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CFO羅針盤編集部の桜本利幸です。

2023年1月18日付け日本経済新聞の朝刊(以下、日経記事)に「IFRS導入の日本企業続々、時価ベースで44%」という記事が掲載されました。
まずこの記事では適用状況について言及しています。

  • 社数ベースでは市場全体の7%にとどまるが、足元で資生堂や川崎重工業が新たに適用し、合計時価総額では全体の44%に達する。
  • グローバル企業の適用が相次ぎ、主要企業で構成するJPX日経インデックス400ベースでは時価総額の5割を超えた。

 

日本電波工業が日本企業のIFRS適用第1号として2010年3月期から、続いてHOYA、住友商事が2011年3月期から適用を開始してから干支が一回りするこの12年の間に導入社数は251社、市場の7%、時価ベースでは44%まで進んだことになります。
これを多いとみるか少ないとみるかは読者の判断になりますが増加傾向にあったことは確かです。
しかも時価総額の大きい企業、つまり企業価値の高い企業の適用が進んだのは事実です。

次にこの日経記事では導入の理由として「経営の視点」をあげています。

  • 導入の理由の一つはグループ管理のしやすさだ。
  • 資生堂は海外売上高比率が21年12月期で7割と、10年前の4割から上昇した。「会計基準を統一することでグローバルで経営がしやすくなる」(同社)という。
  • あずさ監査法人は「同じものさしで各企業の業績を正確に把握できるため、経営効率の改善につながる」と指摘する。

 

この記述にはまったく同意です。

日本取引所グループ(JPX)のWEBサイトでは「IFRSを適用している会社一覧」、「IFRSを適用して新規上場した会社一覧」、「IFRSを任意適用することを決定している会社一覧」が公開されています。

このリストを見ると私達がシステム面でお手伝いさせていただいたお客様も多くいらっしゃいます。
そのお客様とのコミュニケーションを思い出します。
IFRS導入を単に会計の制度変更としてとらえるのではなく、「グループレベルでの管理会計、経営管理を高度化しデータドリブン経営をしたい」、「内部統制の成熟度を上げたい」、など経営変革(DX)のきっかけとした企業が多いのです。
それを実現するためにERPを新たに導入した、SAP S/4HANAにバージョンアップした、これまで子会社ごとにバラバラな会計システムを使っていたが統合をした、など最新のICTを活用する事例も多いのです。

ITの視点でみると、会計システム導入プロジェクトではなくグループ会計、グループ経営管理プラットフォームを構築するプロジェクトが多かったと思います。
実はSAP自身もIFRS適用企業ですが、IFRS導入を目的とはせず「データドリブン経営」の実現を目的として経理財務変革(ファイナンストランスフォーメーション)に取り組んできました。
SAPジャパンはSAP自身の経験とこれまでの日本企業の皆様とのコミュニケーションで得た経験を梃にITの視点でIFRS導入にとどまらない「企業が強くなるための変革」の伴走をしていきたいと思っています。

2023年もよろしくお願いいたします。