(本記事は、6月24日本社で掲載されたものです)

初の「IDC MarketScape:2024 年度版ワールドワイド炭素会計アプhttps://news.sap.com/2024/06/aquatherm-improves-operations-sap-digital-manufacturing/リケーション・ベンダー評価/Worldwide Carbon Accounting and Management Applications 2024 Vendor Assessment」で、SAPが18 社のベンダーの中でリーダーに選出されました。

かつて黎明期であった炭素会計市場は、利用可能なソリューションの数、種類、機能面において、大きな転換期を迎えています。以前は新興企業やニッチベンダーで構成されていた炭素会計市場は、今では、大手独立系ソフトウェアベンダー (ISV) やハイパースケーラーが参入し、市場シェアの争奪となっています。

組織・企業は、投資家、パートナー、顧客、従業員、規制当局などのステークホルダーに炭素排出量のデータを追跡し開示するよう、ますます強く求められています。スコープ1 と スコープ2 の排出量については、多くの組織がそのデータを収集し開示していますが、スコープ3は、信頼性の高いデータ収集と報告手法が複雑であるため、以前として課題となっています。

今後、データ報告違反が罰金や訴訟につながるようになってくれば、新たな原動力が生まれるでしょう。また、脱炭素への法規制が整備されることで、企業のデータ報告方法に新たな複雑な要素が加わると考えられます。脱炭素イニシアティブの開示には、独自のデータ分析とシナリオ計画ツールが必要になります。IDC レポートでは、炭素会計ベンダーにとっての主要課題として、データの統合が指摘されています。

IDC MarketScape ベンダー分析モデルは、特定市場における ICT サプライヤーの競争力を提供するように設計されています。その調査手法には、定量的かつ定性的な基準に基づいた厳格な採点方法を使用しており、調査結果として、該当市場での各ベンダーの位置付けを 一つのグラフで示しています。能力スコアは、短期的に見たベンダーの製品、市場開拓能力、事業運営能力を測定したものです。戦略スコアは、3 ~ 5 年の期間における、ベンダー戦略と顧客要求との整合性を測定したものです。ベンダーの市場シェアは、円の大きさで表されます。

 

SAP 炭素会計と管理:課題への挑戦 

SAP はERP を中心に据えつつ、クラウドベース、AI を活用したデータ駆動型の目的別炭素管理ソリューションを企業に提供できる体制を整えています。これらには、SAP® Sustainability Footprint Management、SAP Sustainability Control Tower、SAP Sustainability Data Exchange、EHS 環境管理向け SAP S/4HANA® Cloud solution、SAP Green Ledger などがあり、いずれもトランザクションレベルの炭素会計や管理を可能にし、排出量追跡プロセスに変革をもたらすことのできるソリューションです。

SAP の炭素管理ソリューションは、現在 SAP S/4HANA Cloud を使用しているか、または導入を計画中であり、持続可能性の価値を把握し、持続可能性に関連するビジネスリスクを管理したいと考えている組織に最適です。お客様は、持続可能性をエンドツーエンドのビジネスプロセスに組み込み、ERP やサプライヤーのデータを活用して、ビジネスプロセスや財務報告に関連指標を利用することで、炭素管理という目標に取り組むことができます。

炭素データと財務データを同じトランザクションレベルで評価する機能により、組織が、炭素予算に対処し、資本配分を決定し、チェンジマネジメントのカスケード化および調整に新たな局面をもたらすことになります。この変革により、的を絞った持続可能な行動と、より正確な財務上の意思決定が可能になります。

SAP における企業レベルとトランザクションレベルの両方で、製品カーボンフットプリントをサポートするERP を中心に据えた持続可能性へのアプローチは 一つの差別化要因になります。調達・購買、サプライチェーン、リスク、コンプライアンス管理といった他の財務アプリケーションとの統合は、SAP サステナビリティ ポートフォリオの標準機能です。

炭素税、罰則、今後の規制要件を先取りすることも、組織のデータ報告手法において重要な役割を果たすと考えられます。また、企業リスクとキャッシュフローの両方に影響するため、重複する責任と持続可能性の管理要素として、CFO と CSO の連携はより頻繁に行われるようになるでしょう。

IDC MarketScape は「SAP のサステナビリティオファリングのポートフォリオは、SAP S/4HANA Cloud が基盤となっているため、採用できるユーザーは限られる。さらに、モジュラー設計であるものの、ソリューションから価値を引き出すには、実質、複数のシステム要素を導入することが必要になるため、高価格になる」と指摘しています。この点において、SAP は、クラウド配信のスピードと俊敏性、およびコア ERP システム内に統合されたサステナビリティデータを組み合わせにより対応しています。これは、顧客のサステナビリティと財務パフォーマンスの最適化を支援し、将来のビジネスの成功を導くには、極めて重要なものになるでしょう。

SAP のお客様は、サステナビリティデータと財務データを統合することで、炭素排出量に関するインサイトを引き出し、あらゆる階層レベルでの意思決定と予測にプラスの影響を与えることができます。エンドツーエンドの炭素管理と、トランザクションレベルの炭素排出量データにより、業務効率の向上、排出量の透明性の促進、そして今後の法規制への準拠を実現することが可能になります。企業の収益性と地球環境にメリットをもたらすサステナビリティトランスフォーメーションの実現は、今まさに手の届くところにあります。

IDC による調査は、炭素管理プラットフォームに関する包括的な分析を提供し、進化する規制情勢やステークホルダーからの圧力のもと、企業が炭素排出量を追跡、管理、報告する必要性が高まっていることを強調しています。この調査では、イノベーション、顧客満足度、脱炭素化への取り組みを支援する能力に焦点を当て、将来の顧客ニーズを満たすための能力と戦略に基づいてベンダーを評価しています。IDC の ESG レポーティング&マネジメント・アプリケーション担当リサーチマネジャーであるエイミー・クレイブンス (Amy Cravens) 氏は、次のように語っています。「環境に関する監視が強化される時代において、炭素会計をマスターすることは単なるコンプライアンスではなく、企業の将来を見据えた戦略的な必須事項になっています」

 


アリシア・レンツェ (Alicia Lenze) は、SAP SE のサステナビリティマーケティング担当のグローバル責任者です。