SAP ジャパンが主催する年次最大のイベントとして、8 月 6 日(水)にグランドプリンスホテル新高輪・高輪 国際館パミールで開催された「SAP NOW AI Tour Tokyo & JSUG Conference」。ビジネス変革の必要性が高まるなかでは業務をサポートするだけでなく、トランスフォーメーション自体に貢献するソリューションが注目されており、企業のすべてのソフトウェア資産を可視化する SAP LeanIX もその 1 つです。本イベントのブレイクアウトセッションでは「IT 最適化戦略を実現する、次世代エンタープライズアーキテクチャ管理ソリューション SAP LeanIX」と題し、機能と活用法を詳細に解説しました。
(登壇者)
正木 佑典
SAP ジャパン株式会社
ビジネストランスフォーメーション事業部
ソリューションアドバイザリ
SAP LeanIX でビジネスと IT の関係を管理
多くの企業では業務システムの運用のみならず、ビジネスや DX という文脈でトランスフォーメーションを推進する動きが活発化しています。そこで SAP はこういった企業のトランスフォーメーションを支援する製品群 SAP Business Suite を提供しています。SAP Business Suite の中で、特に組織のビジネス変革を支援するソリューションをBusiness Transformation Management と命名し、業務プロセスを分析・最適化する SAP Signavio、UI/UX を改善する WalkMe、そして社内のエンタープライズアーキテクチャを管理する SAP LeanIX の 3 製品がラインナップされています。

SAP LeanIX はエンタープライズアーキテクチャの観点で、複雑化した IT ランドスケープを可視化。発見/分析/設計/導入/運用のサイクルを通して、アーキテクチャ全体を最適化することで、IT のスピード向上、コスト削減、リスクの低減を実現します。

SAP LeanIX は、主に「メタモデル」「ファクトシート」「レポート・ダイアグラム」の 3 つの要素から構成されています。
まずメタモデルで、ビジネスと IT の要素を 12 に分類し、それぞれの関係性とともに管理します。社内の組織や業務プロセス、進行するプロジェクト、それらを支えるアプリケーションなどの情報を登録可能。ビジネスと IT の全体像を整理・可視化します。
またファクトシートを、メタモデルで分類した 12 の要素に基づき、情報を保有するためのデータストアとして使用します。自社の情報を詳細に入力、精緻化することで、さまざまな切り口での分析が可能になります。
具体的な分析は、レポート・ダイアグラムの機能で行います。目的に応じてレポートを出力、参照することで、企業は最適な IT ランドスケープを構想し、実現へのプロセスを検討できます。

エンタープライズアーキテクチャを管理する機能
SAP LeanIX は次のように、エンタープライズアーキテクチャ管理を推進する豊富な機能を備えています。
・システム連携によるエコシステム構築:各種ツールとの豊富なコネクタによりシステム連携によるエコシステムを構築し、IT に関するリアルタイムの状況把握をサポートします。
・関係者コラボレーションの醸成:コラボレーション機能により、エンタープライズアーキテクチャマネジメントを推進する上で必須となる IT 部門とビジネス部門の連携を支援。コメントの記録や関係者の意見を集約するサーベイ、データの品質を保証するためのワークフローを提供しています。
・IT カタログ情報の提供:IT カタログ提供機能は、主要な IT 製品の EOL(End of Life)情報を保有。古い技術が使用されたままのシステムなど、IT のリスクをいち早く察知し、顕在化する前に適切な対策を講じられます。

SAP LeanIX には AI を活用した機能も次々と用意されており、セッションでは3つの機能を紹介しました。
・Base AI:アーキテクチャの推奨内容を AI に問い合わせる、登録されているデータの説明文を生成するなど、入力を簡便化する機能を提供
・Inventory Builder:設計文書などの画像からアーキテクチャの構造を AI で解析して関係性を考慮したうえで取り込むことができます。エンタープライズアーキテクチャを管理する際は、データの散在が課題になるため、一元化するための情報収集を効率化する機能です。
・SAP LeanIX with Joule:Joule を活用したコパイロット機能です。レポートのナビゲーション、ドキュメントのガイドなど、SAP LeanIX に格納される情報の検索性を向上します。
この他にも SAP LeanIX では、AI を活用する機能を拡張していくロードマップを提供しています。
ビジネスと IT 環境を一元管理
続いて、SAP LeanIX の基本的な操作からトランスフォーメーションのヒントを導くまで、実際の画面で解説するデモを行いました。
- SAP LeanIX でのデータ登録
- 利用の起点となる情報登録について、画像ファイルを AI に解析させ、記載されているアーキテクチャの情報を取り込む様子を紹介
- 情報の一元管理とアーキテクチャ分析
- レポート機能を使って情報を可視化。アーキテクチャ管理に活用
- Joule が提案した業務マップによる分析とギャップの可視化
- Joule へ問いかけることで、確認したい情報が提供されるレポートに誘導
- 業務は階層構造で整理され、現状と目標の成熟度が可視化
- ギャップが大きい業務領域が明確になり、対応すべき領域の特定が可能
- 業務プロセス・アプリケーションの可視化
- 特定した領域に対して、アプリケーションの EOL などの利用状況を可視化しトランスフォーメーションを進めるべきアプリケーションを探索。
- SAP Signavio 連携によりアプリケーションが支える業務プロセスを可視化しトランスフォーメーション時の影響を確認
可視化された情報をトランスフォーメーションに活かす
さらに、デモでは以下の内容を紹介しました。
- IT の改善案の提示
- SAP LeanIX のリファレンスビジネスアーキテクチャは、クラウド展開などに応じたトランスフォーメーション案を提供。
- AI を活用した検索機能により、リプレース対象の適切な IT コンポーネントを提案。
- 継続的な監視と意思決定支援
- トランスフォーメーション実行フェーズ・運用フェーズにおける SAP LeanIX の活用方法として、状況把握方法を説明
- 現在の IT における技術的・機能的な健全性やレポートから AI 活用状況を確認・表示
- 経営層(CIO など)向けに、成果を可視化(グラフ・数値)して報告
このように SAP LeanIX でビジネスと IT の両面を可視化することで、企業はミッションクリティカルなアプリケーション領域に有限のリソースをどのように活用して適切な投資を行っていくか、戦略的に意思決定できます。



