本稿では、全6回にわたり、SAPのFuture of Workをご紹介しています。(第1回はこちら)
変化するビジネス環境で成功を収め、優秀な従業員を維持し、新しい仲間を惹きつけるために、SAPはより高い俊敏性、イノベーション、レジリエンスを実現するため進化を続けています。私たちは、最先端のコンセプト「Future of Work」の下、3つの戦略的側面を検討してきました。すなわち、①ワークフォースの未来、②人材施策の未来、③人事組織の未来です。
第2回目の本稿では、①ワークフォース(労働力)の未来とそれに対応する②人材施策の未来について紹介致します。
ワークフォースの未来 ー 戦略的要員計画を軸に
まず、Future of Workforce(ワークフォースの未来)ですが、将来の労働力需要に対応するための明確な理解と戦略の提供が必要です。
SAPが直面しているような変化の激しいビジネス環境・市場環境において、自社の労働力の未来を定義するためには、労働力の需要を明確に理解することが必要です。将来に向けて準備をする際に最も重要なステップの1つは、戦略的な目標像を作成することです。Future of Workのチームは、SAPの人員計画について進化的なアプローチを取り、5年後、10年後のSAPの姿を描いています。
分析・モデリングと戦略的要員計画を通じて、ビジネスの成功に必要な人材の調達と維持するための戦略の定義と適応が可能となります。最先端の分析とモデリングの手法をタレントマネジメントの計画とプロセスに適用することで、適切なスキルを持つ適切な人材を適切な場所で採用し、育成し、配置する能力を高めることができます。
この適所適材を実現するために実行するのが、戦略的要員計画での分析、シナリオ計画、モデリングです。これらの技術により、変化する状況に柔軟に適応する能力が向上しました。
この要員計画は、従業員の構成(総要員数、契約社員を含む構成)、スキル、および能力の大枠を定め、ビジネス上の成果を達成するために、どこで、いつ、どんなコストの要員が必要となるのか、従業員管理の指針にもなります。正社員と派遣社員の比率、将来のスキル需要、勤務地の組み合わせなどが分かれば、そこから人材戦略や職場慣行をどのように進化させる必要があるかを導き出せます。雇用慣行、勤務地戦略、学習戦略、これらすべては進化する未来の仕事の課題の一部である必要があるのです。
人材施策の未来
つぎに、変化し続ける期待を先取りした、魅力的な職場体験・Future of People Practice(人材施策の未来)についてです。私たちの人材施策の未来は、従業員の健康、安全、ウェルビーイングを重視しながら、SAP をより機敏に、柔軟に、そしてレジリエントな組織にすることに寄与しています。絶え間なく変化する従業員に対する要求と、従業員からSAPに対して寄せられる期待には、イノベーションで対応することが必要なのです。
戦略に沿ったイノベーションによって、未来に対応した人材育成を設計、実施し、ダイナミックな環境を乗り切る従業員に対して必要なチェンジマネジメントサポートを提供することができます。
私たちは、人材施策の未来において以下の3点に注力しています。
- 多様な、最も優秀な人材を獲得し、継続的に従業員のリスキリングとスキルアップを行うことで、将来に向けたスキルを構築しています。
- SAPの成功する文化を推進するために、パフォーマンス、インパクト、そしてビジネス上の成果を実現し、それに報います。
- 健全で包括的、かつ多様性のある環境の中で、権限委譲と説明責任の遂行に努め、リーダーとしてのあり方を変えていきます。
私たちは、メタバースやAIの技術などを取り込んだハイブリッドワーク、新たな課題、新たな機会に対応するため、人材と働く場の施策を適応させ続けています。また、雇用者ブランディングの強化、柔軟な働き方のための福利厚生の進化、ダイバーシティ・インクルージョンの考え方の導入、継続的なスキルの変化に対応するための研修メニューの推奨などを実現しています。
人材のサステナビリティ
さらに、SAPの「ニューワーク」運動を通じてアジャイルな取り組みを拡張するなど、持続可能なビジネス価値を推進するための新しいプラクティスを取り入れています。
また、従業員は、フェローシップ、メンターシップ、共同リーダーシップ、OB・OG会など、さまざまな機会を通じて、自らの情熱を追求し、潜在能力を引き出すことができます。
私たちは、健康、安全、ウェルビーイングに対する全体的なアプローチを取っています。私たちは、魅力的で、健康的で、安全な職場文化を育むことで人を育て、リーダーに力を与え、ビジネスをサポートします。SAPが全面的に健康とウェルビーイングに注力していることは、ワークライフバランスを強調するSAPのメンタルヘルスデー、グローバルで利用できる従業員支援プログラム、マインドフルネス研修などの、最近の取り組みからも明らかです。
次回は、人事部門自体の変革、Future of HR(人事組織の未来)についてご紹介します。