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(本リリースは、10月19日に弊社本社から発表された発表文の抄訳です)

SAP SE(NYSE:SAP)は、2023年9月30日に終了した第3四半期の財務業績を発表しました。本資料は、SAP SEが発行している「2023 Q3 Quarterly Statement」サマリーです。詳細はリンク先のオリジナルの資料をご参照ください。

  • クラウド売上は16%増、固定通貨換算ベースでは23%増
  • カレント・クラウド・バックログは123億ユーロで19%増、固定通貨換算ベースで25%増
  • クラウドの総利益はIFRSベースで21%増、Non-IFRSベースで21%増、固定通貨換算ベースで28%増。クラウド売上総利益率の拡大が後押し
  • 営業利益はIFRSベースで11%増、Non-IFRSベースで10%増、固定通貨換算ベースでは16%増
  • SAP、2023年の見通しを据え置き

 

SAP CEOのクリスチャン・クライン(Christian Klein)は次のように述べています。
「第3四半期の業績は、当社が変革の次のフェーズに入ったことを改めて証明するものになりました。当社のポートフォリオ全体でクラウドの成長を加速させ、クラウド売上総利益率を大幅に拡大しました。最新のSAP® Business AI機能など、イノベーションに集中的に注力することで、厳しいマクロ経済情勢や地政学的緊張の高まりに直面しても、SAPの継続的な回復力(レジリエンス)が確保できています」

SAP CFOのドミニク・アサム(Dominik Asam)は次のように述べています。
「第3四半期の業績は、マクロ経済の逆風が続く中、クラウドの持続的な成長を含め、強力な事業の遂行力と事業の回復力を実証するものになりました。また、当社は常に成長と収益性のバランスに注目しています。それらがあいまって、今年度は2桁の営業利益の成長を目標に、最終利益を押し上げることが可能となります」

 

業績ハイライト

 2023年度第3四半期

カレント・クラウド・バックログは、19%増の122億7,000万ユーロ(固定通貨換算ベースで25%増)でした。SAP S/4HANA®のカレント・クラウド・バックログは、58%増の42億ユーロ(固定通貨換算ベースで66%増)でした。

第3四半期、クラウド売上は16%増(固定通貨換算ベースでは23%増)の34億7,000万ユーロとなり、主に、SaaSおよびPaaSのポートフォリオ全体の成長(19%増、固定通貨換算ベースで26%増)がけん引役となりました。SAP S/4HANAのクラウド売上は、67%増の9億1,400万ユーロ、固定通貨換算ベースでは77%増でした。

いくつかの大型取引に支えられ、ソフトウェアライセンス売上は17%減の3億3,500万ユーロ、固定通貨換算ベースでは14%減となりました。クラウドおよびソフトウェア売上は、4%増の66億8,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで9%増となりました。サービス売上は横ばいの10億7,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで4%増となりました。総売上は、4%増の77億4,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで9%増となりました。

第3四半期の予測性の高い売上の比率は、2パーセンテージポイント増の82%に達しました。

クラウド総利益はIFRSベースで21%増の25億3,000万ユーロ、Non-IFRSベースで21%増の25億6,000万ユーロ、固定通貨換算のNon-IFRSベースでは28%増でした。クラウド総利益の伸びは、クラウド売上総利益率の堅調な上昇に支えられたものです。クラウド売上総利益率は、IFRSベースで2.9パーセンテージポイント増の72.7%、Non-IFRSベースで2.9パーセンテージポイント増の73.7%、固定通貨換算ベースでは2.9パーセンテージポイント増でした。

営業利益は、IFRSベースの場合、11%増の17億2,000万ユーロで、Non-IFRSベースでは、10%増(固定通貨換算ベースで16%増)の22億8,000万ユーロでした。この増加は、オンプレミス事業の回復力と継続的な業務の効率化に支えられたもので、オンプレミス事業に関連する資産計上販売手数料の加速償却によるマイナス影響を補いました。

IFRSベースの1株当たり利益(基本)は、45%増の1.09ユーロでした。Non-IFRSベースの1株当たり利益(基本)は、32%増の1.45ユーロでした。実効税率は、IFRSベースで27.8%、Non-IFRSベースで27.1%でした。

第3四半期のフリーキャッシュフローは、69%増の8億6,500万ユーロでした。税金と株式報酬の支払額は増加しましたが、SAPの収益性、運転資本の改善、設備投資とリースのための支払額の減少がプラスに働きました。年初から第3四半期までのフリーキャッシュフローは29%増の34億2,000万ユーロでした。

自社株買いプログラム

5月16日、SAPは、総額50億ユーロを上限とする、期間2025年12月31日までの新たな自社株買いプログラムを発表しました。9月29日現在、SAPは同プログラムに基づき、平均価格125.49ユーロで7,190,252株の自社株買いを行い、購入総額はおよそ9億200万ユーロでした。

 

ビジネスハイライト

第3四半期に、エンド・ツー・エンドのビジネス変革を推進するために「RISE with SAP」をお選びいただいた世界各国のお客様には、ADAC、Alnatura、BC Hydro、Bobst Mex、Constellium、Graybar、日立造船株式会社、KAESER KOMPRESSOREN、LG Electronics、LG Energy Solution、PUMA、Siemens Healthineers、University of Leedsなどがあります。

また、BMW Group、Celltrion Healthcare、バンクーバー市、Schneider Electric、Toll Group、およびUPL Limitedが、第3四半期にSAP S/4HANA® Cloudの本稼働を開始しました。

さらに、Atria、elobau、Leanin’ Tree、Northstar Clean Technologies、PERSSA、Phoenix Global、Tait International、およびZiegler Holdingには、クラウドERPのスピーディかつ予測可能な導入を継続的イノベーションにより支援する中堅企業向けの新サービス「GROW with SAP」をお選びいただきました。

SAPのソリューションポートフォリオをお選びいただいた主なお客様としては、Accenture、Adobe、旭化成株式会社、BVG(ベルリン市交通局)、Ecovacs、freenet DLS、Fressnapf、Heidelberger Druckmaschinen、Hyundai Motor Company / Kia、Jollibee Foods Corporation、Lenovo、株式会社リコー、Salling Group、thyssenkrupp Steel Europeなどがあります。

また、Ducati Motor Holding、Gilead Sciences、Hunkemöller、The KaDeWe Group、スイス連邦鉄道、SCOTT Sports、および伊藤忠商事株式会社が、SAPソリューションの本稼動を開始しました。

第3四半期におけるSAPのクラウド売上の実績は、APJ(アジア太平洋)と EMEA(欧州・中東・アフリカ)地域で特に好調で、南北中央アメリカ地域でも堅調でした。ブラジル、インド、およびオランダにおけるクラウド売上の伸びが顕著で、またカナダ、中国、フランス、ドイツ、日本、スイスも特に好調でした。

2023年7月4日、SAPはスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)から信用格付けをAからA+に格上げしたとの通知を受けました。SAPの健全なクラウド移行の実施、迅速なレバレッジ解消の実績、および高いキャッシュ創出力が理由とされています。

7月18日、SAPは生成AIのリーディングカンパニー3社への戦略的投資により、高い関連性と信頼性を備えた、責任あるビジネスAIを提供するというコミットメントにおいて次なるステップに進むことを発表しました。Aleph Alpha、Anthropic、Cohereへの投資は、SAPのポートフォリオ全体にAIを組み込むために最高のテクノロジーを活用するという、AIへのSAPのオープン・エコシステム・アプローチを強化するものです。

8月29日、SAPは、ジーナ・ヴァルギュー=ブロイヤー(Gina Vargiu-Breuer)氏を2024年2月1日付でSAPの最高人材責任者兼労務担当取締役としてエグゼクティブ・ボード・メンバーに任命したと発表しました。同氏は、2023年12月31日の任期満了をもって依願退社するザビーヌ・ベンディク(Sabine Bendiek)の後任となります。

8月29日、SAPとGoogle Cloudは、企業がデータと生成AIの力を活用できるようパートナーシップを拡大することを発表しました。両社は、SAP® Datasphereソリューションを使用して統合されたオープン・データ・クラウドとVertex AIを組み合わせ、生成AIを活用する新しい業種別ソリューションの提供を自動車業界から開始するとともに、サステナビリティパフォーマンスを強化する新機能を導入します。

9月1日、SAPは、ウォルター・サン(Walter Sun)をAI担当のグローバル責任者に任命したことを発表しました。同氏は、Copilot Applied Artificial Intelligence for business applications(ビジネスアプリケーション向けコパイロット応用人工知能)のバイスプレジデントを務めていたMicrosoftからSAPに転籍しました。

9月7日、SAPとLeanIX GmbHは、エンタープライズアーキテクチャー管理(EAM)ソフトウェア大手、LeanIX社をSAPが買収することで合意したと発表しました。この買収計画により、SAPはビジネス変革ポートフォリオを拡大し、ビジネス変革の継続とAIによるプロセス最適化の促進に必要なツール一式をお客様に提供できるようになります。この買収取引は、慣習的な取引完了条件の履行後、規制当局の承認が得られ次第、2023年第4四半期中に成立する予定です。

9月26日、SAPは、自然言語の生成AIコパイロットであるJoule(ジュール)を発表しました。Jouleは、SAPのクラウドエンタープライズポートフォリオ全体に組み込まれ、幅広いSAPのソリューションとサードパーティのソースから、プロアクティブでコンテキスト化されたインサイトを提供します。

 

2023年度通年の見通し

財務見通し

2023年について、SAPは引き続き次のように予想しています。

  • クラウド売上は、固定通貨換算ベースで140億~142億ユーロ(2022年度 = 114億3,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで23%~24%増となる見込みです。
  • クラウドおよびソフトウェアの売上は、固定通貨換算ベースで270億~274億ユーロ(2022年度 = 253億9,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで6%~8%増となる見込みです。
  • 営業利益は、Non-IFRSの固定通貨換算ベースで86億5,000万~89億5,000万ユーロ(2022年度 = 79億9,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで8%~12%増となる見込みです。
  • 予測性の高い売上の比率が約82%(2022年度 = 79%)。
  • フリーキャッシュフローは、約49億ユーロ(2022年度 = 44億ユーロ)。
  • 実効税率は、IFRSベースで0%~32.0%(2022年度 = 32.0%)、Non-IFRSベースで 26.0%~28.0%(2022年度 = 29.6%)。

財務以外の見通し

SAPは、引き続き「お客様のロイヤルティ」、「従業員のエンゲージメント」および「二酸化炭素排出量」の3つの非財務指標に注力しています。2023年について、SAPは引き続き次のように予想しています。

  • 顧客ネット・プロモーター・スコアで8~12。
  • 従業員エンゲージメント指数で76%~80%。
  • 二酸化炭素のネット排出量で0キロトン、すなわち自社の事業においてカーボンニュートラルを実現。

 

 

追加情報

本プレスリリースおよびそこに含まれるすべての情報は予備的であり未監査です。四捨五入しているため、数値の合計は正確でない場合があります。

 SAPの業績指標

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以上

 

SAPについて

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