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デジタル技術の進展とともに、多くの企業のビジネスがグローバル化しています。そのビジネスを支える人事システムにとっても、グローバル対応は重要なポイントの一つです。本稿では、SAP SuccessFactorsのグローバル対応について解説します。
グローバル対応の重要性
個人情報保護や行政手続のデジタル化、労働基準法など、各国での規制やその変更は増加しています。国によって求められる法的要件は異なるため、グローバルにビジネスを展開するためには、単に多通貨・多言語に対応するだけでなく、各国の業務要件・法的要件に対応していく必要があります。
各国の法的要件・法改正への対応
SAP SuccessFactors Employee Central は101の国/地域、SAP SuccessFactors Employee Central Payrollは46の国/地域に対応しており、そのカバー範囲は同業他社を圧倒しています。
(※ “World Map of Local Versions and Languages of SAP Products”, May 2021より)
これらの国/地域への対応は一度対応すれば完成するものではなく、法制度は日々変わるため、SAPでは世界中で年間1,000件を超える法改正への対応を行っています。法改正においては、法案が成立しても詳細は未定のままということも多いので、現地事情に根ざした継続的な情報収集が必要です。
SAPでは各国の法改正を監視するために40か国に120名以上の担当者を置き、専門誌や所轄官庁からの情報収集などを通じて、法改正の内容をキャッチアップし、法改正対応の予定情報をSAP Support Launchpadの法改正通知情報として配信しています。
日本固有要件への対応
現在、クラウド版の給与ソリューションとして提供しているSAP SuccessFactors Employee Central Payrollは、オンプレミス版で多数の実績のある給与計算機能をクラウドサービス化したものです。
SAPの人事給与ソリューションは、SAP ERPの日本版機能の一部として1993年に提供を開始し、以降、継続的に日本のお客様の人事システム構築を支援してきました。1998年には、ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)において人事部会が発足し、ユーザー同士の情報交換だけでなく、お客様からの声を製品に反映させる活動が行われています。
例えば、育児休業・介護休業制度への対応も一例です。共働きの増加や高齢化を背景に、育児休業・介護休業の取得件数も増加しており、関連して必要となる社会保険に関する申請は複雑で、どの申請をいつ出す必要があるのかミス・漏れなく管理できる機能が望まれていました。要件定義や途中段階でのレビューなど、人事部会のお客様の協力も得て、新たな業務ニーズ・法要件に対応するための機能拡張としてリリースしています。この機能では、産前産後休業から育児休業、時短勤務に至るまでの人事管理と社会保険に必要な申請が、その進捗を含めて管理することができます。
また、2020年より社会保険・労働保険の一部手続きにおいて義務化された電子申請についても、適正な機能提供が行える体制をとっています。具体的には、人事部会からの要望も踏まえた対応機能の開発を実施することに加え、社会保険システム連絡協議会への参加を通じた行政当局との情報交換を行っています。
このような外部団体/組織との連携では、製品ローカライズのための情報収集に加えて、行政への提言活動にも参画しています。社会的システム・デジタル研究会(Born digital研究会)では、年末調整のあり方についての議論に参加し、デジタル化を前提として既存の業務を見直すことで、社会全体としての効率向上、コスト最小化を図るための共同提言を行っています。