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はじめに

SAPでは毎年、グローバル統一の若手育成プログラム、SAPセールスアカデミーを実施しています。このブログでは、実際にプログラムを経験した私富永より、このプログラムの参加者にとってのメリットや会社からの期待について、お伝えできればと思います。

キャリアやリーダーシップ向上を目指し自身でキャリアプランを描きたいと考えている、もしくは考えてほしい若手人材を多く抱える企業様に、このブログを読んでいただけると幸いです。

SAPセールスアカデミーとは

SAPセールスアカデミーとは、社会人経験5年以内の営業経験者を対象とした、グローバル統一の英語による9ヶ月間フルタイム(この間業務にはつきません)の選抜制プログラムです。

SAPセールスアカデミーは、セールスとして輝かしいキャリアを手に入れるための基本スキルが身につけられるようにデザインされています。プログラムを修了すると、売上目標を持ち、多くのソリューションを様々な業種や部門のお客様へ提案するセールスとしてのキャリアがスタートすることになります。

アカデミー参加者には、私のように元々SAPにいて営業経験のある社員もいますが、他社で数年の社会人経験を得たのちに、アカデミー受講を前提とした選抜を経て中途入社した社員が大半です。通常であれば入社直後から即戦力が求められるところが、アカデミーで学んでから本格的な実務に入ること、更にアカデミー出身者として手厚いサポートが受けられることが、他社からの応募が多い理由のように感じられます。

私がアカデミーに参加した理由

私がアカデミーに参加した理由は以下の3つです。

  • 他の会社にはない制度で、入社動機の一つでもあったこと
  • アカデミーが教育という投資に対する「効果」まで考えられた制度であること
  • アカデミー修了後も手厚いサポートが受けられること

私は、2019年に新卒で入社し、2020年よりSAP人事・人財ソリューション事業本部にて営業を担当していました。主に食品・商社・製薬・小売業のお客様の担当営業を2年経験したタイミングで、2022年3月より営業の実務からは一時的に離れ、SAPセールスアカデミーに参加しています。

ここで、既にSAPで2年の営業経験を積んできた私が、なぜ今になってSAPセールスアカデミーに参加したのか、疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私は2年の営業経験の中で多くのことを学び、一定の実績を上げ自信を持つこともできていましたが、「実力というよりは運が良かっただけなのではないか?」と疑問に思ってしまうことも度々ありました。

そんな中で、これまでの経験を活かしつつ一から学び直すことで、さらに自信をつけ営業としての実力を向上させることを目的に、入社前から気になっていたアカデミーへ応募しました。

アカデミー修了後2-3年は、自身のキャリアやリーダーシップの向上に対するアドバイスや、メンタリングやコーチングなどのサポートが受けられるなど、アカデミー出身者が社内で活躍できるよう教育が継続され、安心して営業活動に注力することができるのは、非常に嬉しいポイントでした。

写真:ケーススタディ・グループプレゼンテーションより
写真:ケーススタディ・グループプレゼンテーションより

 

参加してわかったアカデミーのメリット

私が営業として働いていた間は忙しく、どうしても目の前の業務に追われ、周りが見えなくなってしまいがちでした。アカデミー参加により自分の会社を俯瞰して見たり業務を客観視したりすることで、自ら将来のキャリアを考え、計画を立て実行していく自立性を身につけることができたと考えています。(文末にプログラムの構成を掲載しています)

さらに私の場合は実際に現場での営業経験があったからこそ、アカデミーで学ぶ際に現場での状況に置き換えて情報をインプットでき、アカデミー修了後に現場に戻った時にどのように活動するべきかをはっきりとイメージし、プランニングすることができていると感じます。

アカデミーに対する会社からの期待値

一方でSAPセールスアカデミーに参加している9カ月の間、参加者は通常業務につきません。私のように一定の業績を上げていた社員や、中途入社直後の社員を現場ではなく教育プログラムに投入することは、会社にとっては大きなコストになります。会社側は、このプログラムへの投資にどのようなリターンを期待しているのでしょうか。

今回、アカデミー運営チーム、SAPジャパン若手社員の育成担当者、そしてアカデミー参加前に私が所属していた部門のマネージャー (上司) から、それぞれ以下のようなコメントをもらいました。

アカデミー運営チーム

アカデミー運営チームとして、アカデミー卒業生の1年目、2年目に期待することは、以下の通りです。

  1. 顧客のビジネスとIT戦略を理解し、組織全体の支持を得るために、刺激的で積極的、かつ共感的な顧客対応を行う
  2. 顧客との信頼関係の構築を加速させ、変革のケースを構築し、期待される結果を伴う重要なイニシアチブを特定し、顧客の進むべき道を計画する手助けをする
  3. グローバルなネットワークを通じて、臨機応変な対応と高い創造性を発揮する
  4. すべての人の声を取り入れることで、集合知を増幅させる
  5. 多様なバックグラウンドを持つ仲間との共同作業を円滑に進める

SAPジャパン若手社員の育成担当者

日本のアカデミー卒業生の益々の活躍はこれからだと期待していますが、若手育成という目線での期待値は以下の3つです。

  1. グローカルリーダー (Glocal : Act Global / Contribute to Local (first)) として、パートナー/エコシステムと共にお客様のビジネスを成功に導く。ダイナミックな環境の中で培ったビジネススキル・対人スキルを用いて、日本のお客様に貢献する
  2. 常に自分自身をグローバル目線でアップデートし続け、日本に閉じないアカデミーのネットワークを使いながら能動的にグローバルや最先端のケース情報を収集し、日本のお客様が世界をリードできるように支援する
  3. 自分のキャリア・人生において、常に決定権を持つというマインドセットを持つ。IT業界特有のトレンド・技術の移り変わりの速さや、BtoBという観点で求められる能力や様々な考えに対して思考停止に陥らずに、自分の事に関しては全てにおいて決定権・責任を持ち、先手先手で物事を捉えて選択していけるようになる

部門マネージャー

期待値は営業として実績を上げることではありますが、アカデミーはSAPの中でも誰もが参加できるプログラムではないので、国内外におけるSAP社内でのコラボレーションを含めたハイレベルな目線での営業スキルやビジネススキルを一から学び直し、パフォーマンスを上げている若手社員に更に大きく成長してきてほしいと考えています。

アカデミーでは担当アカウントへの戦略を詳細に立て、チームメンバーを巻き込み戦略を実行することを主に学びます。このアカウント戦略のやり方を今後は本事業部でも展開し、今までとは違ったやり方を取り入れるリーダーとしての活躍もまた期待している点です。

アカデミー卒業後は、これまでよりも高いキャリア目標を持ち、マネージャーやリーダーへの挑戦も視野に入れてほしいです。

 
このようにSAPセールスアカデミーは、卒業生がグローバルに活躍するリーダーとしてビジネスに貢献することを期待していることがわかります。そしてプログラムはアカデミー卒業生が長期的に活躍できるよう、また将来的なリーダーとして他の社員を巻き込んだ好循環が生まれるように設計されています。

9か月もの長期にわたる教育は会社にとって大きな投資ですが、これまでのリーダー人材早期輩出実績とそれに基づくプログラムへの信頼が、経営陣からのプログラムへの投資を継続させているのです。

最後に

こういったプログラムに参加することで、私自身、キャリアやリーダーシップへの意識が自然と高まり、自身でキャリアプランを描く重要性に気がつきやすくなりました。

社員の「教育」への大きな投資であるSAPセールスアカデミーは、社員のモチベーションを高め、社内でのキャリアプランをしっかり描くことのできる良い環境を提供しています。そんなアカデミーで学ぶことができた私も、プランすることで、SAPに貢献する形で恩返しをしていきたいです。

本ブログが、今後グローバル化に注力する上で、国を跨いで活躍する人材の確保と育成、適所適材な人材配置の実現につなげたいと考えている企業の皆様の参考になれば幸いです。


アカデミーの構成

SAPセールスアカデミーは合計9ヶ月間のプログラムで、全体で5つの内容構成となっています。

  • SAPやアカデミーについて学ぶ、オンボーディング期間
  • SAP製品や営業基礎、ビジネスプロセスを座学で学ぶ期間×2回
  • 営業の現場で実務のシャドーイングや新規案件生成を行うOJT期間×2回

9ヶ月のアカデミープログラムを修了した卒業生は、プリセールス、インダストリー&バリューアドバイザー、カスタマーサクセスサービス、パートナーとのパートナーシップのもと、顧客のビジョンを構築し計画を支援することで、お客様のビジネス成果を実現できるよう、優れた体験を提供することが期待されています。

現在は、2回目のOJT期間が開始したところですが、普段では参加することのないマネージャー以上のみを対象にした会議に出席ができたり、グローバル案件を回すイメージ作りができたりするなど、既に多くのメリットを感じています。また、前述のように、実力ではなく運が良かっただけなのでは?と自信をなくしそうになっていた頃と比べ、来年から営業活動を再開することへの楽しみやモチベーションが上がっているように今は感じています。

アカデミーでの活動内容

現在はコロナ禍の影響でアカデミーはオンラインでの実施となっていますが、オンライン上でも海外の同僚と関わる機会が多く、オンラインだからこそ経験できることをアカデミー運営チームは常に考えています。

上記で述べた5つの内容構成は、下記のようなカリキュラム(内容は一部抜粋)で成り立っています。

図:SAPセールスアカデミー学習内容 ※一部抜粋
図:SAPセールスアカデミー学習内容 ※一部抜粋

 
もちろん、オンサイトでアメリカに行くことで得られることは多いですが、オンラインでも負けないくらい豊富なコンテンツで多くの学びを得られるのも、アカデミーの良さではないでしょうか。

アカデミーでは、新しいスキルを学習・実践・応用するユニークな機会の提供や、最新のSAPソリューション、販売テクニック、顧客エンゲージメント戦略を含む指導を受けることができます。これらの内容はSAPグローバルで標準化された営業プロセスであるFranchise4Successに基づいており、以下の4つの主要な焦点から多次元的な学習体験が設計されています。

  • Human Skills
  • Business &Technology Acumen
  • SAP DNA
  • Sales Skills、Strategy&Process
図:SAPセールスアカデミーカリキュラム一覧 ※英語
図:SAPセールスアカデミーカリキュラム一覧 ※英語

 


SAP は、SAPアカデミーという大きな教育投資を、人的資本経営、つまり経営戦略実行のために必要な人的投資と考えています。更に興味を持たれた方は、本年9月27日に実施したウェビナー「SAP SuccessFactors Day ~人的資本最大化のためのマネジメントとは?~」 のアーカイブをぜひご覧ください。下記サイトからオンデマンドで視聴できます。

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