(本記事は、3月18日に本社で掲載されたものです)
生成 AI は開発者の仕事のやり方を大きく変えました。開発者は、デバッグエラーやレガシーコードベースの処理といった反復的な作業に膨大な時間を費やすことなく、アイデアを素早くコードに変換できるようになりました。SAP は、SAP Business Suite 全体に AI 機能を統合する取り組みを全力で続けています。その筆頭となるのが、ビジネスアプリケーションの拡張と構築のために設計されたアプリケーション開発/自動化ソリューションである SAP Build です。
現在、世界中で 17,000 社以上のお客様に SAP Build ソリューションをご利用いただいており、その勢いは増すばかりです。開発者は、より迅速かつ容易にアプリケーションの構築、自動化、そしてイノベーションを実現できるようになっています。そして本日、SAP は、SAP Build ソリューションを利用する開発者の生産性を強化できる大きな一歩を踏み出しました。
このたび、SAP Build Process Automation と SAP Build Apps に、Joule 基盤の新しい AI 機能が統合されました。これらの機能拡張は、以前に発表された SAP Build Code と ABAP Cloud の AI 機能を補完するものであり、あらゆるスキルレベルの開発者が、AI を駆使した包括的な開発者向けツールを活用することで、目的特化型の SAP 中心の AI モデルがベースとなった正確で文脈に応じた結果を出すことができ、より効率的に開発を行うことが可能になります。開発者は ABAP、Java、JavaScript、およびビジュアルツールベースのアプリケーション開発や SAP プロセスの自動化を加速させ、より生産的で創造的、かつ専門的な作業に時間を費やせるようになります。
Joule が新しいレベルの生産性をどのように実現できるのか見てみましょう。

「SAP Build ソリューション全体に組み込まれた最新の AI 機能は、SAP システムおよび非 SAP システムの両方で稼動するビジネスアプリケーションを構築および拡張するための強力なツールキットを開発者に提供します」
ホルガー・ミューラー (Holger Mueller) 氏、プリンシパルアナリスト兼バイスプレジデント、Constellation Research, Inc.
あらゆる SAP 開発ニーズに対応する包括的な開発者支援
Joule は SAP 開発フレームワークの複雑性を理解し、開発者のニーズを予測し、インテリジェントな提案を行い、ドキュメント作成やサンプルデータ生成などの反復的で単調な作業を自動化できます。ローコード、プロコード、自動化プロジェクトに関わる開発者は、より生産的、創造的、かつ熟練したスキルでもって、SAP S/4HANA のようなビジネスアプリケーション向けのアプリや拡張機能の開発を加速させることができます。
主な機能は以下のとおりです。
- アプリケーションの作成:Joule を使用して、Java、JavaScript、ABAP 向け SAP プログラミングモデル全体のコード、UI、データモデル、サンプルデータを生成できます。
- コードの最適化:Joule を使用して、コードのリファクタリング、単体テストの作成、コードの説明、要約などを自然言語と直感的な操作で行うことができます。
- プロセスとワークフローの自動化:自然言語を使用して自動化ワークフローとビジネスルールを生成できます。
SAP Build Code の Joule 機能は、データモデルの生成に役立ちます。
「生成 AI を活用することで、SAP Build Code は当社の共同クライアントに、クラウドアプリケーション開発のためのより簡単な統合機能と効率化された開発者エクスペリエンスを提供してくれます。これにより、全体的な生産性が高まり、目に見える価値が生み出されます」
チップ・クラインヘクセル (Chip Kleinheksel) 氏、グローバル SAP 最高技術責任者兼プリンシパル、Deloitte Consulting LLP
目的特化型 LLM による文脈に応じた正確な結果
Joule は、コード予測やコード説明を生成できる ABAP LLM など、SAP のワークロードに特化した専用の大規模言語モデル (LLM) を使用しています。開発者は、コードのスニペットや説明など、文脈に応じた正確な結果をより迅速かつ効率的に導出できます。また、Joule は、顧客のアプリケーション環境、開発プロジェクトの成果物、SAP 固有構文を理解する自動化パイプラインの作成に加え、コードの補完や最適化のための文脈を考慮したリアルタイムのサポートを開発者に提供します。
主な機能は以下のとおりです。
- 文脈、コメント、プロジェクト経験に基づく予測コード補完
- Core Data Services (CDS) のコード説明に、エンティティ、クラス、インターフェース、および機能モジュールが表示される
- 文書化、ベストプラクティス、新しいコンセプトに対する AI 支援
- プロセス、API 仕様、接続システムに基づくワークフロー開発と意思決定支援
ABAP 開発ツールの Joule 機能は CDS ビューを説明できます。
シームレスな開発のための統合 AI ツール
開発者は、AI をフル活用した開発環境を享受できるようになりました。ABAP を含む SAP Build 開発ツールに Joule 機能が組み込まれ、スムーズで一貫性のある AI に強化されたエクスペリエンスが提供されます。この AI 統合により、開発ツールと AI ツールの切り替えに伴う煩わしさが解消され、実行可能なインサイトとアウトプットを 1 カ所で生成できるため、開発者は革新的なソリューションの構築に専念することができます。
主な機能は以下のとおりです。
- SAP Fiori アプリ、SAPUI5 ガイド付き開発、その他 SAP Build ソリューション内での Joule サポート
- SAP Business Application Studio と Eclipse 向け ABAP 開発ツール内に統合された Joule が、Java、JavaScript、ABAP 関連のあらゆる開発タスクに対応
- SAP Build Process Automation プロジェクトキャンバスに統合された Joule が、プロセス、意思決定、フォームなどを自然言語を通じてその場で生成および要約
SAP Build Process Automation の Joule 機能がプロセスワークフローの説明を支援します。
ロードマップと今後の機能拡張
開発者向けの AI 主導イノベーションに対する SAP の取り組みは揺るぎないものです。この 1 年で、SAP のポートフォリオ全体で画期的な機能が次々と発表されました。SAP Build Code の Joule、AI によるフリースタイルの SAPUI5 および SAP Fiori アプリ開発、Joule 搭載 RAG、ABAP AI 機能、SAP Build Work Zone および SAP Mobile Start の Joule、文書グラウンディング、SAP Business Suite プロセスの奥深くに埋め込まれた AI エージェントなどが挙げられます。
将来を見据え、SAP では、ビジネスロジックの最適化、ドキュメンテーションの自動化、データ保護と AI コンプライアンスの強化などを含む最先端機能の完全なロードマップを用意しています。エージェント化の取り組みの中で、開発者はそれぞれのニーズに合わせてカスタム AI エージェントを開発できるようになります。さらに SAP では、引き続き SAP S/4HANA Cloud を選択されるお客様のために、レガシーコードを詳細に分析し、明確なコード説明を提供し、コードの最適化を提案する拡張機能によって、移行プロセスをシンプルにする予定です。これによりお客様は、SAP の clean core ガイドラインに沿って、スムーズかつインテリジェントにクラウドに移行できるようになります。
これらの新機能は、開発者がより革新的で効率的かつ安全なワークフローやアプリケーションを構築するのに役立つでしょう。AI 主導のさらなるイノベーションにご期待ください!
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SAP Build ソリューションをご利用いただく開発者の皆様に、新しい Joule 機能をお試しいただけたら幸いです。
マイケル・アメリング (Michael Ameling) は、SAP BTP のゼネラルマネージャー兼最高製品責任者であり、SAP SE エクステンデッドボードメンバー。