(本記事は8月14日に本社で掲載されたものです)

公益事業業界は、人工知能 (AI) の登場により、今、大きな変革期を迎えています。

企業が、エネルギー使用の最適化、カスタマーエクスペリエンスの向上、業務の合理化に取り組む中で、AI は極めて重要なテクノロジーとしてその存在感を高めています。SAP Business AI は、信頼性、関連性の高い責任あるソリューションを通じて、公益事業分野に革命をもたらすことができます。

Utilities Industry - AI powered Scenarios

 

公益事業における AI の戦略的インパクト

SAP Business AI は、公共事業における重要な取り組みに貢献します。

  • 顧客との関係強化:公益企業に対して顧客がその対応に不満を募らせることは少なくありません。待ち時間が長かったり、一般的な対応しかしてくれなかったりするためです。そこで、AI ベースのガイド付き会話、インテリジェントな Q&A、応答生成といったツールを活用することで、包括的な顧客ビューに基づくパーソナライズされた対話を実現し、カスタマーサービスを大幅に強化することができます。これにより、サービスの最適化、サービスリクエストの分類と処理の改善、インテリジェントな製品推奨によるクロスセリングやアップセリングの機会を高めることができます。
  • マーケティングとセールスのシンプル化:非構造化データを手作業で処理すると、営業サイクルが長期化し、非効率さが表面化したり受注処理が遅れたりします。AI であれば、自然言語処理を用いてマーケティングデータを分析して、非構造化データから受注伝票を作成し、バックオフィスプロセスを自動化することができます。この自動化により、手作業を減らし、販売サイクルを加速し、より正確な受注処理を実現します。
  • 業務品質の向上:計画外の機器のダウンタイムや非効率な現場作業管理は、運用コストの増加や設備の信頼性低下につながります。AI を予知保全、現場出向計画、現場作業管理で活用することで、設備管理の最適化を支援できます。機器の故障を予測し、保守運用活動を事前対応的に計画することで、ダウンタイムを削減し、設備の稼働率を高め、運用コストを削減し、よりスムーズな運用と資産の信頼性向上を実現します。
SAP Business AIのユースケース

AI は公益企業をどう変革するのか

SAP Business AI は、さまざまなビジネス機能に対して幅広いシナリオを提供します。

  • 検針と市場:異常な検針結果の検証やエネルギー予測など、公益事業向けの AI ソリューションは、データの正確性と業務効率を向上させることができます。インダストリークラウドパートナーとの共同オファリングにより、これらの機能をさらに強化することもできます。
  • 請求〜回収プロセスと会計:インテリジェントな回収、請求書の照合、仕分けされた請求伝票の自動処理により、会計業務を合理化し、キャッシュフローを改善し、人的介入を減らすことができます。
  • サービスと設備管理:AI を活用した予知保全、異常検知、設備の健全性モニタリングにより、設備のパフォーマンスを最適化し、ダウンタイムを削減することができます。

 

AIの活用

特に公益事業においてAI は、業務領域を問わず大きな可能性を秘めています。送電網管理のイノベーションから配電業務やエネルギー管理の最適化まで、AI は公益事業によるインフラの運用・管理方法に革命をもたらしています。

現在の業界の課題や進化する市場環境に対応するため、多くの公益企業が AI ソリューションの活用を模索しています。これらのソリューションは、生産、サプライチェーン管理、保守運用業務に対応し、業務パフォーマンスと品質指標の大幅改善を支援します。今日の厳しい環境において、AI は、効率性と回復力を手に入れるための不可欠なツールとして評価されつつあります。

SAP Business AI の変革の可能性を示すため、世界で SAP Business AI を活用して大きな進歩を遂げている企業を紹介します。

  • IWB 社は、機械学習を活用して、スイス、バーゼル市の太陽光発電量を正確に予測することで、同市のエネルギー計画と管理を強化しています。
  • Avangrid 社は、オーバーヘッドネットワークの検査に AI を活用した自動化ソリューションを採用しており、保守運用プロセスを合理化し、業務効率を向上させています。
  • Energie Südbayern 社は、SAP のサポートアシスタントを利用してインシデント登録プロセスを最適化し、カスタマーサービス業務の応答性と有効性を強化しています。

これらの事例は、SAPのビジネスAIがさまざまな分野でイノベーションと効率性を促進する能力を示しており、他の組織が同様の改善を目指してAIを活用する際の手本となることがわかります。


近い将来

公益企業が AI の応用を模索し続けている今、AI がもたらす未来は無限の可能性を秘めています。お客様が描いている将来のシナリオとしては次のようなものがあります。

  • 目視検査と状態基準保全:設備の状態を監視する AI を活用した目視検査により、保守運用戦略を変革し、サービス停止時間を短縮し、業務効率を高めます。
  • 次世代型の顧客対応:公益企業向けの会話型セルフサービスエージェントにより、パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンス、突然の高額請求を事前に防ぐ対策、オーダーメイドの料金プランの提案などを実現します。

 

ビジネス AI の導入:リスク耐性の高いデジタル未来に向けて

企業は SAP Business AI をビジネスに組み込むことで、SAP が長年にわたって何千ものお客様とのコラボレーションを通じて確立してきた業界データモデルを活用できます。この AI は、企業独自のデータ構造を理解・分析するように学習させることができ、データ保護、倫理基準、プライバシー規制の遵守を支援します。

SAP Business AI は、関連性、信頼性ともに高く、責任ある AI ソリューションを通じて現実のビジネス成果を提供することで、公益事業の変革を支援します。中核的なビジネスプロセスに AI を組み込むことで、公益企業は業務品質の向上を実現し、カスタマーエクスペリエンスを向上させ、持続可能な成長を促進することができます。公益企業は SAP Business AI を導入することで、将来発生する難問に対処し、イノベーションと効率向上を実現する新たなチャンスを引き出すことができます。

AI は常に進化しています。AI を組織でどのように活用できるのか判断するのに役立つ最新のガイダンスについては、以下のリソースをご利用ください。


SAPのAIイノベーションと公益事業分野でのアプリケーションに関する詳細については、9月9~11日にフロリダ州マイアミで開催されるASUG主催のSAP for Utilitiesにご参加ください。登録はこちらへ。

 


マシュー・ロンドン (Matthew London) は、SAP の北米中央再生可能エネルギー & 公益事業担当バイスプレジデントです。