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Kyndryl 社、販売実績管理に次世代ツールを採用

1/25/2017 — Bellevue, Washington, USA Concur offices. Photograph by Stuart Isett/Concur.

(本記事は本社で2024年5月15日に掲載されました)

多くの企業が、いまだに憶測やスプレッドシート上のデータに頼って、営業担当者の担当エリアや営業ノルマを計画したり、歩合を計算したりしていますが、トップクラスの営業チームはサイエンスを活用しています。適切な最新ツールと、データに裏打ちされた方法論があれば、計画を過度に複雑化したり、時間をかけたりする必要はなく、明確さと透明性を通じて営業担当者に強力なインセンティブを提供することができます。

世界的なテクノロジーサービス企業である Kyndryl Holdings Inc. は、2021 年 11 月に IBM から分離独立し、世界最大の IT インフラ・サービスプロバイダーになりました。同社は世界 60 カ国に 8 万人以上の従業員を擁し、3,500 人の営業担当者を抱えています。デジタル経済の中心に位置する不可欠なシステムを継続的に改善することに重点を置き、世界中のパートナーや顧客と協力しながら、顧客企業が常に最高のデジタルパフォーマンスを発揮できるよう支援するソリューションを開発しています。

Kyndryl 社が IBM から分離独立する際に締結した移行サービス契約 (TSA) では、IBM からの IT システムの切り離しを 2 年間で完了させることになっていました。分離の際、Kyndryl 社が直面した課題の 1 つは、どのようにツールを移行して、新しいビジネスに適用させるかということでした。同社の販売事業が 60 カ国以上に及んでいたことを考えると、これは決して軽微な課題ではありませんでした。

Kyndryl 社のセールス/インセンティブシステム担当ディレクター、キショア・カンチャラ (Kishore Kancharla) 氏は、これらのシステムを複製して移行し、市場投入戦略の変革に取り組む最良の方法を検討する任務を負っていました。「IBM から分離したとき、メインフレームアプリケーションを 100 人近くでサポートしていましたが、メンテナンスに非常にコストがかかっていました。このレガシーシステムは IBM の業務用に構築されたもので、非常に複雑でした」と、キショア氏は語ります。「私たちはシステムをシンプルにして、プロセスも合理化したかったのですが、新会社として私たちのニーズを満たすために変更を加えるのは非常に難しいことでした」

販売インセンティブの性質上、他の基幹システムに依存する部分は多くなります。計画段階において、担当エリアとノルマを設定し、売上を追跡して歩合を計算し、営業員に正確かつ期限内に報酬が支払われるようにするには、信頼できるデータが必要です。同社はまた、移行サービス契約の終了も考慮しながら、サーベンス・オクスリー法(SOX 法)に準拠する形で、レガシーアプリケーションを廃止してスタンドアロンのアプリケーションへと移行する必要がありました。

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Kyndryl 社は別の方法を模索する中で、複数の製品を自社のニーズに照らして評価した結果、SAP SuccessFactors® ポートフォリオの販売実績管理ソリューションへの投資を決定しました。このポートフォリオは、SAP SuccessFactors® Incentive Management と SAP SuccessFactors® Territory and Quota という形で、報酬と担当エリア/ノルマ管理向けの統合型ソリューションを提供します。

しかし、そこにはひとつ大きな問題がありました。同社は、2023 年 4 月に始まる会計年度前に販売実績管理ソリューションを本稼働させる必要があったのです。これにより 2023 年 10 月の TSA 期限が大幅に前倒しになり、残された時間は 1 年もありませんでした。

これを実現するために、Kyndryl 社は、SAP のチーム、および販売実績管理ソリューションの実装を専門とする SI パートナーであるミュンヘンの Municons 社と緊密に協力して、両ソリューションを実装することにしました。また、SAP SuccessFactors Incentive Management の設定に対しても、SI パートナーの追加サポートを利用しました。

「SAP からの派遣チームは、プロジェクト全体を通して素晴らしいパートナーでした。当初はやるべきことが膨大すぎて、本当に成功するのか自信を持つことはできませんでした。受け継いだ全レガシーソリューションを置き換えるというのは気が遠くなるような試みでした。しかし、適切なスキルを持った人たちが集まってくれたおかげで、不可能を可能にすることができました」と、キショア氏は当時を振り返りました。

Kyndryl 社は、会計年度が始まる前の本稼働に向けて、販売実績管理をサポートする 45 以上のレガシーモジュールの迷宮を抜け、単一の統合型ソリューションの実現へとひた走りました。10 種類の異なるアプリケーションから営業ノルマのビジネスフローを 1 つに集約させ、複数の場所に分散していた複製データを合理化およびシンプル化したデータランドスケープに移行させ、すべての営業データを 1 カ所に集中させました。加えて、Kyndryl 社は、担当エリア/営業ノルマプロセスをシンプル化し、ビジネスプロセスの複雑さを 60% 以上軽減しました。効率化されたビジネスプロセスは、営業経費の節約につながり、財務上重要なアプリケーションの事業継続リスクも軽減しました。

また、DocuSign の統合機能により、対面での署名が不要になり、サポートスタッフの役割も簡素化され、職務分掌 (SoD) の競合が解消されました。新しいセットアップでは、エラーやコンプライアンス違反の可能性が最小限に抑えられ、ユーザーフレンドリーでドラッグ・アンド・ドロップ対応のインターフェースと既製のテンプレートによって、ビジネスチームが複雑な販売戦略を策定できるようになりました。また、コミッション(歩合)情報には、モバイルアプリを通じていつでもどこでもダッシュボードからアクセスできるようになりました。

業務レベルでは、月次コミッションサイクルの実行に必要な処理時間が短縮され、給与ファイル配布用人事システムとの統合が合理化されました。年末の締め作業が効率化されたことで、ビジネスチームおよび技術チームともに数週間分の労力軽減が実現しました。

SAP と Kyndryl 社との緊密な関係は、最初の稼働日を過ぎても続いています。SAP は、複数のワークショップに参加して、担当エリアとノルマ、財務計画に関する Kyndryl 社の最も難しいビジネスプロセスの複雑さを理解しました。2 年目の財政計画プロセスではすでに、これらの新しいオファリングが組み込まれ、Kyndryl 社の複雑なプロセスがさらにシンプルかつ効率的なものになっています。


ラフル・イヤー (Rahul Iyer) は SAP の販売実績管理担当ゼネラルマネージャーです。

 

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