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2023年版 世界の人事トレンド

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SAP SuccessFactorsの組織には、組織心理学者や HR テクノロジーのエキスパートから構成されるGrowth and Insightsチームを擁しています。このチームは定期的に世界の人事のトレンドを分析し、「メタトレンド」レポートを発表しています。
2023年の分析では、評判の高い73の報道資料から346のトレンド項目を導き出し、それらの内容を分析して7つのメタトレンドを導き出しました。
本稿ではそのレポートが明らかにした、2023年におけるグローバルの人事トレンドをご紹介させていただきます。

本レポート全編はこちらから確認いただけます。

はじめに – 従業員エクスペリエンス(EX)はトレンドから人事戦略の基礎になった

メタトレンド分析を行う中で、従業員エクスペリエンス(Employee Experience:EX)が毎年上位テーマとして浮上します。2023年も例外ではなく、EXは引き続き重要なトピックとして抽出されました。
しかし、EXは今や単体のトレンドとしてではなく、人事戦略の基礎をなすものであると捉えるべきだという結論に達しました。我々は従業員エクスペリエンスがすべてのメタトレンドに作用する要素だと考えています。
組織のミッションを中心とした雇用者ブランドの構築、成長機会の提供、従業員のニーズに合った職場環境の構築、環境、経済、人に関するサスティナビリティなど、2023年のトレンドはすべて、意味とパーパスを従業員エクスペリエンス(EX)に組み込むべきであることを示しています。

23年のグローバル人事メタトレンド7項目

SAP SuccessFactorsのGrowth and Insightsチームがまとめた今年のメタトレンドは以下の7つです。

  1. スキル獲得競争
  2. 将来を見据えたリスキリング
  3. 狙いを定めた最新技術の採用
  4. 柔軟な仕事、柔軟な働き方
  5. 包括的なウェルビーイングの定着
  6. ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン & ビロンギング(DEI&B)の複雑さの受け入れ
  7. 今日と明日を担うリーダーの育成

メタトレンドの詳細は本レポートをご確認いただければと思いますが、ここではその一部をご紹介させていただきます。

1 スキル獲得競争

世界経済の不確実性や、2023年前半にはいくつかの業種でリストラもみられましたが、引き続き多くの国で求職者優勢の雇用市場が続くと予想しています。また、各国の生活費の高騰は報酬の上昇圧力となりますが、人事は人材開発機会の提供など金銭以外の従業員ベネフィットを検討する必要があります。
激しくなる人材獲得競争の中、企業はスキルを軸として、別の職種の人材も採用候補者にすることなどで、候補者をより広く考えることが必要となります。一方で選考基準となる自社のスキル体系を更新し続ける負荷が、課題となっています。

2 将来を見据えたリスキリング

従業員エクスペリエンス向上の仕組みとして注目されるリスキリングやアップスキリングですが、2023年は長期的なビジネスニーズを予想し、将来に備えた戦略的な人材計画が進むと予測しています。また、不透明な経済下において、外部採用よりも既存人材の能力開発を進め、より有効活用することに力を入れている企業も見られます。一方で、能力開発を従業員が主体的に、業務とバランスを取りながら進めていけるような組織文化の醸成が課題となると見ています。

3 狙いを定めた最新技術の採用

人事分野におけるインテリジェントテクノロジー(人工知能、生成AIや機械学習)の活用事例も増え、2023年はその活用範囲が、採用やオンボーディングから、スキル管理、従業員エンゲージメントやウェルビーイング等へと拡大すると予測しています。一方で、テクノロジーの支援を得たい領域と避けたい領域は、組織と従業員で意見が分かれる部分もありそうです。強化が予想されるAI規制への対応だけでなく、テクノロジー活用にあたっての従業員への配慮も求められます。

4 柔軟な仕事、柔軟な働き方

2023年のトレンドでは、仕事場を決める主導権が企業へ戻ると言われていますが、一部の国では柔軟な働き方は法的な権利になっていることもあり、柔軟な働き方へのニーズが続くことは間違いないでしょう。今後は、週4日勤務であったり、生産現場で働く従業員へも同等に柔軟な働き方の提供検討が進みそうです。人事部門はその柔軟な働き方を成功させるために、ツールやテクノロジーなどを試験的に導入しながら適切な働き方を見つけていくことが課題となります。

5 包括的なウェルビーイングの定着

新型コロナウィルス、ウクライナ戦争、景気変動、インフレ拡大など様々な危機が従業員の仕事や生活に影響を与えているため、心理面、健康面、感情面、経済面も含めた全体的なウェルビーイングを優先的に支援していくことが求められています。一方で、従業員のウェルビーイングの課題解決に向けては、これまでは福利厚生の提供によるものが中心でしたが、今後はあらゆる業務プロセス(従業員タッチポイント)に戦術的にウェルビーイングを組み込んでいくことが課題となります。

6 ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン & ビロンギング(DEI&B)の複雑さの受け入れ

企業は、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン & ビロンギング (DEI&B) に対して「ライフサイクルアプローチ」を取り入れると考えられています。具体的な方法はまだ模索されていますが、あらゆる人事施策を通じてバイアスを排除しようと努めるでしょう。また、採用難の時代における人材の獲得から定着率の改善を目的に、従業員の多様なニーズに答えようとすると予想しています。一方で、ダイバーシティへの取り組みに対し、現状維持を好む従業員や、すでに社会的平等が達成されていると考える従業員からの反発も予想されており、その対応も今後の課題となりそうです。

7 今日と明日を担うリーダーの育成

厳しく不安定な経済状況もあり、従業員は共感力やコミュニケーション力など「人間中心」スキルに長けた上司やリーダーを求めています。そういったスキルを持つ管理職人材の確保に悩まないためにも、企業は管理職向けのスキル開発に注力していくことが予想されます。一方で、明確なリーダーが存在しない一時的なダイナミックチームで業務を行っていくような新しい働き方の台頭もあるため、今後はすべての従業員に対し、リーダーシップとマネジメントスキルを開発していくことも重要になりそうです。

以上、2023年のメタトレンドについて概要をお伝えさせていただきました。これら2023年のメタトレンドのうち、上位3つのトレンドについては、日本の企業様に向けて以下の動画にて見解を述べさせていただいております。よろしければ合わせてご確認いただけますと幸いです。

HR meta-trends in 2023 解説動画
 スキル獲得競争
 将来を見据えたリスキリング
 狙いを定めた最新技術の採用

本情報が貴社の人事活動や人事施策の一助になれば幸いです。

 
 

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