SAPジャパン Talent Attractionチームによる本企画では、SAPでの仕事内容や印象深いエピソードなどを幅広くお届けします。活躍する社内メンバーの話から、SAPで働く魅力をお伝えできればと考えています。
第16回のインタビュイーは、ビジネスプロセスコンサルタントを務める井上丈裕さん。お仕事内容や技術者としての想い、SAPのカルチャーについてお聞きします。
クラウド上でシステム開発を。”BTP”で実現できること
「私はSAP Business Technology Platform(BTP)に関してお客様への技術支援を行っています。BTPとは、SAPのERP、SAP Concur、SAP SuccessFactors などのサービスを活用されるお客様のための、アプリケーション開発やデータ分析、インテグレーション、AIといった複数の機能を提供するパブリックプラットフォームのことです。
お客様には、『うちにはこういう業務があるから、追加でこんな機能が欲しい』という固有の要件がたくさんあります。ですが、SAPの核となる製品自体をカスタマイズして作り込んでしまうと、複雑化しすぎて脆いシステムになってしまいます。それをBTP上で開発をすると、SAP製品自体には触らずに、お客様が実現したいことを叶えることができるのです」
「私自身は、システム部門の方に開発の支援をします。『システムが変な挙動をするので、調査してほしい』と言われ対応したり、開発者にレクチャーをしたり。ときには『こういう取組みをしたいので、試しにSAP側で作ってみてくれない?』という要望に応じて開発自体をすることもあります」
高い技術力が求められそうなお仕事です。この職種の難しさは何でしょうか。
“Keep The Core Clean”
「SAPを導入しても、お客様の固有の要件がSAPの提供するサービスと合致しないときにどう折り合いをつけるかを考えるのは、日本のお客様窓口として大変なところです。
SAPのサービスを開発しているのは海外のチームなので、もちろん『自分が作ります』とは言えないし、海外チームに問合わせても追加機能を作ってくれるかはわからない。いかにSAPの思想とお客様の要件をすり合わせるのかは、腕の見せ所ですね。
重要なのは、『システムとしてどうあるべきか』ということをお客様へきちんと伝えることだと考えています。
お客様の要望の中には、ユーザー部門からの『これはできないの?』という強い声があり、それを社内のシステム開部門の方が、『これ、実現出来ますかね?』とこちら側へ相談されることがあります。
中には、SAPの設計思想から外れてしまい、長い目では保守性が損なわれてしまうケースも…。なので、その場合は『SAPの設計思想とは沿わなくなります』と伝え、調査した上で『代わりにこのやり方なら、問題無く出来ます』と提案をします。
その提案をするために、自分自身がシステムの『あるべき姿』をきちんと押さえておくことが非常に大切です。
理想は、BTPを活用し設計思想に沿った開発をすること=”Keep the core clean”。『コアとなるシステムをクリーンに保ったまま、クラウド上で保守性の高い開発をしましょう』ということを伝えるようにしています」
「腐らないシステム」のため、本当に価値ある判断基準を持つことが大切
「例えば、『検索結果を5,000件画面に出したい』という要望があったとしても、実際一度に5,000件なんて誰も見られないわけで。そういうケースは『あるべき姿』を起点にして要望に応えるかを判断すべきです。
全ての要件をシステムで叶えようとすると、システムの首が絞まってしまいます。長い目を見て、保守性やメンテナンスのしやすさを考えないといけません。
システムって、食品みたいにどんどん腐るんですよ。例えばよくニュースになるシステムトラブルのように、大勢の開発者が関わる大規模なケースでは、過去にどこで誰が何を開発していたのかがわからなくなって、『もう、訳がわからない!』という状態が起こりがちです。
『あるべき姿』に則ったシステムというのは、嬉しい点がたくさんあります。そもそも開発のボリューム自体も少なくて済むのでスマートになります。各システム同士を疎結合にしておけば、ひとつの変更点が他の場所へあまり影響しないように開発ができます。
SAP開発における『あるべき姿』をお客様が理解するためには、まずは保守性を意識しつつSAPのツールを使い倒してもらうことが一番のガイドラインになると思います」
システム開発における大事な考え方を教えていただきました。このお仕事の魅力は何でしょうか。
SAPの最新サービスに誰よりも先に触れられる魅力
「日本の中ではSAPの最新サービスにおける第一人者になれるのが面白いところです。例えば最近、新サービスとしてカーボンフットプリント(CO2排出量)を一目でわかるような製品の情報が海外からおりてきました。それを日本のお客様に勧める前に、技術チームとして検証をしたんです。
データを集約して解析し、画面上に『カーボンフットプリント(CO2排出量)は●●です』と計算してくれるものなのですが、そのデータを集約するための設定を日本で最初に検証しました。
私たちが実施して、お客様対面のSAPメンバーに『使えるようになりましたよ!』と伝え、そのメンバーが『良い製品ですね。じゃあこういう風に提案していきましょう!』と繋がっていきます。
実際にはすごく技術的な仕事でしたが、最終的にSDGsに繋がると実感できて嬉しかったですね」
ビジネスプロセスコンサルタントとして求められることは何でしょうか。
「伝える力」、「学びへの貪欲さ」
「一つは、難しいシステムの話を伝わりやすく説明するコミュニケーション能力です。システムに詳しくないお客様へ説明する機会が多々あるので。
もう一つは、最新のシステムについて勉強する高いモチベーションですかね。私も転職前は全然SAPのことを知りませんでしたが、入社してから、『SAPならでは』のこと、クラウドサービスの一般知識など、日々勉強すべきことがたくさんありました。なので、すでに何か高いスキル持っていることも大事ですが、学習への高い意欲がある人が向いていると思います」
SAPに転職したきっかけや入社してからの率直な感想をお聞かせください。
自分が痛感したシステムの脆さ。解決の糸口がSAPにあった
「前職では、保険会社の基幹システムのメンテナンスをしていたのですが、まさにシステムをどんどん改修していて複雑化してしまい、すごく大変だった記憶があります。『このままではまずい…。解決策はないのか』と思いながら働いていました。
そこでクラウド製品を扱う外資系IT企業に目を向けているうちに、SAPに出会ったことがきっかけです。
SAPは、企業の基幹となるシステムのベンダーですよね。経費精算や購買管理、在庫管理など。基幹システムを担いつつ、クラウドへの推進に力を入れているなんて素晴らしいと思い、転職しました。
そして、いま扱っているこの拡張開発サービスは、まさに『基幹システムの開発をクラウドへ』という思想のサービスであり、この部署はそれをお客様へ活用してもらうことがミッションです。今まで自分が痛感していた課題を解決するための技術支援が出来ているのですごく嬉しいです。転職して良かったと思います。
新しいシステムに携わることになって、新しいことにたくさん出会えています」
多彩なメンバーと助け合いのカルチャー
「転職したら自分が最年少だと思っていたけど、全然違いました。新卒も、若手で活躍する人もいるし、もちろん経年が長くてSAPにものすごく詳しい方もいて。世代を問わずフェアで、フラットな関係です。
とくに『助け合う文化』が凄く浸透していて、働きやすいなと思います。一人の知識だけで全てをカバーすることは出来ないということは皆が分かっているので、自分の専門ではないところは詳しい人に聞く。『教えてください』と言えば、『そこは僕に任せて!』と支えてくれます。それぞれが得意な領域があってみんな専門性があるから、助け合う文化が浸透しているのだと思います」
「クリーンな開発」を追求し、これからは多くの開発者を救いたい
「SAPに入って、視野が広がり、世の中のシステムに対する課題意識が高くなったと思います。
前職では1社だけのお客様を担当していましたが、いまはいろんなお客様と出会い、毎回『こういう会社はこんな課題意識を持ってるんだ』と発見があり、その延長で『世の中にはこういう課題があるんだ』と考えられるようになりました。
SAPって、広いんです。本当にたくさんの会社の基幹業務を支えている会社です。
このコンサルタントのポジションであれば、技術が好きで、お客様のシステムを『何とかしてあげたい』という想いを持っている人であれば、すごくやりがいがあって楽しいと思います。
私自身は、自分が前職でシステム開発の大変さを痛感してきたので、エンジニアにはもっと楽して欲しいなと思っています。業務ユーザーだけではなく、開発者にも幸せになって欲しい。
そのために、今の仕事を一生懸命やりますし、もっとBTPを使って欲しい。長い目を見て『クリーンなシステム開発』を実現するにはどうするべきなのか。このことをもっと自分の中で理解を深めていきたいです」
SAPの大事な開発思想と、技術者としての井上さんの想いが伝わってきました。今後もたくさんのお客様を”Keep the core clean”の思想で救ってくれることを期待しています。
■SAPジャパンのキャリアサイトはこちらから:SAP Careers
■Life@SAP Japan vol.15:どんな難題も乗り越えた先に本物の悦びがある。技術屋がプロ目線で見たSAPの姿とは
■Life@SAP Japanの記事一覧は、こちらから:Life@SAP Japan特集
■バックナンバーはこちら