SAP Japan プレスルーム

変革期の人事戦略~SAP と先進企業の人材価値向上へのアプローチ

HR Connect Tokyo

Multi-ethnic business group standing together in the office. Portrait of successful business professionals in a open plan office.

HR Connect Tokyo レポート

今日のビジネス環境において、競争優位性と持続的成長を実現するカギは、継続的な人的資本価値の向上にあり、人事改革の施策は多様な働き方の推進、多様な人材の採用、リスキリングなど多岐にわたります。2024 年 7 月 31 日開催の「HR Connect」(SAP ジャパン主催)では、人事のビジネスリーダーやHRテック専門家など人事改革の先駆者が集い、人事領域の世界最新トレンド、先進企業の事例、そして最先端のテクノロジーへのお考えやご経験談をお話しいただき、参加されたお客様からの関心度も高く、学びの多い会となりました。本稿では、アカデミアやグローバルリサーチの専門家の知見、SAP の人的資本管理プラットフォームである「SAP SuccessFactors」の最新テクノロジー、その活用方法に関する情報を解説します。

〇 登壇者

森 太郎
SAPジャパン株式会社
バイスプレジデント 人事・人財ソリューション事業本部 本部長

Daniel Beck(ダニエル・ベック)
SAP SuccessFactors
President and Chief Product Officer


「企業の経営戦略推進」を支える、人事戦略への投資のために必要なもの

 厳しいビジネス変化が起きている環境の中で、経営戦略を推進していくためには、それを支える人事戦略・人的資本に継続的に投資していくことが重要です。それには、グロ-バルのトレンドや有識者の知見、HR プラットフォームの情報を仕入れながら、自社に最適な活用法を見極めながら、継続的な変革を推進する必要があります。

「本日の HR Connect では、大学教授などの知見、グローバルのリサーチ、SAP のノウハウや最新のテクノロジー、日本企業の先進的なお客様事例などから、現代の人事リーダーがビジネスの継続的成長をサポートする際に直面する課題への対応策とヒントをお届けします。ご参加の皆様にとって、少しでも学びとしてお持ち帰りいただけることがあれば幸いです」(森)

HR イノベーションの共創
―日本でも広がる SAP SuccessFactors のエコシステム

SAP SuccessFactors は世界に 17 のデータセンターを運営し、1 万社、2 億 9,000 万人のユーザーを支援しています。日本市場は世界で 6 番目の規模で、2022 年 1 月からはセキュリティと利便性の向上のため、日本専用のデータセンターを設置しました。現在、日本では約 1,800 社のお客様が利用し、750 名以上が SAP SuccessFactors のカスタマーコミュニティに参加して活発な情報交換を行っています。

さらに、2024 年 6 月には Japan SAP Users’ Group(JSUG)の SuccessFactors 部会「SHINE(SuccessFactors HR Innovation Network for Excellence)」が設立され、ユーザー同士の連携もさらに強化されています。(図 1 参照)

(図 1)

「全ての人が働くことを『愛せる』環境を提供する事で、持続可能な日本社会の実現に貢献する」というモットーのもと、SAP SuccessFactors は人事部門の業務改革を推進し、従業員の幸せを実現するとともに、その家族やパートナー企業にも良い影響を与え、生産性向上につなげたいと考えています。

■ SAP SuccessFactors を構成する 3 つの主要な柱

1 つ目の柱は「コアHR」で、給与計算、タイムマネジメント、従業員管理を包括的に提供しています。世界中の多くの給与計算 BPO プロバイダーが SAP の給与計算システムを信頼し、数十万名以上の規模の給与計算を実行する自社サービス基盤として活用していることも特筆すべき点です。

2 つ目の柱は「タレントと学習」です。この分野では、目標管理やパフォーマンス管理、採用とオンボーディング、さらには継続的な後継者育成や学習管理において、非常に包括的な機能を提供しています。

3 つ目の柱は「オープンエコシステム」です。SAP の事業はパートナー企業にも支えられています。SAP SuccessFactorsの導入パートナーは国内で 37 社あり、SAP SuccessFactors と連携するソリューションを検索いただける SAP ストアには、グローバルで 350 社、国内では約 30 社以上のパートナー製品が掲載されています。導入パートナー、ソリューションパートナー様と協力しながら、SAP だけではカバーしきれない多様なお客様のニーズもサポートできる体制を整えています。

これらの 3 つの柱が相互に作用し合うことで、包括的かつ柔軟な HR プラットフォームを実現しています。(図 2 参照)

(図 2)

オープンイノベーションで進化する SAP
―世界最高峰のAI技術を身近に

私たちは世界中の CIO や CHO、CHRO へのインタビューを行い、彼らがどのようなことに関心を持っているのかを調査しました。2024 年における HR トレンドの 1 つが AI です。

2040 年の日本は 1,100 万人の労働力不足が見込まれており、生産性の向上が必要とされています。その解決策となる一つの大きなイノベーションは AI です。AI は日本市場においても、大きな経済的価値を提供することができるでしょう。

現在、生成 AI の分野では、Microsoft、Google、NVIDIA、Amazon Web Services など、多くの企業がさまざまな大規模言語モデル(LLM)で競い合っています。しかし、OpenAI の GPT が勝つのか、それとも Anthropic の Claude か、または Llama 3 のようなオープンソースモデルが主流になるのか、最終的な勝者が誰になるのかは現時点では誰にも分かりません。(図 3 参照)

「SAP には 1,000 人の AI エンジニアリングチームがあり、前述の複数の企業とパートナーシップを構築し、それを基に AI 基盤を開発・提供しています。つまり、お客様の視点から見れば、SAP とパートナーシップを結ぶことで世界最高の企業の先進的な AI 技術を手にいれることができるのです」(ベック)

(図 3)

生成 AI を利用する際には、チャットなどのインターフェースを通じて情報を送信する必要があるため、お客様から「社内のデータを外部企業に送信しなければならないのですか?」とセキュリティ面について質問を受けることがあります。

そのような懸念に対して当社からは、SAP の AI には関連性のある(Relevant)、信頼できる(Reliable)、責任ある(Responsible)という 3 つの「R」があることをお伝えしています。SAP プラットフォームでは、ユーザーのコンテキストやポジション、場所、組織内のレベルが把握できます。セキュリティやデータプライバシーの構造、そして各地の法規制などもすべて SAP に統合されているため、安全性が確保されるのです。

AI による効率化とスキル管理の高度化で戦略的な人材マネジメントを支援

SAP SuccessFactors では、2023 年の下半期から 2024 年上半期のリリースにおいて合計で 63 の AIユースケースを提供し、さらに 2024 年 11 月のリリースでは、21 の新機能を追加する予定となっています。ここで、具体的なユースケースについてご紹介しましょう。

■ 採用の場面での AI ユースケース

例えば、人事担当者が「AI の専門家を採用する」などの、専門的な職務記述書を書く場合です。

この時、「AI の専門家を雇いたい」といった簡単なプロンプトを入力するだけで、AI が求人票を自動的に生成してくれます。また、候補者選定においても、スキルに関する情報を活用して、求人票とのマッチ度を容易に確認でき、AI が履歴書の経歴を詳細に分析して、最適な人材の選定を支援します。さらに、面接の前には、履歴書など個人に関する情報を引き出して質問リストを生成するなど、事前準備をスピーディーに行うこともできます。

「AI を活用する環境下では白紙の状態から何かを作成するのではなく、AI が 60〜70 %程度まで完成させたものを仕上げていくことができるのです」(ベック)

個人のパフォーマンス目標の設定にも AI を活用できます。例えば、AI は目標の詳細やその達成に向けたマイルストーンを含むフォームを自動で生成し、従業員の時間を大幅に節約することができます。報酬に関しても、既存のデータを AI が分析し、理解しやすい形で説明することで、意思決定を支援します。AI は情報を生成するだけでなく、より効果的な意思決定をサポートするのです。

■ SAPデジタルアシスタント「Joule」を活用したユースケース

SAP のデジタルアシスタント「Joule(ジュール)」は日々進化を遂げており、日本語対応も予定されています。

Joule は「ドキュメントグラウンディング」技術を活用し、ユーザーやビジネスに関する情報をポリシードキュメントと組み合わせて適切な回答を生成します。例えば、年間報酬や時間外労働の給与に関する質問を Joule へ入力すると、地域ごとの違いを考慮した回答を提供します。

また、Microsoft Copilot や Microsoft Teams とも連携してさまざまな HR 関連のアクションが可能となります。(図 4 参照)

(図 4)

2024 年の HR トレンドにおいて、もう 1 つ大きな話題となったのが「スキル」です。SAP SuccessFactors が提供する「 Talent Intelligence Hub(タレント・インテリジェンス・ハブ)」は、アプリケーションのあらゆる側面にスキルを組み込む機能を持っています。この AI を活用した機能により、自分自身のスキルをリアルタイムで確認し、成長ポートフォリオを通じて新たなスキル向上の機会を探ることができます。

さらに、チーム全体のスキルギャップを分析することも可能です。また、SAP SuccessFactors 上のさまざまな活動情報からスキルを自動的に抽出し、それを目標設定や学習計画にフィードバックすることができます。また、SAP 以外のシステムと連携することで、より包括的なスキル管理も可能です。これにより、組織は戦略的な人材育成と配置を行うことが可能となり、競争力の向上につながることが期待されます。(図 5 参照)

(図 5)

今回の HR Connect では、グローバル市場で競争する日本企業のさまざまな事例を聞くことができました。その中では、多くの CHRO や HR 部門が経営層のパートナーとしての役割を果たしており、人材を中心に置いた経営が成果につながるという認識が共有されました。経営における人事部門が果たす役割はこれまでになく大きくなっています。

SAP は単にソリューションを提供するだけでなく、人事部門や従業員、さらにはその家族やパートナーも含めて、幸福でウェルビーイングな状態を実現することを目指しています。人事コミュニティと協力しながら、日本の人事を変革していく取り組みを続けていきます。

 

*製品詳細はこちら>

 

モバイルバージョンを終了