(本記事は、3月10日に本社で掲載されたものです)
SAP は先頃、ビジネス変革を支える新しい AI 機能、自動化機能、ユーザビリティ改善機能を搭載した SAP S/4HANA® Cloud Private Edition 2023 FPS03 をリリースしました。
これらの強力な機能を活用することにより、企業は競争力を維持しながら手作業を削減し、よりスマートな意思決定を行うことが可能になります。
AI アシスト機能の紹介
SAP S/4HANA Cloud Private Edition 2023 FPS03 リリースで提供される革新的 AI 機能はハイペースで増え続けています。これらの機能は、変化する需要への対応と予測不可能な環境における競争力強化を目的とし、従業員の生産性向上、意思決定の支援、予測インサイトの提供を支援します。
新しい AI 機能は以下のとおりです。
- AI アシスト仕訳アップロード機能:生成 AI テクノロジーを使用して、仕訳プロセスを簡素化します。この機能は、会計システム外で実行された取引、仮転記、決算、未収金、引当金など、期末仕訳の大量のバックログを管理する会計担当者を支援するために設計されています。AI テクノロジーを活用することで、仕訳管理における効率と精度を向上させ、会計担当者や財務部門に利益をもたらします。
- 予測労働需要計画機能:労働需要計画機能により、ピッキング/梱包工程の計画期間を予測できるようになり、リソースおよびワークロード計画の効率が向上します。過去のワークロードデータを活用することで、作業期間を正確に予測し、大規模な前処理や作業時間標準に頼る必要がなくなります。この機能により、倉庫内におけるピッキング、梱包、出荷などの作業に必要な時間を予測し、人員の割り当てを最適化し、非効率業務を削減することができます。
- スケジューリングオプティマイザーの詳細な計画結果を解説する AI アシスト機能:スケジューリングオプティマイザーが生成する詳細な結果は複雑で明確な説明が欠けているため、生産計画担当者は理解するのに苦労することがよくあります。そのため、計画担当者はオプティマイザーによる決定について確信が持てず、例外を効率的に処理することが困難になります。そこで、詳細なスケジューリングオプティマイザーの計画結果の説明を提供する機能が SAPの AI アシスタントに新たに追加されました。生産計画担当者は、チャットインターフェースを通じて自然言語で質問することができ、スケジューリングプロセス中に何が起こったかを直感的に把握することができます。この機能により、生産計画担当者は例外処理に集中することができます。
- AI アシスト社内サービス開始機能:修理工場では大量のペーパーワークが発生します。この紙ベースの情報を SAP システムに手作業で転送するのは手間がかかり、エラーが発生しやすいため、特に納期が厳しい場合、データ損失につながる可能性があります。AI アシスト社内サービス開始機能では、Document Information Extraction サービスを利用して、受信した紙の文書をキャプチャします。SAP システムは自動的に必要なデータを抽出し、対応する社内サービス向け修理対象物のリストを作成します。修理スタッフは生成されたオーダーを確認し、完了まで処理を続けます。
SAP 統一コパイロット Joule への追加機能
S/4HANA Cloud Private Edition FPS02 とともに多くのトランザクションおよびナビゲーションのユースケースをリリースした後も、SAP は以下の分野の Joule サポートをリリースし続けています。
- 契約会計における紛争管理:紛争解決および支払解決のためのトランザクション機能
- 収益会計およびレポート:収益会計明細の管理、収益会計契約の管理、収益会計契約のスケジュール、収益会計契約の統合、収益会計契約の照合を行うためのトランザクション機能
- 販売:受注項目の単一変更または一括変更、受注フルフィルメントに関する問題の解決、参照付き販売伝票の作成、請求伝票情報の取得を行うためのトランザクション機能
- サービス:サービス確認情報の取得、オブジェクトの参照、サービスオーダーおよびサービスオーダー明細のリリース、サービス確認のキャンセル、サービス確認の完了を行うためのトランザクション機能
- 資産管理:保全指図、保全通知、保全作業の照会、作業における各活動の実施のためのトランザクション機能
- 企業ポートフォリオおよびプロジェクト管理:プロジェクトビルダーにおけるプロジェクト作業分解構造 (WBS) 要素の照会または変更、またはネットワークの照会または変更を行うためのトランザクション機能
- 調達:商品またはサービスの明細付き/なしの購買依頼の作成、商品またはサプライヤーの一覧表示、1つまたは複数の発注書内の全スケジュール項目の納入日付の更新、購買発注明細の詳細とワークフロー承認者メールの照会、請求書リマインダーの処理を行うためのトランザクション機能
- 製品ライフサイクル管理:BOM(部品表/配合表)の詳細の取得、BOM 更新アプリへの移動、変更記録詳細の取得を行うためのトランザクション機能
- 統合請求:照合ケース、請求計画、請求伝票、請求依頼を照会するためのトランザクション機能
さまざまな機能領域のイノベーション
最新リリースでは、調達、財務、製造、研究開発、サービス、資産管理におけるビジネスプロセスを改善する、数多くの新しい機能強化が追加されています。
調達
集中購買契約における価格設定スケールの一括変更により、調達担当者は、Microsoft Excel を使用して品目条件タイプのスケール金額をアップロードまたはダウンロードして、集中購買契約の一括変更を効率的に行うことができます。
財務
- 財務計画データ管理アプリにおけるプランニングのためのデータ統合と柔軟性の向上:SAP® Analytics Cloud と SAP S/4HANA Cloud Private Edition 間の統合を継続的に最適化するために、SAP S/4HANA Cloud Private Edition の新しいフレームワークにより、財務計画データを SAP Analytics Cloud から SAP S/4HANA Cloud Private Edition に取り込むジョブを効率的に構成およびスケジュールできるようになりました。
- 財務センターによる子会社エクスポージャーのヘッジ(バランスシート上の為替リスク)では、財務センターレベルで子会社のバランスシート上のエクスポージャーを集約し、追加的な内部取引を発生させることなく、ネットエクスポージャーのヘッジを一元的に実施します。
製造
- 生産モデル品目管理アプリ:生産モデルが、製造 BOM と製造現場作業手順の統合ビューを提供します。製造 BOM のヘッダー品目の 3D 映像によって、製造 BOM 構成品目と製造現場作業手順の同時定義がサポートされます。
- 最適化ログ確認アプリ:生産計画担当者は、ステータス区分、実行時メトリクス、コスト、ソリューション品質メトリクスに関するインサイトを得ることで、透明性を向上させることができます。
研究開発
- プロジェクト原価概要アプリとプロジェクト原価明細アプリにサービス取引が追加:WBS 要素に割り当てられたサービス契約明細とサービスオーダー明細を分析することで、サービスビジネス管理プロジェクトのプロジェクト原価と収益の透明性が確保されます。
- 危険物規制に関する標準コンテンツにより、危険物規制に関する更新情報を迅速かつ頻繁に受け取ることができるシンプルなプロセスを利用して、危険物管理に関する最新のコンプライアンス要件を継続的に取得することが可能になります。
サービス管理
一括会計が有効なサービス階層:サービス階層によるサービスオーダー明細のグループ化により、財務会計レポートと収益認識を統合することで、バンドルされたサービスオファリングの作成における商業的柔軟性が向上します。
資産管理
- 保全指図管理により、保全指図の管理がシンプルになります。この新しい SAP Fiori® アプリを使って、計画担当者は保全指図の包括的リストビューを照会したり、保全指図を作成したり、各指図を処理したりできます。
- パフォーマンス保全作業における「現状」データの記録:保全通知が割り当てられていない事前対応型保全作業において、保全対象資産の現状を記録することで、資産信頼性データの記録の質を高めます。
SAP は AI 革命の最前線に立ち、SAP S/4HANA Cloud Private Edition に多くの機能を組み込んでいます。事業運営方法や人々の働き方を再定義していますが、これはまだ始まりに過ぎません。現在 SAP は、最近リリースした SAP® Business Data Cloud が基盤となる、Joule 経由で利用可能な新しいエージェント機能に取り組んでいます。
私たちは FPS03 のリリースによって、自動化レベルの向上、ユーザーエクスペリエンスの改善、効率性の強化、そして新たなビジネスチャンスの発見を可能にする新しい能力をお客様に提供することを目指しています。
これらのイノベーションの詳細についてご関心がございましたら、ぜひ今後のウェビナーにご参加ください。新しい AI 機能や、ここでご紹介したその他のイノベーションについて詳しく解説いたします。また、SAP の最近のイノベーションの詳細については、SAP S/4HANA® とSAP S/4HANA Cloud Private Edition 2023 FPS03の新機能からもご確認いただけます。