるこが判明したと、上原氏は説明します。
- 「バイヤー業務の効率化」を巡る課題:サプライヤーに関する情報に乏しく、そのリスク分析などに相当の時間を要している
- 「要求元の管理」を巡る課題:サプライヤーの選定理由や調達業務ルールに対するビジネス現場(間接材の要求元)の理解が不十分である
- 「サプライヤーの管理」を巡る課題:QCD以外にサプライヤーを評価するための全社共通の指標がなく、かつ、Nittoに対するサプライヤーの理解も不十分である
上原氏によれば、これらの課題を生んでいる根本原因は「サプライヤーリレーションマネジメント(サプライヤー関係管理:SRM)」がしっかりと行われていない点にあったといいます。そこでNittoでは、SRMの強化に向けて「サプライヤー情報の集約」「調達ルールの明確化・共有化」「サプライヤーに対する調達方針の周知・共有化」「サプライヤー選定基準の可視化」といった施策に力を注ぐことにしたと、上原氏は説明を加えます。
SRMの強化に向けて「SAP Ariba」の新たな活用構想を描く
上述したようなSRM強化の方針のもと、Nittoでは図1に示すようなSAP Ariba活用の構想を策定し、実現に取り組んでいます。
この構想は、間接材のサプライヤーか直接材のサプライヤーかによらず、Nittoと取引のある全サプライヤーの情報をSAP Aribaに集約して一元管理し、そのうえで、SAP Aribaの「Spend Analysis」ソリューションによって支出を分析。その分析結果を「要求元管理」や「戦略ソーシング」「サプライヤーリスクマネジメント」「サプライヤーライフサイクルパフォーマンス(サプライヤー情報管理)」などに活かしていくというものです。
図1にある各項目においてNittoが進めている「取り組み」と「期待する効果」は表1に示すとおりです。
表1:SRM強化に向けたNittoによるSAP Ariba活用の新たな取り組み
項目 |
取り組みの概要 |
期待する効果 |
取引先情報一元管理 |
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Spend Analysis |
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要求元管理/戦略ソーシング |
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サプライヤーリスク管理(Supplier Risk Management) |
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サプライヤー情報管理(Supplier Lifecycle Performance) |
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この取り組みに関して、上原氏は次のような期待感を示し、話をまとめます。
「サステナブル調達を実現するうえでは、調達業務の環境を、外部環境のどのような変化にも素早く順応できるように整備することが重要で、それにはSRMの強化が不可欠といえます。当社におけるSRM強化の施策はまだ構想段階にありますが、SAP Aribaソリューションを有効に活用し、その早期実現を目指していく考えです」
Nittoの事例にご興味を持たれた方はこちらから詳細の事例ストーリーをご覧ください。
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