日本企業は経理財務以外にも計数管理担当者が全社に分散しており、経営判断に必要なデータを収集・分析して経営資源の最適配分を全社目線で適時・適切に実施することが困難な企業が少なくありません。そこで最近注目されているのがFP&A (Financial Planning & Analysis) という機能(職種)です。FP&Aとは、会計・財務をバックグランドに持ち、経営者や事業・機能責任者の意思決定をサポートするビジネスパートナーになります。

外資系企業ではCFO傘下で確立されている機能ですが、2020年にNECがコーポレートトランスフォーメーションの一環としてFP&A部門を新設し、今年4月には富士通がデータを活用して経営・事業目標達成に貢献する真のビジネスパートナーに向けてFP&A組織の立上げを行うなど日本でも徐々に広がりつつあります。

コーポレートトランスフォーメーションやファイナンストランスフォーメーションの中でCFO組織のビジネスパートナー機能強化施策として検討・推進されるケースも多く、コーポレート/ファイナンストランスフォーメーションと同様に組織・プロセス・ルール・人・データ・システムをバランスよく段階的に整備していくことが成功の鍵となります。

各社におけるFP&Aのありたい姿を検討する上で、1つのヒントとして参考にしていただいているのがエクセルのバケツリレーや属人的な予測から脱却して段階的に進化を続けている独SAP社の取組みになります。

本ブログでは、独SAPが組織・プロセス・ルール・人・データ・システム六位一体で推進しているデータドリブン経営とFP&A(Financial Planning & Analysis)高度化の軌跡を示すとともに、データ利活用基盤が整備された前後で仕事の仕方がどのように変わったのかについて日本市場のFP&A責任者であるSAPジャパンCFO大倉の実体験を動画で深堀りしていきます。

動画におけるトピックと時間、各トピックのポイントは下記の通りになります。

ご関心のある部分を中心に参照いただき、各社におけるデータドリブン経営/FP&A機能高度化に向けたヒントにしていただければ幸いです。

動画構成と時間

CFOの変革体験共有】 SAPのデータドリブン経営/FP&A機能高度化の軌跡

【CFO の変革体験共有】SAP のデータドリブン経営 / FP&A 機能高度化の軌跡

Part1: SAPのデータドリブン経営/事業管理実践事例(ご説明パート

 

 

 

 

 

 

  • 0:00 –  独SAP社概要
  • 1:17 – サービス型ビジネスへのシフトと新旧ビジネスを支えるオペレーションモデル変革
    変革推進を支える6つの要素と取組み概要
  • 5:20-   オペレーションモデル変革の成果
  • 6:15-  グローバル経営会議におけるデータ利活用実例
  • 9:37-  グローバル経営管理体系の進化
    ボトムアップからトップダウン型、中計・予算・予測の連動型へ進化
  • 12:42- データ利活用の仕掛け作り
    データドリブン経営およびFP&A機能強化を支える土台として重要な要素~

Part2: SAPジャパンCFOの変革体験共有(インタビューパート)

SAPジャパン株式会社 代表取締役常務執行役員最高財務責任者(CFO)大倉裕史

 

 

 

 

 

 

  • 17:46- データ利活用基盤が整備された前後での仕事の仕方の変化
    会議の視点が「過去」から「未来」へ
  • 21:45- 事業責任者とのコミュニケーションの変化
    ワンファクト・ワンプレイス・リアルタイムおよび共通言語によるスムーズな意思疎通
  • 24:53- ドイツ本社・CFO組織とのコミュニケーションの変化
    属人的な経験に依存する予測から予測モデルを活用した精緻な予測へ
    数値の議論から数値の裏側のストーリー、数値を最大化する戦略の議論に変化
  • 27:56- Excel職人からビジネスパートナーへの進化の過程でのチャレンジ
    データ加工からデータインサイト・打ち手の提示へ求められる価値が変化
    常識のアンラーニングとスキルセット/マインドセットのリラーニングによる変化対応
  • 31:04- 仕事の仕方が進化する過程における行動・文化面での変化
    データ集計・確認・突合(過去)からデータインサイトによるアクション検討(未来)へ
    データ利活用の仕掛け作りとマネジメントのコミットメントが変化を促す土台
  • 32:15- 大きな変革を推進する上で必要な要素
    明確な目指すべき北極星と北極星に導くリーダーシップ
    「組織・プロセス・ルール・人・データ・システム」六位一体での変革推進
  • 33:10- 大きな変革を継続するために必要な要素
    スモールスタート(小さく始めてできるだけ早くフィードバックを収集)とアジャイル(100%は求めず70%でも良いので進めながら改善)
  • 35:34- 変革実践を通したSAP自身の学び(まとめ)

 

動画でも触れましたが、SAP自身のデータ利活用施策推進からの学びや自社開発機能を織込んでお客様にご提供しているデータ&アナリティクスソリューションがSAP Analytics CloudとSAP Datasphereになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソリューションの詳細情報につきましては下記リンクよりご参照ください。

以上、本ブログでは動画形式で独SAPがクラウドビジネスシフトを支えるオペレーションモデル変革の一環として推進しているデータドリブン経営/FP&A高度化実践事例を概説した後、データ利活用基盤整備の前後で仕事の仕方がどのように変わったかについて日本市場FP&A責任者であるSAPジャパンCFO大倉の具体的な体験を紹介しました。

独SAPもまだ変革の旅の途中ですが、その取組みと体験共有が各社状況に合ったFP&Aのありたい姿とそこに至る旅路を検討する上で少しでも参考になれば幸いです。

 

Posted by 中野 浩志
大手精密機械メーカーにて、輸出・外為業務、海外営業、海外現地法人立ち上げと同社ERP 導入及び事業管理・財務経理マネジメントを担当。1998 年に SAP 入社後は、ERP (ファイナンス)導入コンサルタントとして大手製造業、総合商社プロジェクトを担当し、ファイナンスソリューションマネージャーなどを経て現在は経営管理・経理財務領域のデジタル変革を支援するシニアプリンシパル。 日本CFO協会主任研究委員、早稲田大学大学院非常勤講師、公認内部監査人(CIA)、公認情報システム監査人(CISA)、公認不正検査士(CFE)、米国公認会計士全科目合格