SAP Japan プレスルーム

調達購買エキスパートのリスキリングで戦略人材の育成を

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DXの真の成果は戦略人材へのシフト

SAPが提供する電子調達システムSAP AribaはDXプロジェクトの一環として多くの企業に採用されています。その目的は古くなったアプリケーションの刷新や企業合併で重複した業務アプリケーションの整理・統合、そしてそれだけに留まらず、調達業務の生産性向上、コンプライアンス向上、調達コスト低減などに踏み込んでいます。その結果、今まで煩雑なマニュアル業務に携わっていた調達エキスパート人材をもっと戦略的な分野にシフトする動きが出てきました。

いま世の中で言われているリスキリングは、DX戦略を推進するIT人材の増強という狭義の議論がある一方、もっと広義に捉えて戦略人材の増強まで見据える企業が出てきました。しかし、日本ではまだ新しいスキルを獲得するための動機や支援が足りていないと言われています。

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では、調達購買の分野で戦略的なスキルとはどのようなことを指すのでしょうか?多くの企業で足りていないのは、戦略的ソーシング(今後の購買を最適化するための戦略的なサプライヤー選定)を含むカテゴリーマネージメントの分野が挙げられます。

戦略的ソーシングこそがバイヤーの交渉力を高める

以前にこのブログでも紹介したように、多くの企業が行っている発注都度の相見積もりは戦略的ソーシングの対局をなすものです。購入する側からすると手続きが煩雑で時間と手間がかかりますし、サプライヤーにとっては、1回限りの発注では価格交渉に応じる魅力がないため、値引きの余地がほとんどありません。相見積もりで得られる効果は、「妥当な価格帯で購入するために、世間の相場を知るために行う」というくらいです。価格低減を期待しても手間がかかる割にはあまり効果がありません。

一方で、戦略的ソーシングは、担当する特定商材カテゴリーのマーケット情報や商材情報を身につけた調達のプロであるカテゴリーマネージャーが全社規模で今後の予測発注量をベースに価格交渉を行い、ベストなサプライヤーとプライスを決める方法です。

事業部が同じモノやサービスをバラバラに発注していたものを戦略的に1社か2社のサプライヤーに集約することでバイヤー側の交渉力が高まります。ソーシングの結果、今までより10%低い単価で契約が締結できたとすると、今後の発注は相見積もりなどせずに、選定されたサプライヤーから10%下がった価格で購入できるようになります。つまり、発注するたびに10%のコスト削減が蓄積されていきます。また、発注時にかかっていた相見積もりの手間が省けるため、ユーザー体験も向上します。選定されたサプライヤーは、バイヤー企業を今までよりもずっと大切なお客様として接してくるでしょう。

調達購買エキスパートのリスキリングの必要性

従来、調達購買組織でのキャリアパスは限定的だと言われていましたが、戦略的ソーシングの導入によりカテゴリーマネージャーというキャリアパスが見えてきます。もちろん一朝一夕に調達エキスパートを育成することは困難です。SAP Aribaを採用しているお客様の先進事例を伺うと、時間をかけて人材を育成しました、経験者を社外から中途採用しました、などの対策を取っていることがわかります。

お客様同士の戦略的ソーシング勉強会

SAPはERPやクラウドアプリケーションのソフトウェアベンダーという印象が強いと思いますが、現在はクラウドソリューションを活用するお客様のビジネスの成功を支援するカスタマー・サクセスというビジネスモデルにシフトしており、お客様同士を繋いだコミュニティー造りにも力を入れています。

SAP Aribaもお客様からソーシングを戦略的に行っている先進顧客の事例を聴きたいという声を受けて、お客様同士が勉強会を通じて戦略的ソーシングを学ぶというイベントを実施しました。今回は参加者同士による質疑応答や討論が中心になるため人数を絞り、参加いただいたのは6名、SAPジャパンからも前職で実際に戦略的ソーシングを行っていた4名の社員が加わり総勢10名の勉強会となりました。

初回だけはSAPからSAP Aribaが考える戦略的ソーシングのフレームワークについての講義を行い、以降は各社が以下の項目を含んだソーシングプランを立案し発表をして、それに対する参加者からのフィードバックを受けて更に改善するという活動を4か月かけて行いました。

優れた戦略が最大の効果を生み出します

 

参加者の気付き

各参加者は多忙にもかかわらず、全てのセッションに全員出席で活発な活動と議論をすることができました。以下は討議の中で出てきた各参加者による気付きやフィードバックの一部です。どれも的を射た内容で、しかも実践を通じて体験したものなので今後に活かせる気付きばかりでした。

ソーシング活動は、調達単独で行わず関連する事業部を最初から参加させること

支出データの精度の問題

目的が明確でないと支出分析の方向性がブレる

事前に仕様を明確化する

価格交渉に時間を掛けない工夫

まとめ

参加企業へのアンケート調査では、全員が「重要な気付きがあった」「今後の業務の改善に役立つ」という回答でした。また、全員が他社の事例や参加者からのフィードバックが参考になった、アドバンスコースで更に続けてほしいというコメントを寄せています。

調達購買のリスキリングとソーシングの高度化は各社大きな期待を寄せているものの、まだまだ伸びしろがあるという姿が見えてきました。企業はカテゴリーマネージメントという新しい職種を調達エキスパートのキャリアパスとして戦略人材を増強することでDXの真の成果を出すことができるのではないでしょうか?

SAPではユーザーコミュニティー造りを活発に行っています。今回のユーザー企業同士の事例紹介は思わぬ化学変化を起こし、新しい視点に気づかせてくれました。好評につき、また形を変えてできる限り多くこのような機会を創出したいと考えております。

ご意見ご感想は貴社を担当するカスタマー・サクセス・パートナーもしくは下のお問い合わせ先にご連絡ください。

 
 

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