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世界が迎えるビジネスAI時代で勝つために!経営を変革させる”データクオリティ”の考え方|Life@SAP Japan vol.25

SAPジャパン Talent Attractionチームによる本企画では、SAPでの仕事内容や印象深いエピソードなどを幅広くお届けします。活躍する社内メンバーの話から、SAPで働く魅力をお伝えできればと考えています。

第25回のインタビュイーは、DMLTに所属する関共晶さん。データマネジメント領域の専門家として、データ活用の重要性やお仕事内容についてお聞きします。

データ活用を躍進させる”DMLT”のミッション

「私が所属するDMLT(Data Management and Landscape Transformation)チームでは、3つのサービスポートフォリオ領域でお客様を支援しています。

一つ目は、お客様が基幹システムの刷新をする際などに、データの移行作業を支援すること。二つ目は、SLO(システム・ランドスケープ・オプティマイゼーション)と呼ばれるサービスで、例えばお客様のM&Aや売却や再編成の際など、データ変換をDMLT独自の技術を使い実現すること。

そして三つ目は、データマネジメント。ここは私が最も重要視している領域です。例えば、散在している品目マスター・得意先マスター・仕入先マスターなどをまとめて、ひとつの統一的なマスターデータを作り、ビジネスの効率化やデータ利活用の促進に役に立つ高品質なデータにしていくことを目指していきます。

DMLTではこの三つの領域をカバーし、お客様のデータに関する様々な悩み事を解決する”よろず相談所”として、課題解決に向けたお手伝いをさせていただいています」

DMLT(Data Management and Landscape Transformation)に所属する関共晶(せき・ともあき)さん

 

「仕事の流れとしては、お客様が例えばSAP S/4HANAを導入するとき、『これを機にマスターデータも綺麗にしましょう』という方針となった場合、お客様担当窓口であるSAPサービス部門の営業、プロジェクトマネージャから取り組みについてご相談いただくケースがあります。DMLTコンサルタントとして導入プロジェクトにマスタデータ品質向上を組み込むアプローチの仕方や対応事例等を共有しつつ、お客様と一緒に方針を具体化し、プロジェクトを支援しています。

『データクオリティをいかに向上させ、どのように利活用していくのか?』という観点で、コンサルティングをしていくことが私の役割です。マスターデータマネジメントを行うためにSAP MDG(Master Data Governance)を導入する場合には、デモを行ったり、勉強会を実施したり、主に技術支援をします」

データマネジメントの重要性について教えてください。

“KEEP DATA CLEAN”を実現させるために

データマネジメントの領域では、データのクオリティを高めることを目指していきます。大切なのは、『KEEP DATA CLEAN(データを常に綺麗に保つこと)』です。

その上で課題となることの代表例として、わかりやすいのはデータの『重複』です。例えば、社内に『得意先A』のコードが1000番と2000番のふたつが存在すると、営業担当が受注したときにどちらを使えば良いのかわからなくなります。

一体何が問題なのかというと、経営層が『今期は得意先Aへの売上がどれぐらいあるのか?』とデータを見ようとするとき、1000番に紐づく売上と2000番に紐づく売上が存在してしまうわけです。これを日本企業では、経営企画部の人たちが人海戦術で作業してデータを手作業で統合し、売上分析レポートを作成し経営層に提出することになる。ここが非常に問題なのです。

当然、営業だけでビジネスが完結するわけではなく、受注したら製品が製造され、倉庫で管理され、物流部門が出荷を指示する―。このように業務は次の工程へ回っていきます。仮に、各部署で違うマスターデータを使っているのだとしたら、ものすごい混乱が起きるはずですよね。

特に、得意先や仕入先のデータ品質が良くないと、不正のリスクにも繋がります。未使用の古い得意先コードがそのままにされていると、そこへ入金をしたり商品を発送したりできてしまう。不正の温床になる場合があるのです。従って、データの重複を避けるだけでなく、使われていないデータがないかどうかも確認する必要があります。

つまり、『データのライフサイクルマネジメント』が大切なのです。データを最新に綺麗に保ち、誰がどのように、どこまでアクセスできるのかまでを考えることが、『データマネジメント』の考え方なのです

野放しにはしてはならない、経営層が認識すべき喫緊の課題

「ただ、この重要性を伝えることは簡単ではありません。その理由は、『結局、誰が得するの?』という話になりやすいからです。

現場では、営業さんは『この得意先は1000番を使えば良い』と先輩から教えられ、業務は回ってしまう。別の営業部門は『2000番を使えば良い』で過ごせてしまう。日々のリアルな現場業務では、その重要性がわかりにくいのです。

だからこそ、私がコンサルタントとして、『現状では元データが煩雑すぎて、AIでデータ分析をしたくても有意な分析結果が出ない』という現場で実際に起きている問題を、事実をベースにしながら経営層に訴求していく必要があります。

SAP S/4HANAを導入するだけですべてがうまくいくということではありません。トップダウンでデータ活用に向けて全社一丸となって経営層がリーダシップを持ち取り組んでいただくことが大事だと思います」

 

データマネジメントの領域におけるエキスパートとしての関さんの想いや、このポジションの魅力をお聞きします。

日本市場をリードする専門家として知見を広げたい

「2017年頃の当初は、このデータマネジメント領域は私1人で担当していました。SAP MDGの概要説明も実装も、悩み相談もトラブルシューティングも…。当時はなかなか大変でしたね。

でも、SAP内でのデータマネジメント分野における第一人者として開拓できたので自分にとっては良かったと思っています。これからもこの領域に注力していきたいです。

このポジションは、実際に現場でお客様の生の声を聞きながら、伴走型で課題に真摯に取り組める点が魅力ですし、お客様に喜んでいただける姿を近くで見られることがやりがいだと感じます。

いまはDMLTにおけるデータマネジメント領域の日本チームのリーダーとして、DMLTグローバルとも密に連携しながら新しいサービスを日本に取り入れています。社内のコンサルタントのトレーニングや、SAPグローバルで利用される新規サービスのコンテンツ作りにも参加しています」

ビジネスプロセスを俯瞰し、経営者目線で理解する

「この仕事において大事だと思うは、”END TO END”で考えられることだと思います。

『サプライチェーンだけを知っている』とか、『CRMだけ』『HCMだけ』ではなくて、ビジネス全体のつながりを理解することが大切です。例えば品目マスターであれば、設計部門がCAD/CAMを使い設計し、それを生産現場へデータ連携し、製造して出荷し、請求後アフターサービスをする。データの観点で、このような一連のつながりがきちんと見える必要があります。

それが最終的に、経営の視点からリアルタイムにビジネスの状況を把握できるようになることが、データマネジメントの目指すべき姿です。

日本はデータ活用において後進国?進化できる余地は無限大

『デジタルトランスフォーメーション』は昨今叫ばれているものの、データマネジメントの領域において日本企業のほとんどが遅れています。もちろんそれを生業にしているEC系の大手グローバル企業は先進的な取り組みをされているとは思いますが、多くの日本企業は、データ品質の問題が及ぼす影響や深刻度をまだ理解していないのではないかと思います。

今後、データの活用や分析ができるように進化すれば、新規事業の立上げも容易になったり、グループ会社間の統廃合も進めやすくなるのではないかと思います。

新規事業というのは、『この部分がサービスとして弱い』『こういう声が要望として挙がっている』というホワイトスペース(変革余地のある領域)を見つけて実行するものですが、データの基盤がしっかりしていればそのホワイトスペースがどこにあるのかを見つけやすいですし、早期に新規事業のロールアウトを行うことも可能となります。さらに、例えば生成AIを使って問合わせサービスを立ち上げたり、コールセンター業務をChatGTPに任せるなど、品質の高いデータを整備することでビジネスの幅を効かせやすくなります。

もしくは、データ品質を向上させることによって『この部門はスピンアウトさせよう』『子会社を統合して新会社を作ろう』という統廃合への意思決定もしやすくなります。その際にマスターデータがグループ会社間で統合されていないと、システム統合に関わるデータのやりとりは非常に煩雑になり、それだけで一大プロジェクトになってしまいます。けれども、データが綺麗に整備されていれば、スムーズに進めやすくなるはずです」

 

最後に、一緒にSAPで働く人へのメッセージをお聞きします。

世界でビジネスの基盤を支えるSAPだからこそ、期待に応える使命がある

「SAPは本当に多くのお客様に対して基幹業務に関わるソフトウェアを提供させていただいています。従って、世の中からSAPへの期待は非常に大きいと考えています。それがプレッシャーに感じると同時に、SAPのメンバーとしては誇りに思えるところでもあります。

世界中のトランザクションの8割以上はSAPアプリケーションを通していると言われています。その分、様々な知見が海外にも蓄積されているし、有効に活用できるナレッジがある。これは本当に素晴らしいことです。

データは21世紀の資産であると言われていますが、本当にその通りだと思います。デジタルトランスフォーメーションにおいては、『どうすればビジネスプロセスを横断的に分析でき、どのようにデータを活用すればビジネスを効率化できるのか』を考えるところが肝です。

これからSAPで働く人たちには、その重要性を理解していただき、今後のAI時代において多くの日本企業がデータの活用を進められるよう、一緒に取り組むことができたらと思っています」

グローバルスタンダードのシステムを導入することだけがSAPの役割ではなく、データに基づく経営変革を促すことが役割であると考える関さんの想いが伝わってきました。日本企業が世界で競争力を高められるよう、今後もデータ活用におけるリーダーとして多くの企業を支えてくれることを期待しています。

■SAPジャパンのキャリアサイトはこちらから:SAP Careers

■前回の記事はこちらから:LifeAtSAPJapan vol.24 高木美紀さん

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